作:雁屋哲、画:花咲アキラ「美味しんぼ(504)」 | ロロモ文庫

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恋のキリタンポ(中)

とにかくキリタンポ鍋を食おうという山岡。「実は俺、初キリタンポなんだ。おう、キリタンポはチクワみただけど、これは米でできてるのか」「ごはんをつぶして太い串にぐるりと包むように塗りつけて、それを炭火で焼くんだ」「へえ、変わった感触だな。ざくざくした歯ざわり。おう、ごはんをつぶして焼くと美味しい。こりゃ、日本人なら絶対好きになる味だ」「このキリタンポはまずいな」「ぬ」

「長ネギ、ゴボウも駄目だが、一番ダメなのは鶏肉だ」「うまい鶏肉だぜ。イヤな臭いもしない」「普通のブロイラーじゃない。まあいい鶏だ。でもキリタンポ鍋じゃ駄目だ」「なんでだ」「キリタンポ鍋は秋田の料理だ。だから秋田にしかない鶏でなければ駄目だ」「そんな鶏がいるのか」「比内地鶏だ。秋田県の比内地方固有の鶏で、日本の鶏でも三指に入るうまい鶏だ」「むう。鶏も違う。キリタンポも駄目。長ネギもゴボウも駄目。どうすればいい」「貴子さんに本当のキリタンポを食わせろ。そうすればあんたと結婚するだろう」「よし、秋田に行くぞ。山岡、ガイドしろ」

秋田県比内町に行き、比内地鶏の養鶏場を経営する阿部と会う山岡と誠と貴子。「あの大きなビニールハウスみたいなものが」「そうです。これが鶏舎なんです」「これが比内地鶏か。首が長くて背が高くてシャモに似てるな」「これが比内地鶏。主人が私に食べさせたがっていた、本物のキリタンポ鍋に欠かせない鶏というのがこれなのね」「そう仰るところを見ると、あなたのご主人は秋田の方ですか」「はい。もう亡くなりましたが、本物のキリタンポ鍋がどんなに美味しかったか、私に何度も話してくれました」「その本物のキリタンポ鍋を食いに来たんだ」「ぬううう。昔のような本物のキリタンポ鍋の味はもう味わえないかも」「なんだと」