読書好きには有名な「このミス」という
ランキングがあるが、
それは「このミステリーがすごい第○位」というものである。
ミステリーは苦手なわたしの「このミス」は
「この人のミステリーなら読む」である。
わたしの「このミス」第1位は宮部みゆきなのだ。
どこまでも深いからだ。
最近やっと宮部さんの長編をひとつ読み終わった。
「おまえさん」の上下巻だ。これ、上には2ヶ月くらいかかり
レジ待ちの間に1ページ、寝る前に1ページという
スローペースだったのに対し、下は1週間で終わった。
下の方が圧倒的に面白いのだ!上と下で書きぶりがちがうのだが…!
なぜ!!!わざと?
下には宮部さんおとくいの手法で
それぞれのキャラクターの心のありようが詳しく書かれており
現代の人間の心のありようにそのままあてはまると
思わせる。
せつなさとかきたなさとかそれにくるしむ自己嫌悪だとか
そうかと思えばまっすぐさとか素直さとかそれの合併とかあらゆる
心の持ち方が登場し言葉でそれがひとつひとつ丁寧に
説明されていく。
ミステリーには多すぎる人数の人物と
サイドストーリーが登場し
脇役なんてひとつもないかのように
それぞれの人物の心情が主人公並みに
細かく書かれている。
その中でも終盤の信之輔の心の描き方は
見事である。
自分がこの長編を映画化したものに出演するなら
下巻の信之輔がいいな~。
とありえない夢を見ている暇はなく次なる
本へと手をのばす。