藤子・F・不二雄「キテレツ大百科(1)」 | ロロモ文庫

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吾輩はコロ助ナリ

ロボット作りに失敗する英一。「しかし、僕はくじけないぞ。エジソンだって失敗を重ねて、あの大発明をしたんだから。設計からやり直しだ」「英ちゃん、おつかい」「今、研究中で忙しい」「また。くだらない工作に夢中になって」「くだらないとは何ですか。今にきっと僕の発明が世界人類のために役立つ時が」「世界人類もいいけど、今すぐママの役に立ってもいいんじゃない」「むう」

やむなく買い物に行く英一。「どうも女の人は目先のことしか考えられないんだな。あのロボットが完成すれば、おつかいでも何でもやらせられるんだ。世界中のママが助かるのに。それにしてもなあ。あのロボットをどう直せばいいか。歯車もゴムベルトもダメとなれば。何かいい思い付きが閃かないかな」

考え事をしながら歩いたため、野球のボールを頭にぶつけてしまう英一。「野球やってる真ん中にノコノコ出て来るやつがあるか」「キテレツのバカ、またボンヤリ考え事をして歩いてたな」

英一に注意する美代子。「空想にふけりながら歩くのはおよしなさいよ。いつもそれで失敗してるから、キテレツなんて変なあだ名がつくのよ」「いや。僕はその名に誇りを持っている。うちの先祖に」「キテレツ斎って人がいるんでしょ」「その人は大発明家で」「世界で最初に飛行機を作ったのよね」「美代ちゃん」「覚えちゃったわ。何度も聞いたから。でも、おかしいじゃない。そんな大発明の記録も作品も残ってないなんて」「僕が嘘をついてると言うの?」「そうじゃないけど」「僕はちゃんとパパに聞いたんだ」

父の英太郎に確認する英一。「あれ、ほんとでしょ。うちの先祖のこと。江戸時代の発明家」「キテレツ斎のことかい?ほんとだよ」「詳しく聞きたい」「変わり者だったらしいね。家が農家だったのに発明ばかり打ち込んだ」「飛行機を作ったんだって」「安政6年と言うから、1859年。リリエンタールのグライダーより32年早かった」「凄いなあ。みんな、どんなにか感心しただろうね」「感心しない」「え」

「怪しげな術を使い、世の中を騒がせたと言う罪で、代官所に捕まった」「そんな。無茶苦茶だ」「そういう時代だったんだよ。沢山の発明品やその記録は残らず焼き捨てられたそうだ。キテレツ斎は死ぬまで座敷牢に閉じ込められて、しまいにはおかしくなったと言うことだよ」「するともう何も残ってないんだね」「いや、何にもと言うわけじゃない」「え」

「ずっと前、田舎に帰った時、倉の奥から見つけたんだが。これだ」「奇天烈大百科と神通鏡?」「その本はキテレツ斎が自分の発明を書き残したもの、その眼鏡はなんでも見えものらしい」「凄い、あれ、どのページも真っ白じゃない。神通鏡なんて言って、ただの眼鏡と変わりないや」「ははは、どっちも役に立たないね」

ガッカリして床につく英一。「パパも人が悪いや。さんざん気をもたせといて。それにしてもキテレツ斎は気の毒な人だなあ。あまりにもずば抜けた天才は理解されないんだな。よし、僕はキテレツ斎の後を受け継ぐぞ。明日から形見の神通鏡をかけて、白紙の大百科に僕の発明をギッシリ書き込もう」

あっと驚く英一。「大発見。キテレツ斎様は目に見えない光を出すインクを発明したんだ。神通鏡のレンズだけがその光に感じるんだな。素晴らしい発明がキッシリだ。明日からこれ全部作ってみよう。おや?これは。からくり人間製法。ロボットの作り方かな。やっぱりそうだ。なるほど、こんな方法があったのか。これなら僕にも作れるぞ」

ロボット作りを始める英一。「丸きもの用いるべし。頭部となす。頭には丸い材料を使えと言うことだな。このゴムまりがよさそうだ。胴体は円筒形にして、高さ四寸、直径七寸。一寸早く3センチだから、高さは12センチ。洗面器がぴったりだ。腕には皮を用いて管となす。エレキを導く赤金の線を用いるべし。エレキは電気、赤金は銅線のことか」

怒鳴る母の美智子。「英ちゃん、朝ご飯を食べなさい」「忙しいから後で。そういう小さいことにこだわってる暇はないんだよ」嘆く美智子。「もう、夢中になって。前よりひどくなったみたい」はははと笑う英太郎。「困った奴だな」

できたと喜ぶ英一。「キテレツ斎様の天才のおかげで、長い間の夢だったロボットがついに完成したんだ。お前の名はコロ助だ。で、では、スイッチを」「そんなことしなくても動けるナリ」「凄いロボットだ」「それほどでもないナリ」「これで満足しちゃダメだ。ただちに次の発明に取り組もう」「仕事しやすいように片付けるナリ」「気がきくなあ」

早く朝ご飯を食べなさいと怒鳴る美智子。「英ちゃん、いい加減にしないと怒るわよ。え」コロ助に物置に閉じ込められる美智子。「出してえ」「仕事の邪魔、片付けたナリ」「気がききすぎるよ」