今年は早くにツリーを買った。
高さ３０センチもないくらいの
ガラスのツリーで
なにより個性的な穏やかな
飾りの色が気に入ったので
自分でツリーを
初めて買ったのである。
子どもの頃家にあったツリーは
時期になると組み立ててかざり、
一番上の星
をだれが
飾るかでけんかをしていた。
金や銀、キラキラした赤や緑は
子どもの頃のクリスマスの象徴だ。
大学の頃、安い下宿で寒さに
ふるえていたころ、母が小さな
クリスマスツリーを買ってくれた。
そのツリーは
緑色がキラキラしていなかった。
そのころは、より「木」っぽい
ものが流行するようになっていた。
こどものおもちゃ商品ではなく
センスのよいかざりつけとして、
ツリーの需要も変わった。
緑の小さなツリーは
貧乏下宿時代の象徴である。
それで、今は今にあったものをと
今年はツリー（ぽいもの）を
買ってみたのである。
やっぱり小さいけど
子どもの頃とも
下宿時代とも違う
つつましさと主張とを両方兼ね備え
でも少しバランスが悪いから何だか
助けてやりたい困ったヤツ。
通りかかった自分をひきとめた
ひとめぼれツリーなのである。
