作:雁屋哲、画:花咲アキラ「美味しんぼ(488)」 | ロロモ文庫

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日本酒の実力(5)

日本酒の最高の権威である穂積に俺を助けてくれと言う山岡。「あんたなら日本酒に望みがあることを証明できる」「どうだろう。アル添酒、三倍増醸造、桶買い、級別制度もひどいが活性炭素の問題もある。これは魔法の道具みたいなもんで、これを入れると、酒の中の不純物を吸着し、雑味も取れるし、色もキレイに澄む。大手の酒造会社が桶買いした酒を調合てもほどほどの味の酒に作り直せたのは、活性炭素でごまかせたからだ」「これを使いすぎると酒本来の味も香りも抜けて、逆に炭素の味が酒に残る。そんなまずい酒のせいで消費者が日本酒から離れる」

新たな問題が白糠糖化液だという穂積。「玄米を精米すると、糠は出て白米となる。良い酒を造るためには白米をさらに削る。この時に出る粉を白糠という。この白糠に含まれるデンプンに科学的な処置をして糖化するとできるのは白糠糖化液だ。白糠は白米を削ってできるクズだから値段はべらぼうに安い。それをブドウ糖や水あめなどの糖類のかわりに添加すると安上りなうえに、白糠糖化液の原料は米だから糖類添加でじゃないという理屈も成り立つ」「米が原料だと言っても酒の醸造に適さないとことろを削ったカスだけどね」「むう」

一番いけないのは日本酒にアルコールの添加を認めていることだと言う山岡。「アルコールの添加があるから糖類の添加も生じる。アルコールの添加が諸悪の元だ」「そのとおり。しかも添加される醸造用アルコールはサトウキビの廃糖蜜を発酵させて作らせる。食用にならない廃物を発酵させて作るアルコールだから安くできる。原料が原料なので不純物が混じると匂いは悪くなるから徹底的に精製する。だから私は今の日本酒の大半は一見清酒風アルコール飲料だと言う」「ぬう」

がっかりするなと山岡に言う穂積。「素晴らしい日本酒は腐るほどあるのはお前だってたくさん知ってる。そんな素晴らしい酒は江戸時代の徳川将軍は飲めなかったが、現在の私たちらだから飲めるんだ」「ぬう。昔の最高の権力者より現在の一庶民である俺達の方が美味しい酒を飲むことができる、か」

海原に鶴の里という日本酒を知ってるかと聞く栗田。「当たり前だ。美食俱楽部で愛用している」「実は深谷市の小さな酒屋さんは蔵元と直接取引して、生産量が少ない鶴の里を仕入れているんです」「む」「その酒屋さんはまったく素人から始めたんです」「むむ」「しかも酒が飲めないんです」「むむむ」「その酒屋さんに行きませんか」「むうう」