シルミド | ロロモ文庫

ロロモ文庫

いろいろなベスト10や漫画のあらすじやテレビドラマのあらすじや映画のあらすじや川柳やスポーツの結果などを紹介したいと思います。どうぞヨロピク。

1968年、北朝鮮軍の特殊工作部隊31人がソウルに潜入し、大統領暗殺を試みるが未遂に終わる。対立するヤクザの結婚式に乱入して、ヤクザを刺したインチャンは死刑を宣告される。お前の父はスパイ容疑で逮捕され裁判中に脱走したと言われるインチャン。「捜索するが見つからず、北に渡ったと推定。その息子インチャンは当時15歳。高校進学をあきらめ、その年に5社、翌年に7社、就職試験に落ちる。17歳で暴力団員になり、殺人未遂罪で死刑確定。父親に邪魔された人生をナイフに託すのか?」「……」「父親に罪がなければ死刑は免れただろう」「あんたは誰だ」「連座制と言う父親の呪縛から解放されて人生をやり直せるなら?国のためにナイフを握ってみないか」

船に乗せられる31人の死刑囚たちは喧嘩を始める。「やめろ」と銃をぶっ放すチョ。「もうすぐ島だ。3つ数える間に島に飛び込め」「馬鹿言うな。てめえが飛び込め」「1」「寒くて死にそうだ」「2」「勝手すぎる」「3」マシンガンをぶっ放すチョ。慌てて海に飛び込み、泳いでシルミ島にたどりつく死刑囚たちに私は軍人だと言う教育隊長。

「お前たちは死刑囚や社会のどん底で生きるクズだ。だがその軍服を着た瞬間、私とお前たちの目標は一つ。韓国を守り、祖国統一を果たす同志になるのだ。自分の命と国家を守れるようにここにいる兵士がお前たちを指導してくれる。訓練は過酷だが、それに耐えた時にお前たちは最高の軍人として認められるのだ。覚悟ができた者は軍服を着ろ」軍服を着る31人。諸君は韓国684特殊部隊の正式な隊員になったと言う隊長。「我々の目標は北に行き、金日成の首を取ること」

過酷な訓練を訓練兵に課す指導兵。「北の特殊工作員は我が大統領の首を取るために38度線を超えてきた。彼らは失敗した。だが684部隊の31人は奴らより1秒でも早く。1秒でも遠くへ行って、必ず金日成の首を取る」教育兵たちにもっと厳しく教育しろと制裁を加えるチョ。「これでは38度線にも近づけやしない」北に捕まったら必ず拷問を受けると訓練兵に言うチョ。

「これから拷問に耐える訓練を行う」焼き鏝を背中に押し付けられ、訓練兵は次々と海に飛び込むが、インチャンとサンピルとクンジェは耐える。何を考えて耐えたと隊長に聞かれ、インチャンは「ピョンヤンに行くことを」と答え、サンピルは「インチャンが耐えたのでつられて」と答え、クンジェは「組長として生きた日を思えば何にでも耐えられます」と答える。三人を班長にしろとチョに命じる隊長。

班対抗のボクシング試合でインチャンにボコボコにされたサンピルはインチャンに喧嘩を売る。喧嘩をするなら負けた奴はこれで首を切れとナイフを投げるクンジェ。「ここで喧嘩したらすぐに教官に見つかって、朝まで殴られる。そしてまた喧嘩に決まってる。最後だと思えば、ヤキを入れられても我慢できるだろう。相手を殺さないならやめろ」クソッタレと向かってくるサンピルを殴り倒すクンジェ。

北朝鮮に入るルートを検討する隊長とチョとパク。「北の工作員の来た道を逆に戻って、金日成の首は勿論、軍部も国家保安部も皆殺しに」と言うチョに、「陸路で一週間は長すぎる」と言うパク。「彼らの失敗も時間のせいでした」「648部隊を北の特殊部隊以上の実力に作り上げます」「海から入ればモラン峰に続く道を利用して、金日成官邸には1時間で着けます。海路でイムジン川に入り、作戦を開始すれば翌日5時にテドン川に到着。出発から2日で目標に達成できます」長時間の水泳は不可能だと言うチョに可能だと言う隊長。「私が利用していたコースだ」

訓練兵に65秒以内で縄橋を通過しろと命令するチョ。「1秒でも遅れたら撃つ」サンピルの班のチャンソクは縄から落ちて重傷を負う。続いてインチャンの班のジヨンは途中で吐き気をもよおし止まってしまう。ジヨンに縄にぶらさがれと命令し、その間に班員に縄橋を通過させるインチャンは、ジヨンを助けに行く。65秒過ぎてジヨンを撃とうとする指導兵に銃をおろせと命令するチョ。しかしインチャンが助ける前にジヨンは縄から手を滑らせて転落死する。インチャンの指示は正しかったと言うチョ。「一人を犠牲にしてもみなの命を救った。彼を見習うように」「……」「わかったか」「わかりました」

チャンソクに島から出ろと言うチョ。「ここでは治療できない」「ここにいさせてください。またムショに戻って死刑を待つのはイヤです。ピョンヤンに行って、金日成の首さえ取れば、無罪放免の上、報奨金も出て、将校になれると聞きました」「その体で何ができる」「料理でも掃除でも。一人で便所掃除でも構いません」誰かがそんな仕事をすれば他は訓練に集中できるとチョに言うクンジェ。戦友の料理は作れるかとチャンソクに聞くチョ。「はい。料理は得意です」仲間に命拾いしたなと言われて喜ぶチャンソク。

なぜチャンソクを島に残したんですと聞く隊長に聞くソンダク。「軍人精神で団結できる。いい機会だ」「死亡事故のことも忘れられます」「何の話だ」「応急措置をすべきでした」「訓練ならば中断したが、これは訓練ではない。実戦だ」「……」「お前は考えるだろう。正しいか、間違ってないか」「それが悪いですか」「悪い。ここは簡単に階級章が出る軍隊じゃない。ここがどこか忘れるな。シルミ島だ」

それから3か月たち、私は北に20回行ったと訓練兵に語る隊長。「しかし金日成暗殺を考えたことはない。考えられなかったと言う方が正しい。私にはお前たちのような仲間はいなかった」「……」「明日の夜、決行だ。死んだ者たちの魂を含め、最強の31人に乾杯」「乾杯」「練兵場の中で思い切り楽しめ」

豚の丸焼きを食い、ヘビ酒を飲んで大騒ぎする訓練兵。生きて帰ってくれと怒鳴るチャンソク。「俺も684隊員だから。祖国統一を果たした684隊員として胸を張って、国から金を貰うんだ」俺たちは684部隊だと怒鳴るサンピル。「絶対に死ぬもんか。最強部隊だ」本当は皆怖がってるんですとソンダクに言うクンジェ。「あなたは平気ですか」「丁寧な言葉は使わないでください。僕は21歳です。今まで酷いことを言って、申し訳なく思ってました。無事に帰れますよね」「勿論です。生きて帰るために死ぬほど苦労したんです」

決行の夜、684隊員に演説する隊長。「大韓民国の統一の歴史は今始まった。その最初のページは諸君が開くのだ。この日のために諸君は若さと命を賭けた。金日成が最後に見るのは誇らしい684隊員の刀と銃だ。金日成の首に太極旗を突き刺せ。諸君の勇気と犠牲を永遠に忘れないだろう。生きて帰った者は38度線のない朝鮮半島で最強の英雄として生きるのだ。大韓民国、万歳」

「大韓民国、万歳」「祖国統一、万歳」「祖国統一、万歳」「84特攻隊、万歳」「684特攻隊、万歳」684部隊はボートに向かって、北朝鮮に向かうが、本部から作戦中止命令が出たために引き戻されてしまう。行かせてくれと叫ぶサンピルたち。「俺たちだって出来るんだ」「金日成の首を取る」「クソったれ。行かせてくれ」

ソウルで将軍と会う隊長。「作戦再開の時期は?」「私は決められん」「作戦実行のために訓練してきました。今や隊員は時限爆弾のようなものです」「隊員が時限爆弾になるか、精鋭になるかは、隊長の力量では?」「取り消しの理由は?」

南北関係は毎日変化していると言う将軍。「684部隊を作った時点では、一般市民が金日成打倒を叫んでいた」「国家のために作った部隊ならば国家が責任を取ってください」「どうやって」「正式な空軍と認めてください」「それはできん」「私をはじめ教官は空軍所属です」「まだわからんのか。訓練は我々空軍の担当だが、684関連の全ての責任は中央情報部にある。以前の担当者は人事異動になった」

そこに現れる中央情報部長はシルミ島の件はどうなってますと将軍に聞く。「今、その話をしてたとこです」「旧時代の遺物を清算してこそ、新時代が迎えられます」684部隊が旧時代の遺物ですかと言う隊長に平和統一が国政の方針となっていると言う局長。「前中央情報部長が作った殺人部隊が遺物でないと?」「……」

「死刑囚に金日成の首を取れと教育した事実が外国に知れたら野蛮な国家と思われます。この件が片付けば、隊長の前途も開けるでしょう。これも全て国のためです」「政治家も軍人も各自の役割を認識し、それぞれの責任を果たしてこそ、良い国になるのでは?」「シルミ島特殊部隊の隊長はロマンチストだな。あるいは平和統一を望まずに殺し屋を送り込んで、朝鮮戦争で殺された家族の復讐がしたいのか」「軍人の任務に私情を挟むのは教わったことも教えたこともありません」

それから数か月後、ソウルに行きせめて684部隊をベトナム戦争に使ってくれと部長に訴える隊長。「684部隊の戦力は世界のどこでも通用します」「隊員が世に現れた瞬間、金日成殺害の特殊部隊も世に知れる。30人のために国民の願う平和統一を破棄しろと?機密は保持すべきだ」「しかし彼らと約束を」「立派な軍人の美徳は絶対服従だ。隊長に下された命令は684部隊の抹殺だ」「誰の命令です」「国家命令だ」「私は彼らを殺せない」「君の部下も犠牲にするか」「何を言う」「一週間与える。その後は684部隊は我々が引き継ぐ。その方法はお前を含む指導兵と訓練兵の全員射殺だ」

サッカーに興じる訓練兵と指導兵を見つめる隊長。あいつらは腹ペコでよく走るなとサンピルに言うインチャン。「殴る奴も殴られる奴もアレをしないから元気なのさ」お前のアレはアメリカ製かとインチャンに聞くサンピル。何の話だと言うクンジェ。「こいつ、いい写真を見てるんだ。それは白人か、黒人か?」「本当か。見間違いだろう。俺たちは手ぶらで来た」「何でもできる。ケツの穴に煙草20本隠してる奴もいた」見るかと言うインチャンに最初からそう言えよと笑うサンピル。

宿舎の裏でサンピルとクンジェにボロボロの写真を見せるインチャン。「なんだこりゃ」「白人でも黒人でもない」そこに現れ、写真を出せとインチャンに言うチョ。「一枚しかない母の写真です。二度と見ません」「なんだと」そこに現れる隊長。「どうした」「インチャン班長が私物を持ってました。母親の写真です」隊長に写真を渡すインチャン。チョに写真を渡す隊長。写真をびりびり破るチョ。やめろと怒鳴るインチャン。「こういうものを持っていると折角の三年間の苦労が無駄になる」インチャンに銃を差し出す隊長。「俺を撃てば写真だけでなく、生きてる母親に会える」「おふくろにはピョンヤンから帰って会います」「お前は24時間謹慎だ」

チョとパクに部隊を抹殺しろと命令が出たと話す隊長。「我々の手で隊員を殺せと」「もし遂行しないと」「訓練兵に同情してることになり、684部隊の機密保持ができないと言う論理の元に、我々も抹殺される」いずれも理不尽だと怒るチョ。「あの有能な隊員は殺せません」殺すしかないと言うパクに激怒するチョ。「あの哀れな奴らを」「でも一緒に死ねない。あいつらと母親のどっちが大事だ」「……」「俺に一か月後に生まれるわが子を見ないで死ねと?」ひどすぎると激怒するチョ。その会話を監禁室で聞いて驚愕するインチャン。

作業中に放心状態となるインチャンにどうしたと聞くサンピルとクンジェ。チョを出張に出してくださいと隊長に言うパク。「そうすれば好都合です」「この状況で出張命令を出して素直に従うか」「本部への最後の説得だと。そう言えば行くはずです」船に向かうチョを見て、休暇ですかと聞くインチャン。「出張だ」「今晩は帰ってきますか」「明日には戻る」訓練兵の実力は知ってるだろうと指導兵に言うパク。「殺戮戦になるのを防ぐために、夜明け前に全員抹殺すること」ほかに方法はないんですかと言うソンダクを殴り倒すパク。「殺せ。あいつらを。でないと俺たちが殺される」

真夜中に起きる訓練兵。「皆殺しにするのか」「あいつらが仕掛けてきたんだ。俺たちに余裕はない」「20分以内に終えないと勝ち目はない」「代わってくれ。俺にはできない。俺の指導兵は一週間後に除隊休暇と喜んでいた」「自分だけカッコつけるな。それぞれの担当を殺すんだ」指導兵と訓練兵の戦いが始まるが、訓練兵は指導兵を圧倒して次々と殺戮する。

隊長に銃を突きつけるインチャン。「我々の任務はピョンヤンに行くことだったはず」「私の任務は国家命令に従い684部隊を精鋭部隊にすること以外に、国家の命令に従うこと。国家は私に684部隊の解散を命じた。私の任務はお前を殺すことだ」「じゃあ、なぜ、こうなるのを知ってながら盗み聞きさせたんだ。部下が殺されると言うのに」「部下に軍人の任務を果たしてもらうためだ。だが私は軍人としての任務より、お前たちとの約束を果たしたかった」「卑怯な選択だ」「ああ。私は卑怯で無能な隊長だ。私を撃て。さもないとお前を撃つ」隊長を撃てず銃を下ろすインチャン。拳銃で自分の頭を撃つ隊長。

射殺したソンダクを抱きしめ涙するクンジェを射殺するパクは、サンピルたちに取り囲まれる。「お前が最初に裏切ったそうだな。チョ2曹でさえ反対したのに」「お前らは死ぬ運命だが、俺達まで死んでたまるか」「俺たちが死ぬ運命だと?」「お前たちの住民登録は抹消されていた。つまりここに来た時から幽霊だったんだ。成功しようと失敗しようと関係ない。名前もない犯罪者のお前らと俺は違うんだ」一斉射撃を受けて死ぬパク。

戦いが終わり、俺たちは最初から誰にも知られず利用されて消される計画だったのかと呟くチャンソク。「金日成の首を取ってもどうせ死ぬ運命なんだ」「だが俺の墓に俺の名前を刻めないってことだろ」「国立墓地に埋葬されたかった。そしたら一族で一番の出世だったのに」最高の精鋭部隊なら大出世だと言うインチャン。「最高?誰が認めてくれる」「大統領に知らせに行けばいい」

シルミ島を出たインチャンたちはバスジャックをして、大統領官邸に向かう。ニュースを告げるラジオ。<約20人の武装共産ゲリラがソウルに向かっています。危害を加える恐れがありますので、市民の皆さんは気を付けてください>俺たちは共産ゲリラかと呟くサンピル。「共産ゲリラに金日成の首を取りに行けと?」

バスはバリケードを強行突破するがチャンソクは狙撃される。奴等はゲリラじゃないと電話で怒鳴るチョ。「あいつらは大韓民国の684特殊部隊の隊員だ」共産ゲリラってのはひどすぎると呻くチャンソク。「無人島で人の殺し方を教わって軍服を来て現れたから、そう見えたのかも」事切れるチャンソク。

バスはソウル市内に入るが、軍と警察に取り囲まれてしまう。サンピルに全員逃げろと言うインチャン。「アカの親父を持った馬鹿な奴に手榴弾で脅されて、連れてこられたと言え」カッコつけるなと怒るサンピル。「ウォンサン。全員連れて逃げろ。奴らも頭がある。馬鹿一人に脅されたと言っても信じてもらえない。二人は必要だ」勝手なことを言うなと怒るウォンサン。「逃げたい奴は行け。俺は残る」人数は多い方がいいだろと言うジャンス。「サンピル。まだ班長気取りか」「俺は永遠に班長だ」「下っ端は永遠に下っ端だ。俺たちにもカッコつけさせてくれ」

そこで軍と警官は一斉射撃をする。応戦するインチャンたち。「いい加減にしろ。民間人もいるんだぞ」射撃中止と叫ぶ少佐。「隊長。人質が窓際にいます」無線連絡を受ける大佐。「5分後に射撃再開」「人質は?」「無視しろ」「市民の眼が」「命令だ」大佐に彼らは私の部下ですと言うチョ。「私が説得します」「こいつをつまみ出せ」「奴らはゲリラじゃない」「どこかに連れて行け」

サンピルに大丈夫かと聞くインチャン。「これくらい平気さ」貼り合わせたインチャンの母の写真をインチャンに渡すサンピル。「渡すのを忘れてた。少し欠けてる。チョの野郎。メチャクチャに破りやがって。でもあの野郎がこっちにいてよかった」コ下士官も生きていると言うドキョン。俺も指導兵を一人助けたと言うスヨン。俺たちはどうせ死ぬと言うウォンサン。「共産ゲリラ19人死亡って新聞に出るさ」

それも面白いと言うインチャン。「太った共産ゲリラ1。足の短い共産ゲリラ2。大食いの共産ゲリラ3。左の脇の下に毛がない共産ゲリラ4」ナイフで自分の腕を切り、血文字で自分の名前を書くサンピルたち。

お前の名がないとインチャンに言うサンピル。母の写真を胸に抱くインチャン。「いいか」「ああ」怒鳴るインチャン。「お前ら早く出て行け。くたばりたくなかったら」バスから出る乗客と運転手。手榴弾を手に取るインチャンたち。「準備できたか」「はい。準備できました」バスは大爆発し炎上するのであった。