杉作Ｊ太郎「ボンクラ映画魂」は実録ヤクザ路線映画から特撮子供テレビ番組まで東映製作作品に出演した俳優たちを愛情込めて紹介している一冊でありまして、この本にロロモに与えた影響は計り知れないほどの大きさはありませんが、かなりの影響を与えていることは間違いなく、特撮子供テレビ番組はともかく、ここで紹介されている映画はレンタルやＣＳなどでかなり見ているわけです。
１０位は＜空手映画全盛の１９７０年代中盤、ドキュメント映画「世界最強の格闘技 殺人空手」に主演。「やくざの墓場 くちなしの花」の同時上映だった＞と紹介した大塚剛。
９位は＜繊細な二枚目。頑固な老人。世代によって印象様々だが、石立鉄男と同居している昔気質のおじさんのイメージが強い。一本筋が通っているが、それを頭ごなしに強要することはない。言葉足らずなので、「トラック野郎 故郷特急便」で演じた原田大二郎の父親みたいに怖すぎることもなる＞と紹介した大坂志郎。
８位は＜映画監督。「やくざの墓場 くちなしの花」で、大阪府警察本部長を演じた。当時はまだ絶叫激怒系のテイストを身につけていなかったため、今観ると異様におとなしく、かえって不気味である＞と紹介した大島渚。
７位は＜「やくざ戦争 日本の首領」では、地井武男とタッグを結成。組織暴力壊滅に取り組んだ。「トラック野郎」シリーズは皆勤賞。１０作全てに登場した＞と紹介した大木晤郎。
６位は＜日本人同士の抗争をいち早く展開した国際プロレスの悲惨残酷ムードの立役者。東映・神代辰巳版「地獄」で演じた鬼も、まさにそれと同じ。怖かった＞と紹介した大位山勝三。
５位は＜「爆発！暴走族」に端を発する、キャッチーな不良性感度爆発映画の常連俳優である。いかにも短絡的思考の持ち主のような寸詰まった顔つきで、セコい野郎を好演。「爆発！７５０ｃｃ」では女の気を惹くために、ドライブインでハダカ踊りを披露。ヤコペッティが見たら、日本の風習としては見逃さないだろう。ということで、不良性感度が爆発し過ぎてて、基本的には俳優には見えないが、実際はちゃんとした役者であり、特撮テレビ番組「スパイダーマン」では大学生を、映画「ドカベン」では明訓ナインのメガネを演じている＞と紹介した大蔵晶。
４位は＜任侠映画で鶴田浩二や若山富三郎を補佐するナンバー２の役どころで鳴らしたが、昼の帯ドラマ「天までとどけ」で近所に住んでるおじいさんの役でも有名ですが。黛ジュン主演のにっかつロマンポルノ「女帝」では、大胆なベッドシーンをやったりしてましたが。そんな彼は名前の通りに大きな木がデーンと立っているような無味乾燥なムードであります。石井輝男監督の「江戸川乱歩全集 恐怖奇形人間で明智小五郎の役をやってたんですが、この人が出てきただけで、それまでのおどろおどろしい雰囲気がスーッと消えていくような感じである＞と紹介した大木実。
３位は＜女傑の尻に敷かれて滅亡寸前の男を表現したら右に出る者はなく、「不良番長」シリーズでは若水ヤエ子や丹下キヨ子の亭主を演じた。特撮テレビ番組「バトルフィーバーＪ」ではダッチワイフ相手にＳＨＡＬＬＷＥダンス。イキイキしてた＞と評価した大泉滉。
２位は＜「その後の仁義なき戦い」の終盤、大衆食堂で根津甚八と壮絶なテレビのチャンネル争いを展開した。中島貞夫監督のドキュメント映画「驚異のドキュメント 日本浴場物語」では、日本各地の奇抜な風習や性風俗を探訪する謎の旅人役を演じた。で、その翌年「ウルトラマンＡ」で極悪異次元人ヤプールの人間態を演じたが、これが「日本浴場物語」の謎の旅人と酷似していた。時期を考えても何らかの影響があったのは間違いないのではないか＞と紹介した大木正司。
１位は＜「特捜最前線」の船村一平。通称、おやっさん。この役が人間国宝に指定されてないのが不思議だ。年寄りであることをいいことに、若者にダメ押しする時には遠慮がない。初老以降の彼はいつも全力投球、フルスロットルのやりたい放題であった。「神戸国際ギャング」で、丹波哲郎が悪口を言ってるよ、あんたなめられてるよー、と健さんに告げ口したあの顔。「冬の華」で刑務所から出てきた息子役の健さんの前で、三角パックの牛乳をストローで飲んだ、あの時の眼鏡のすれ具合、股の開き具合。演技の虫、演技の鬼、演技の仏！＞と紹介した大滝秀治となるわけです。