国友やすゆき「新・幸せの時間」(30) | ロロモ文庫

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献身

「私、これからもう一度渋川さんと会って取引をまとめてまいりますわ」「えっ、遠藤君。それって、つまり君は」「この話がうまくいかないと困るでしょう、課長」「それはそうだけど」「おまかせください。この私に」「遠藤君」

(信じられん。なぜだ、遠藤君はなぜ僕のためにそんなことまで。小夜ちゃん。とても無理だ。こんな心境では)「はい」「あ、僕だけど。ごめん、どうやら君と過ごす時間はとれそうにないんだ」「そう。仕方ないわね。お仕事だもの」「本当にすまん」「ところでどうして遠藤さんが来てるの。父の会社では男女の出張が許されてるの?」「それは、つまり、彼女は別の用で出張してきたんだよ」「でもタクシーに乗っていた方は、良介さんと遠藤さんの二人に同じ仕事の話をするつもりだったんじゃ」「そうなんだけど、つまり」「良介さん。遠藤さんとも関係してるの?」「え、そんなことは、まさか」「そう、わかったわ。じゃ」「小夜ちゃん」(まずい。大変なことになった)

遠藤の体を貪る渋川。「あうう」「へへ。思ったとおり、いい身体してるぜ。あんた」「くう。ああぅ」「たまんねえぜ」「あはっ。おおお」「朝までたっぷり楽しませてもらうぜ」

契約書にサインする渋川。「よし。これでOKだな」「ありがといございました」「また何かほしいものはあったら言ってくれ。すぐに用意するよ」「はい。ぜひまた」「な。遠藤君」「そのようなお話は課長と」「あんたとしたいんだよ。商談は」

遠藤にありがとうと言う良介。「ほんとに何とお礼を言ったらいいか」「課長。もう一泊してくださいませんんか」「え」「私、言いましたわ。この出張の間だけは課長を独り占めさせてくださいって。でもこの束の間の出張の中で、私、昨日とても貴重な一夜を失ったんです、それを取り戻したいの」「しかし、明日も仕事があるし」「課長、私、課長のために一生懸命頑張ったつもりです、小夜子さんには絶対にできないことまでして」「……」「それでもいけませんか。こんなおねだりをしては」「……」

「もしもし」「あ、良ちゃん。仕事終わった?」「あ、実はもう一つ別の案件が」「え」「でもそんなに時間はかからないよ。きっと夕食までには帰れると思う」「そう。じゃあ待ってるから」(どうしても、もう一泊する口実が見つからなかった。こうなったらギリギリのところでトラブルが起こって帰れなくなったと言うしか)

海に行く良介と遠藤。「日本海か。冬と違ってこの季節はとても穏やかだね」「キスして」「えっ」「おねがい」キスする良介と遠藤。「来て」「えっ」「お願い。ここで今すぐ抱いて」「え。待ってくれよ。まだこんなに明るいし、人もいるんだよ」「そんなこと構わないわ。いいえ、私、むしろみんなに見てほしいの。私たちが愛しあってるところを」「遠藤君」「お願い。課長の愛で忘れさせて、昨日の悪夢を」(そう言われれば僕にもはやノーと言うことはできなかった。彼女への借りはあまりにも大きすぎた)