タイガーマスク 第30話 | ロロモ文庫

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不滅の闘魂「力道山物語」

必殺技ができないと悩むタイガーを嵐虎之助のところに連れていき、急用ができたと言って帰る馬場。「タイガー君。君は焦り悩んでいる。なんとかして早く必殺技を編み出そうとして」「嵐先生、どうしてそれを」「君の試合ぶりを見ればわかる。しかし必殺技というものは焦っても簡単に得られるものではない。あの男も君と同じように悩んだものじゃ。いや、君以上かもしれない」「あの男?」「力道山じゃよ」「力道山先生」

力道山は日本に初めてプロレスを伝え、苦難の末に今日の黄金時代を築き上げたと語る嵐。「それと同時に自分の技を磨くことにも人一倍熱心だった。だからこそ世界中のレスラーを震え上がらせた一発必中の必殺技、空手チョップを生み出せたのじゃ。しかし、それまでには長い苦闘の時代があった。力道山は大相撲の関脇まで上がり、滅法力が強く、得意の突っ張りで相手を追い込む相撲は、それは見事じゃった。まもなく大関という声も上がったが、深夜の自宅で突然髷を切ってしまったのじゃ。だがそうしたことには固い決意が秘められていた」

惜しいと力道山に言う嵐。「君は横綱まで行ける男だと信じていたのじゃが。で、力士を廃業して何をやるつもりじゃ」「嵐先生。わしは新しいスポーツ一筋に打ち込んでみたいです」「新しいスポーツ」「プロレスリングです」「レスラーねえ」「わしはプロレスを見て、これこそ男の生きる世界だと思ったのです。わしはレスラーとして世界中の荒くれ男と勝負をしてみたいんです」「そうか。しかし土俵では今君は関脇だが、リングではまったくの素人。君の行く道には計り知れない苦難があるぞ」「覚悟はできております」

相撲を廃業して一年後に力道山は試合をして引き分けたと言う嵐。「しかし、試合内容な負け試合だった。彼は大相撲で鍛えた力を出し切れる必殺技は何かと必死になって考え、猛特訓をした。そして空手、柔道も自分の中に取り入れ、自分の突っ張りを発展させた一発必殺の技、空手チョップを作り上げ、破竹の勢いで勝ち進み、全力ファイトのレスリングは日本にプロレスブームを呼び、とうとう無敗の王者ルー・ゲースを破って世界チャンピオンとなったのじゃ」

力道山は不慮の死を遂げたと話す嵐。「しかし、その遺志と空手チョップは今も立派に受け継がれている。地下に眠る力道山もきっと満足しておるじゃろう」「……」「タイガー君、力道山の冥福を祈って、わしの剣舞でもお目にかけようか」「ぜひ、拝見したいものです」「庭へ出よ」

空中に舞い上がって、木を真っ二つに斬る嵐。(あれだ。俺の探し求めていたものはあれだ。落下する時、全体重を刀に込めて斬る。嵐先生は俺に必殺技のヒントを授けてくれた)「どうした、タイガー君」「いえ、あまりに見事な剣舞なもので」「君もやってみるか」「いや、私は日を改めて、リングでタイガーマスクの技の舞いをご覧にいれます」「ほう。ぜひ拝見したいものじゃ」(つかんだぞ。技のヒントをつかんだぞ。力道山先生、見ていてください。タイガーマスクは空手チョップに勝るとも劣らない必殺技を身につけてみせます)