作:雁屋哲、画:花咲アキラ「美味しんぼ(647)」 | ロロモ文庫

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料理の勘

ギャンブル好きの中華料理人の永井に俺と勝負しろと言う山岡。「俺は賭け事に狂った料理人を何人か知ってるが、例外なく腕はボロボロだ」「なんだと」「じゃあ、俺と料理の勝負をしろ。お前の得意料理はなんだ」「チャーハンだ」「じゃあチャーハンで勝負してやる。判定するのはお前の店の常連だ」「ぬう」

チャーハンを作る永井。「ぬ、チャーハンの上にいろいろ乗ってる」「これはフカヒレの姿煮だ」「これは蒸しアワビの薄切りだ」「これはローストしたアヒルの皮の薄切り北京ダック仕立てだ」「チャーハンの具はエビ、中華ハム、アワビ、そしてスッポンの身を調理して細かく刻んだもの」「これはチャーハンの王様」

チャーハンを作る山岡。「ぬう、入ってるのはネギを刻んだものと炒り卵だけ。永井さんのチャーハンとは大違い」「このチャーハンの作り方は簡単だ。たっぷりの油を中華鍋にとって、ネギのみじん切りを入れる。香りが立ったところにカツオの塩辛たっぷり入れる。カツオの塩辛は油で炒めると、強烈な香りが立つ。この発酵した魚の香り、我々アジア人にはたまらなくいい香りだ。カツオの塩辛の香りが立ったところに飯を入れ、手早く炒める、それだけでは味が尖っているので、味を軽く丸くするために卵を入れて、さっと炒めて出来上がりだ。さあ、俺の方がうまいと思った奴、手を上げろ」

そんな馬鹿なと怒鳴る永井。「あれだけ贅を尽くしたチャーハンより、こんな貧乏たらしいチャーハンのほうが人気あるとは」「永井よ、チャーハンの美味しさとは何だ」「ぬ」「米の飯の味に決まってるだろ。あれこれ贅沢なものを使って、贅沢な味を味わうのは他の料理ですればいい。チャーハンの目的に外れたものを作ること自体、あんたの勘は狂ってる。その勘を鈍らせたのはギャンブルだ」「ぬうううう」