忍術児雷也 | ロロモ文庫

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天文6年。足利晴氏は、鯨波照忠、尾形弘澄、諏訪光明の三人に越後、更科、信濃を領地として与えるが、天文8年、鯨波は諏訪と手を組み、尾形を襲撃し、更科の地を奪い取る。

永楽7年、尾形の残党が現れたと鯨波に報告する家臣の五十嵐典膳。「彼らは宮原兵衛を首領とし、農民たちの信頼厚く、我らが攻めると百姓一揆になりかねません」「と言ってもこのままでは」「殿。毒を制するには毒を用いる。北陸の三太郎と称して恐れられてる輩がございます。一人は針木峠にたむろする針木太郎。一人は剣岳の大蛇太郎。一人は黒姫山の願人太郎」

黒姫山にやってきた針木太郎と大蛇太郎を迎える願人太郎。「越後の鯨波が緒方の領地を奪って、二十数年。何度も緒方の残党狩りを行ってきたが、ここに宮原兵衛が篠ノ井の里に隠れていることがわかった。そして宮原らを皆殺しにすれば金800貫を出すと鯨波の家老の五十嵐が言ってきた」大蛇太郎はその申し出に乗ると言うが、針木太郎はその話から外れると言う。「鯨波には恨みがある」

兄の周馬に父の宮原兵衛の具合が急に悪くなったと伝える深雪。急いで町へ薬を買いに行く周馬。宮原兵恵が危篤であることを綱姫に告げる針木太郎。「更科落城の際、姫の父親である大道寺蔵人様は先君と運命を供にしましたが、宮原兵衛様は幼君とともに城を落ち延びたと聞いております」「では篠ノ井の里には若君が。わらわは若君の妻と定められた女である。すぐに篠ノ井に参らぬと」「ではこの浜田波之進もお供します」

針木太郎と綱姫は篠ノ井に向かうが、大蛇太郎一党に襲われ、綱姫は崖から転落し、針木太郎は囚われの身となる。願人太郎一党は篠ノ井を襲い、深雪をさらう。薬を買って戻ってきた周馬は深雪が姿を消し、仲間が皆殺しにされ、傷ついた兵衛を見て驚愕する。「父上」虫の息で私はあなたの父でないと言う兵衛。

「あなた様は尾形弘澄公の忘れ形見周馬様。弘澄公は鯨波照忠と諏訪光明のだまし討ちに会い命を奪われ更科城を奪われました、以来、この兵衛はこの里で若様を我が子と育てたのです」「父上」「このたび我らを襲ったのは鯨波か諏訪の命令を受けたものに間違いありません。針木峠に浜田波之進が針木太郎と名を変えております。若様はそこに行き、時節をお待ちになってください」事切れる兵衛。

大蛇太郎は綱姫を探してこいと子分に命令する。親分の女好きも困ったものだと愚痴る子分たちは、巨大ナメクジに出くわして腰を抜かす。死んだように眠る綱姫のそばで祈祷するナメクジの精である老婆。「私は水に帰ります。この姫は私の跡継ぎに」周馬は針木峠に行くが、そこに針木太郎こと浜田波之進の姿がないことを知る。「父上、浜田波之進も父上と同じ運命をたどったものと思われます。しかし私は負けません。必ず深雪も取り戻してみせます」

酒盛りをする願人太郎と大蛇太郎。牢屋の中で話し合う針木太郎と深雪。「仲間は皆殺されたと言うのか」「はい。ただ私の兄の周馬は父の薬を買いに出たため、難を逃れました」「なに、周馬殿は生きてられるのか。若様、御無事でしたか」大蛇太郎は深雪を牢屋から出して凌辱しようとするが、そこに居合わせた諏訪の若侍の高遠弓之助は、大蛇太郎と剣を交え、深雪の危機を救う。

山中を歩く周馬は沼の中で巨大蛇と巨大蝦蟇が戦う場面に遭遇し、短筒で巨大蛇を撃つ。巨大蛇に襲われた周馬は気を失うが、老人に声を掛けられて目をさます。「お前は何者だ」「私はあなた様に助けられた蝦蟇でございます。さきほどの大蛇はこの沼を住まいとするもので、しばしば私を襲ったのです。私は先ほどの戦いで全ての力を使い、まもなく死ななければなりません。その前にあなた様へのせめてものお礼にこの巻物を差し上げます。ここには「蝦蟇の妖術」を記した極意が書かれています。これを学べば、あなた様は千人力を得る事になります」事切れる老人。

酔っぱらって寝る大蛇太郎に襲いかかる傷ついた巨大蛇。「この俺はとうとう死なねばならぬ。おのれ、尾形周馬め。この恨みを晴らさずにおくべきか。そちは巳の年、巳の刻生まれ。俺が乗り移るには格好の男だ。俺はそちの体内に入る。そちは今日から大蛇丸と名を改めるのだ。そして尾形周馬を殺すのだ」

鯨波に引き渡された針木太郎は、磔の刑に処せられるが、そこに綱姫が現れて、妖術を使って針木太郎とともに逃走する。腰元の越路に化けた周馬は鯨波の前であでやかな舞いを見せると、正体を現して高笑いする。「わらわは尾形弘澄の忘れ形見、尾形周馬。今その方を討ち取るはいとやすきことながら、父の無念や二十数年次々と殺された家臣の恨みを思えば、その方の苦しみはまだまだ引き伸ばしてやらねばならん。今宵からその方は枕を高くして寝ることはかなわぬぞ」雲に乗って消えていく周馬。

諏訪大権現にお参りする諏訪光明の遺児の明科姫と満王丸を見つめる大蛇丸と願人太郎。「明科姫は美しいの」「鯨波家の若殿様との婚礼も間近いそうじゃ。お前が女好きでもあいつには手が届くまい」「それはどうかな、願人。俺は狙った女は外さない」「どうかな。深雪も外さなかったかな。ははは」

姫と呼ぶ針木太郎に私は姫ではないと言う綱姫。「私にはナメクジ様からもらった綱手と言う名があります」「あれぞ怨敵諏訪光明の遺児の明科姫と満王丸。何とかして近づきたいものです」「とは言っても、子供には何の罪もないのです」大蛇丸の子分たちは明科姫をさらおうとするが綱手と針木太郎に阻まれる。

綱手と針木太郎は諏訪城に招かれる。今後の対策が問題だと言う高遠弓之助の父の多聞之助。「明科姫と鯨波の若殿との婚礼は決まっておるが、先君は鯨波の甘言に乗って尾形を討ったことをいたくご後悔されていた。もし尾形の遺児が現れたら、足利家にとりなし、尾形家の再興を図ってやれと御遺言があったくらいだ。しかしそれを尾形の残党が知るよしもなく、鯨波の次に当家を襲うは必定。ご幼少の満王丸様のことが気にかかる。この先、いかにしてお守りすべきか」

周馬は妖術で鯨波の城を襲ったと言う弓之助。「されば、老師の大日方浄雲殿に妖魔退散の方法を聞きました。おっつけ何かの指示があると存じます」大蛇丸は巨大蛇となって明科姫を拉致しようとするが、巨大ナメクジに変身した綱手に追い払われる。二度も危機を救ってくれてと綱手と針木太郎に感謝する多聞之助。「いったいあなたたちはどなたでございます」「私は尾形弘澄の遺臣、大道寺蔵人の娘、綱。ゆえあって綱手と名乗っております」「私も緒方家の家臣、浜田波之進。ゆえあって針木太郎と名乗っております」

二人とも諏訪家に恨みがあるはずと言う多聞之助に当初はそうだったと答える針木太郎。「なれど、先ほどあなた様の口より先君に対する真の気持ちを知り、当家再興のためにはあなた方の力が借りることが必要と知ったのです」気がかりは周馬だと言う綱手。「早くお目にかかって、この事情を話さればなりませぬ。それでは失礼します」

蝦蟇に変身した周馬は満王丸をさらおうとするが、諏訪城にやってきた大日方浄雲は法力で満王丸を取り戻す。妖術を使って姿を消す周馬。浄雲は不動明王の剣である朝霧丸を弓之助に渡す。「この刀の前ではいかなる妖術も無力となるはずじゃ」

周馬を討てば褒美を倍にすると大蛇丸に言う鯨波。「大丈夫だ。蛇が蝦蟇に負けたと言う話を聞いたことがない。ついでに明科姫も褒美にくれよ」「無礼なことを言うな。姫はわしの息子の嫁じゃ」子分たちに周馬を探せと言う針木太郎。「それから宮原兵衛殿の娘の深雪様の消息も訪ねてくれ」

女郎屋で大騒ぎする大蛇丸と願人太郎。「俺はやっぱり諏訪に行くぞ。明科姫をかっさらってやる」「それでどこに行くんだ」「妙高峠だよ。俺はあそこに新しい山塞を構えたんだ。お前も尾形の残党に追われたら、そこに逃げて来い」女郎に化けた深雪は願人太郎を刺そうとするが、逆に取り押さえられてしまう。「ははは。待ては海路の日よりありだ。この娘を駕籠に放り込め」

諏訪城に忍びこんだ大蛇丸は明科姫を拉致しようとするが、弓之助は朝霧丸を使って追い払う。弓之助に大蛇丸の後を追えと命令する高遠多聞之助。願人太郎の前に現れる針木太郎。「願人。その駕籠の中を見せてくれ」「この中にいるのはわしが買った女じゃ」「無礼だぞ。その中にいるのはお前を父の仇と狙っている宮原深雪様だ」「うるせえ」

願人太郎の子分に襲われた針木太郎は崖下に落下するが、そこに巨大蝦蟇が現れ、子分たちは退散する。「お頭、大蝦蟇だ」「あれが噂の周馬こと児雷也か。奴に狙われては黒姫山も危ねえ。大蛇丸のいる妙高に行こう」意識を取り戻した針木太郎は蝦蟇が周馬に戻り消えていくのを目撃する。針木峠に戻り、周馬は妙高に行ったに違いないと綱手に話す針木太郎。

妙高峠に赴いた周馬こと児雷也は大蛇丸と一騎打ちをする。そこに弓之助率いる諏訪軍が乱入する。巨大蛇になった大蛇丸は巨大蝦蟇となった児雷也を圧倒するが、そこに巨大ナメクジとなった綱手が現れる。うめき声をあげて消えていく巨大蛇。弓之助の力を借りて、願人太郎を刺し、父の仇を討つ深雪。そして綱手は頼もしげに児雷也を見つめるのであった。