作:雁屋哲、画:花咲アキラ「美味しんぼ(528)」 | ロロモ文庫

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対決再開オーストラリア(1)

究極のメニューと至高のメニューのオーストラリア対決でニューサウスウェールズ州だけ回ってないと言う団。「この州にはオーストラリアの首都キャンベラ、最大の都市シドニーがある。ここを対決再開の舞台にしましょう」「賛成」「賛成」「賛成」妹のゆう子のフィアンセの立村は千旗という店で働いていると話す団。「独立して自分の店が持てるまで結婚しないと言うんだ。私としては早く独立してほしい」「ぬう。そんな奴はオーストラリアに連れていって目を覚まさせてやる」

オーストラリアなんてと渋る立村に、行けと言う千旗の主人。「外国に行って料理を勉強するなんていい機会だ」「日本料理の職人がオーストラリア?オーストラリアはやたら広い国で羊や牛がたくさんうろうろして、木にはコアラが居眠りしてると思えば、野原じゃカンガルーが跳ねている。そんなところで日本料理の勉強?」「オーストラリアはヨーロッパとアジアの文化が混ざって独特の文化を作り出し、同時に豊かな自然を保っている。あの国に行って何かを得なかったら才能のない料理人だ」「西洋料理を勉強している者はそうかもな」「ぬう。立村、調理場に来い」

パンとベーコンと生ハムで料理を作る千旗の主人。「食パンを2センチ角に切って油で揚げる。ベーコンは細切りにしてカリカリに炒める。フライパンにオリーブ油をとって、ニンニクの微塵切り、ベーコン、細切りした生ハム、揚げたパンを入れる。別のフライパンにたっぷりのオリーブ油を取り、卵を入れる。頃合いに卵は焼けたら、さっきのパンとベーコンと生ハムの上に乗せる。できた。食え」「うまい。パンがベーコンと生ハムの風味をたっぷり吸い取ったところに卵の黄身が合わさり、風味は一層深くなる優しい味だ」

「これはわしがヨーロッパ旅行に行ったとき、スペインのバスク地方で現地の人に教わった料理だ。土地の人の日本でいえばお惣菜料理だ。食材といい料理法といい和食とはまったく無縁だ。お前の言い方からすればこんなものを教わっても和食を勉強するのにまったく役に立たないことになる。しかしわしはそうは思わん。こういう料理を作れば心が広がる。すると自分の作る味の世界も広がる」「俺はオーストラリアに行きます」