千歳まちさん出演の「東京War:DS 黒と白のTRIGGER」
会場は品川の六行会ホール。
いわゆる小劇場とは似ても似つかぬ極楽並みの座りやすいところでした。
品川、モメラスの旗揚げ公演「色は匂へど」以来。
旧東海道を歩いて向かいましたが、フリースペース楽間の跡がどこだったか、10年も経つとうろ覚えになるものです。
東京War:DSはお初の観劇。
去年にこのシリーズの第1作「狂震の渋谷編」があり、それ以前に朗読劇があったらしい。
「黒と白のTRIGGER」
ここは国が権利を放棄した無法地帯の東京。各地区のチームが争い、覇権を奪い合っていた。
そこに現れた京都神狼組が狙うはチームGENJYOへと送られた巻物。たったひとつの巻物が引き金となり、AAA、池袋蛇場来高校、中野ランナーズ、渋谷金皇組は戦いに巻き込まれていくのだった…(フライヤーより)
公演が始まる前にYouTubeで前回公演の映像が公開されましたが、それを観ておいてよかった。
一応劇中でも世界観の説明があるんですが、前作と重なるキャラクターも多いので事前に知識があったほうがより楽しめる舞台だったと思います。
無法地帯となった東京23区(その他の地域がどうかは不明)では、区ごとに在地チームによる覇権争いがある。
新宿では新宿GENJYO、渋谷では金皇屋、中野では中野ランナーズ、池袋では蛇場来高校が覇権を握っている。
さらにその上には今は空位の東京の王なる地位があるらしい。
前作は渋谷と中野の闘いでしたが、今回は東京進出を目指す京都神狼組と
新宿GENJYOを中心とした東京勢の闘い。
大量大迫力の殺陣が印象的な作品ですが、かつては親友だった神狼組組長ヤマトとGENJYOのリーダーのサンゾウの確執、神狼組内の人間模様など単なるアクション物に終わらない奥行きのある作品でした。
千歳まちさんはチームGENJYOの一員マオ。
ユーモアもありながら理知的なKPとは対象的に、飄々として天真爛漫、危機にあっても泰然としたちょっとやんちゃな格好いい存在のマオ。
まあ似合いますよね千歳さんにこういう役。
チームGENJYOはみんな白い衣装。
マオとKPは男装だし、マオ仲間のロリ可愛系テッセンと仲がいいのでずっと男の子かなと思ってたんです。
それが主宰の夏陽りんこさんのスペース聴いたらマオもKPも「姉貴」だった。
エイトとテッセンはより子供っぽくさがあって、マオとKPはちょっと歳上のお姉さん。
マオは苦労人が持つ懐の深さのある存在にしたかったんだそうで。
その設定は完璧に出来上がってたけど、マオが姉貴だとはね。
確かに当日パンフにも「女性だけでありながら迫力のアクション」と書いてある。
それを自分は「女優さんだけでやるアクション舞台」の意味だと思い込んでいた。
月蝕歌劇団を観て育ったので女優さんが男役をやることに何の疑問も違和感もなくしてしまったのでね。
でも違った。
テッセンのあれは姉貴に対する独占欲だったのか。
千歳さん、普段のコスプレでは美形男子が多いし、今回も見事過ぎるほどにイケメンだったし立ち居振る舞いも男の子っぽかったので、我と同じように思ってたお客さんは他にもいたんじゃないかな。
あの台上を滑りながらのキックなんてまあ格好いいのなんのって。
女が惚れる女なのかもね。
まだまだ続編が作られそうですが、新宿GENJYOはどうなるんだろう。
マオは最後の一人となってサンゾウを継いで戦い続けるか、みんなを守ってたったひとりの戦死者になるか、極端な未来が待っているような気もする。
叶うならあの白亜の衣装が血糊で朱に染まる姿なんてのを見てみたいが、そういう演出はやらないだろうな。新宿GENJYOにマオのいる限り、マオは是非にも千歳まちさんでお願いしたいものです。