作:ケニー鍋島 画:前川つかさ 「票田のトラクター(29)」 | ロロモ文庫

ロロモ文庫

いろいろなベスト10や漫画のあらすじやテレビドラマのあらすじや映画のあらすじや川柳やスポーツの結果などを紹介したいと思います。どうぞヨロピク。

解散秒読み

中京市に戻り、半年以内に解散総選挙になると説明する稲山。「まだ野党はおろか、わが民自党内にも中野総理と中村幹事長の意中は伝わっていません」「しかし、実力者ゴルフ会談からして飛田や宮原は解散総選挙を知っとるわけじゃろ」「無論早晩そうなることは知っているけど、いつかと言う点は中村幹事長の胸三寸なんです」「鍵は中野が握ってるんじゃないですか」「中野総理は卑劣にも幹事長の弱味を握って、政権延命に成功したかに見えるけど、譲歩したように見せかけて、その実、解散総選挙の命綱はしっかり握っているわけです」「なるほど」

「幹事長の狙いは野党対策と金です。中村幹事長の政治手法から言って、抜き打ち解散はあり得ない」「話し合い解散か」「そう。と言うことは野党の同意を得るには、中野の力ではなく野党に太いパイプのある中村でなければできない」「なるほど」「それと選挙資金作りです。ご承知のように派閥主催の資金集めパーティー自粛の申し合わせで、各派とも財政的に苦しく、選挙資金手当が思うようにいかないと思われます」「ああ」

「幹事長は党員、各種の寄付だけでなく、選挙資金も党の名で集め、各派に分配することで幹事長の指導力を不動のものにしようとしている」「恐ろしい政治力だ。中野はただ解散総選挙をやらせてもらうだけですか」「その上、幹事長は総選挙に立候補する中村、飛田、宮原派を最大限公認し、中野派の候補者の公認を最小限にする秘策を練っています」「そんなことができるのあ」「中野派の議席を減らしながら、民自党が勝利する作戦です。選挙後の政局の主導権は中村が握ることになるでしょう」

どういうことかと稲山に聞く五輪。「あの伝間は1年生議員の分際で自治政務次官になるとは」「俺にもわからん。堀塚さんがさっき電話で教えてくれたんだ」「今の政務次官が病気で辞任するとは聞いてましたが、同じ中村派の枠なら3、4年生から選ばれるのが筋でしょうが」「大抜擢もいいとこだ。何か裏がある」

全ては中野のゴリ押しだと稲山に説明する中村。「総理が強引に一本釣りですか」「そうだ。ワシも強く反対したが、「前回の内閣改造の時、私は熊沢君の通産大臣時代を望んだが、あなたはあくまで反対した。私のメンツは丸つぶれだった。今回はたかが政務次官ではないか。私の顔を立ててもいいでしょう」と言われた。そこで中野の主張を認めた」「……」

「それと内密に総理に次の選挙で錦岩を応援しないことを約束させた」「錦岩を?」「総理が伝間にこだわったのは、私に譲歩させることで自分がこの私を押さえていると内外に印象づけるためだ。ワシのメンツを潰すことしか考えておらん。そのためにも錦岩など御用済みなのよ」「しかし」「君にはすまんと思う。だが、政治には時の味方が必要だ。今は総理に一歩譲り、ヤツを安心させていて、総裁選を俺が取り仕切る体制作りが急務なんだ」「先生」