レモ 第1の挑戦 | ロロモ文庫

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チンピラ三人組に車の中に閉じ込められて川の中に沈められ、意識を失うニューヨーク市警のマッキン。「ここはどこだ」「もう退院できる」鏡を見て、自分の顔が全く違うことに驚くマッキンに細工したのさと言うマクレリー。「君は殉職したことになっている」「理由があるんだろうな」「君は秘密組織に採用されたんだ。君はもうマッキンでない。顔も指紋も名前も変わった。レモ・ウィリアムズ。君が一番適任者だ。もと海兵隊員で勇敢な警官だったし、家族も係累もない」「君の組織にも人材がないね。FBIか、CIA?」「お前さんをここまで持ってきた組織さ」君が必要だとマッキンに言うマクレリー。「警察も政界も腐りきってる。悪党がのさばる世の中だ。君にそいつらを始末してもらいたい」「俺を罠にかけたんだな」「よろしくな、レモ」

レモを上司のスミスのオフィスに連れて行くマクレリー。「あんたが俺の顔を変えてくれた人だな」「必要上さ。我々に仕事を説明する」「人を殴って誘拐しても責任を負わない組織だ」「責任は負ってる」「大統領にか?」「ああ、歴代のね。いつからか忘れたが」「協力する気はない」「わが国では司法制度がうまく働いていない。罪を犯しながら罰せられない有力者がいる。憲法の諸原則を踏みにじってる連中だ。汚物処理に手を貸してくれ」「汚物処理はいいね。殺すや始末するよりずっといい。もし断ったら?」「死んでもらうしかない。棺桶はできている」「……」

初めは簡単な殺しだとレモに言うマクレリー。「慣れるためだよ。実地で覚えるに限る」「何をしたやつだ」「必要以上のことを聞くな」レモに拳銃を渡すマクレリー。「殺し屋だ。油断するな」「……」「いいか。やったらすぐ出るんだぞ」「あんたは?」「そばにいるよ」

古びた館に忍び込み、習字をする東洋人の老人に銃を突きつけるレモ。「あんたの主人に会いたい」「ここには私しかいない」「あんたを殺したくないが仕方ない」レモの放つ銃弾を交わし、レモの放つパンチもかわす老人。「黄色のちびめ。怒ったぞ」襲い掛かるレモを気功で投げ飛ばす老人。どうかねと老人に聞くマクレリー。「のろまだ。反射神経が全くなっとらん。身体もできとらん。しかし、目にかすかな望みがある。鍛えてみよう」「頼むぞ、チュン」

この仕事は不安と緊張の連続だとレモに言うマクレリー。「少しも息が抜けない。年金がつくまで生きられたら奇跡だ」「君はどうだい?」「ラッキーだったのさ」「ところで君は弾をよけられるか」「ゆっくり来てくれればね」「チュンと一緒に暮らせって?」「チュンも君を嫌がってたぞ。ハンバーガー臭いとね」「また罠にかけると、今度は撃ち殺す」「我々は銃なんか使わない。身体が武器になる。チュンに教えてもらえ」

わしはシナンジュの名人だとレモに言うチュン。「シナンジュは韓国の村の名前。あらゆる武芸発祥の地だ。カンフーも空手も忍術も影の存在にすぎん。シナンジュが太陽。白人に生まれたことはお前の責任でない。ここに来たのもお前の意志ではなかろう。だから一応の訓練が終わったら、解放してやる。そしてわしは国に帰る。シナンジュは太古から磨き抜かれた技だ。最も有能な人種によってな。韓国人は地球上の生物で最も優秀なのだ。まずは呼吸を覚えろ」

少しずつシナンジュを会得するレモ。「指を鍛えろ。指は食事をする道具ではない。武器になるのだ」「人殺しの?」「ただの殺しではない。アメリカの暗殺者は肉屋のように殺す。だがシナンジュは調和のために殺してきた」「社会に貢献したとでも?」「プロが手掛けた暗殺こそ、最高の社会貢献だ。お前は習得が遅い。毒になるものばかり食うからだ。なぜファーストフードと呼ぶか?墓への道を早めるからだ。これから米を食え」

テレビドラマ「夜の向こう側」を食い入るように見るチュンに面白いのかと聞くレモ。「お前の国のたった一つの芸術だ。家族、愛、名誉、勇気などを描く。人間性の最も高貴なものだ」「メロドラマが?」「邪魔をするな」「もう8時だ。腹ペコです」「食う事ばかり考えないで、技を磨け。何事も努力次第だと言うことは忘れるな」「いい言葉ですね」「余計なことを言わんで、修練しろ」

テレビを消して、ジムが退院するとレモに言うチュン。「母親の葬式に出る。看護婦が彼に惚れとる。しかし継母が問題だな。この缶詰の中身が問題だな。よく修行すれば米に蜜を入れてやる」チュンの放つ銃弾を交わすレモ。「引き金を引く筋の音を聞いたな」「筋肉の動きも見えました」「米に蜜を入れてやってもいいかな」砂浜に足跡を残さず走るレモを見つめるチュンに「おめでとう」と言うマクレリー。「韓国に生まれなかった不運を割引すれば、かなりいい線だろう」「いつ仕上がる」「もう少し」お前は体力も知力もまだ全部使ってないとレモに言うチュン。「シナンジュは全部を使う。それが秘訣だ。力の集中だ」「わかった」

軍需産業で巨万の富を築き、ハープ衛星防衛システムを開発し、アメリカの防衛システムの開発の独占を目論むグローブが最初の標的だとレモに言うスミス。「ヤツの悪事を暴くには証拠がいる。ハーブ衛星に関するデータが必要だ」マクレリーとともにグローブ社の工場に忍び込み、ディスクを盗むレモ。しかし逃走中に狙撃され、自ら命を断つマクレリー。

ハープ衛星は存在しなかったとレモに言うスミス。「ハープ衛星は何者かに爆破されたと言って、グローブはハープ2の予算を取る。また奴は大儲けだ」「マクレリーが命と引き換えに奪った資料でも、やつの息の根を止められないのか」「君がやれ」「……」「習った通り、事故のようにやれよ」

軍事ショーを開催するグローブを暗殺しようとするレモに心配になって見に来たと言うチュン。「まだ未熟なお前がシナンジュを辱めないかと」「辱めたら殺すか?」「いや、お前は白人の割によい生徒だ。わしに恥をかかすなよ。バカ息子」「大丈夫だ。パパさん」シナンジュの技でグローブの放つ銃弾を交わし、グローブを事故死に見せかけて殺し、脱出用のボートに向かうレモ。「チュン、どこにいる」レモの様子を見に行って逃げ遅れるが、湖の上を走ってボートに乗るチュン。「さすがだ」「早く走れば沈まん。急ぐんだ」「もう大丈夫だ」「ジムが歩けるようになるか気になる。医者がウソを言ったのか、継母が病院の建て増し資金を出すか」「呆れた人だ」「お前にはわかるまい」「帰国の予定は?」「当分ない」「それはよかった」