イヌブナの森 | 世界のブナの森

イヌブナの森

イヌブナFagus japonicaは若いころから中国山地でよく見てきたが、これまであまり撮影できていなかった。2010年の晩秋にしっかり撮影しておこうと思い立ち、阿武隈山地の北部を広く走り回ったなかで、最も林の保存状態のよい場所として、福島県飯館村の谷筋を定点に選び、その後2011年の1月、2月と通っていたのだが、3月の原発事故のあとは長く入れなくなってしまった。

本年から再び撮り直そうと足を運んだが、昨秋の台風による影響で道路が寸断され、谷の上方からも下方からも入れなくなっていた。そこで、阿武隈山地を探し歩く日々がまた始まった。

イヌブナ自体はどこにでもあるが、急峻な崖にしか残っていないことが多い。現状だけをみれば、阿武隈ではイヌブナは渓谷の急峻な斜面に自生しているのだが、常に里山以前を考えるなかで、農地や二次林に姿を変える前の、浅い沢の源頭部などにはイヌブナ林が広がっていたであろうことを推定してきた。そうした自生地は、極めて断片的だが仙台市の青葉山などに残っている。

今日は新しい山域を歩くなかで、ようやく極めて保存状態のよいイヌブナの林にたどりついた。ここを今後しばらくのイヌブナの撮影の定点にしよう。

 

 

株立ちになるイヌブナの特徴が撮れる場所を探し歩いたが、イヌブナ林は雑然とすることが特徴なので、撮影は難易度が高い。次は若葉の季節にしっかりと撮ろう。

 

株立ちの幹の1本が倒れ、そこにキノコが生えてゆく。

 

ムキタケ

 

干からびたナメコ

 

ブナハリタケ

ムキタケは最盛期。ブナハリタケはこの1株を除いて、何本もの倒木に朽ちたものが大量に干からびていた。ナメコは乾燥していたが、10月下旬に来れば、イヌブナに生える様々な種を撮ることができそうだ。ただし、この場所は特別にキノコが豊富なわけではない。ここでも以前はキノコ採りは盛んに行われていたが、10年前から採ることができなくなったので、残っているだけだ。

 

朽木のコケが美しかった。

 

Fagus japonica is a beech species endemic to Japan. Two species of beech are distributed in Japan, F.crenata and F.japonica. F.crenata is popular, but F.japonica is not well known. F. japonica is closely related to F. engleriana in China, but different species.

11月11日、宮城県