作:雁屋哲、画:花咲アキラ「美味しんぼ(618)」 | ロロモ文庫

ロロモ文庫

いろいろなベスト10や漫画のあらすじやテレビドラマのあらすじや映画のあらすじや川柳やスポーツの結果などを紹介したいと思います。どうぞヨロピク。

野菜が危うい(後)

そこに家庭菜園で採れた野菜を持ってくる大柱。「チンゲン菜とホウレンソウとソラマメだ。こうして栄養満点の新鮮な野菜を食べていれば、いつまでも健康で長生きできる。このホウレンソウ、農薬をまったく使ってなく、新鮮だからサラダで食べられる」「え、ホウレンソウにはアクがあるでしょ」「それは市販のホウレンソウだ。これは新鮮なだけじゃなく若いからアクは少ない」「ホウレンソウのサラダ、私も今度やってみよう」「おばさん、それは違うと思うわ」「ぬ。何が違う」

生で食べたら危ないホウレンソウが最近多いと大柱に言う陽子。「うちは農薬は使ってないぞ」「肥料は?」「自家製の堆肥に鶏糞、それに化学肥料を加えるが安全性は問題ない」「ずいぶん肥料を上げるのね。やっぱりこのホウレンソウは危ない」「ぬう」俺の出番だと言う山岡。「硝酸態窒素について教えてやる。大柱の菜園に行くぞ」

検査して大柱の菜園のホウレンソウは硝酸態窒素だらけと断言する山岡。「硝酸態窒素は人間の体の中でタンパク質とアミノ酸と結合して、ニトロソアミンという強力な発ガン性物質を作る。しかも血液中の酸素を運ぶヘモグロビンが酸化され、酸素を運ぶ能力が低下する。だから大量に硝酸態窒素を取ると、癌以前に危険な中毒症状を起こす」「ぬう」「他にいろいろ野菜を食べたら基準値を超過する。ホウレンソウだけじゃなく他の葉野菜はもちろん、大根のような根野菜も硝酸態窒素を含むからな」

肥料のやりすぎが駄目と言う陽子。「植物に必要な栄養分の中で窒素、リン酸、カリウムは土の中で不足しがちだから肥料として与えるけど、その窒素肥料が問題なの」「しかし窒素肥料は野菜を大きくいい形に作るには欠かせない肥料だぞ」「植物は窒素肥料を硝酸態窒素に形で体内にとりこんでタンパク質を作るの。でも肥料をやりすぎると植物の中に硝酸態窒素がたくさん残るの」「じゃこのホウレンソウも」「大きく立派に育てたい一心で肥料を与えたのが災いしたのね」「ぬうう」

季節外れの野菜を食べたがらないことが大切だと言う山岡。「ホウレンソウは冬のものだが、夏近くの季節に食べようとするから無理が出て、ホウレンソウの中に硝酸態窒素が余計にたまる」「そうか。旬というものが大事だ」「野菜を調べて肥料は必要なだけ適切に与えること。それからホウレンソウや他の野菜も湯がけば硝酸態窒素が流れ出てしまう。アクの強い野菜は生で食べないことだ。あとトマトのような実の部分は硝酸態窒素を十分に使い切るからほとんど残らない。実野菜は大丈夫だ」「結局、消費者がもっと賢くならなければ駄目ね。形より中身を大事にしないと」