作:雁屋哲、画:花咲アキラ「美味しんぼ(460)」 | ロロモ文庫

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鶏の味、ニンジンの味

コンビニに行く栗田。「このポリ袋ください」「「あんた、引っ越してきてから、うちで買うのはこんなものばかりだね」「え」「おたく、新聞社で食べ物の記事を夫婦そろって書いてるそうじゃないか。そのあんたたちがうちでは食品を買わないのはどういうわけだ。そりゃあコンビニだから専門店やスーパーみたいに品揃えはよくないが、この近所の人はよく買う。なぜ買わない」「わかりました、買います」

そこに現れる山岡。「おいおい、その野菜どうする。そんなもの買ってもしょうがないだろ」「こら、そんなものとはなんだ」「うちには野菜が山ほどあるから買うなと言った。それにここの野菜は無農薬栽培じゃ有機栽培じゃない」「お前、無農薬、有機栽培だからいいと言うんだな。農薬がないと病害虫のために、まともな農業生産量は確保できん。それに農薬が健康に悪いというのは迷信だ。日本は世界で一番農薬を使う量が多いのに、世界一平均寿命が長いだろ」

「バカ、日本の平均寿命が延びたのは乳児死亡率が下がったからだ。逆に癌患者の数は増えている。農薬や除草剤の中に癌の引き金になるものがあるのを知らんのか」「農薬以外の化学合成物質はいたるところに氾濫している。それなのに農薬だけ神経質になるのはナンセンスだ。いいか、合成保存料がなかったら、食中毒で死ぬ人ばたくさん出て来る」「……」

「それに合成保存料があるから、こうして加工食品が出回って、主婦が楽をできる。ひいては女性の社会進出を助けている」「バカなことを言わないでください。食品会社が保存料を使うのは製品管理が楽で長い間保たせるからです。女性の社会進出を妨げているのは日本男性の女性蔑視の態度よ」「ぬうう。お前ら出入り禁止」「あなた、やめて」「和子」「奈津子は倒れたのよ」「え」

娘の奈津子はアレルギー疾患だと言うコンビニ店主の野前の妻の和子。「奈津子は偏食で野菜嫌いで、一番鶏肉が嫌いなのです」「ちょうどいい」奈津子にニンジンジュースと鶏鍋を食べさせる山岡。「ああ、美味しい」「信じられん、あの奈津子が」「野前よ、わかったか。俺の家の鶏肉と野菜なら奈津子ちゃんは食う。この子は偏食でなく、正しくない食べ物を拒否する鋭い味覚を持っていただけだ」「なるほど」

「いいか、農薬と使った作物は安全地とか危険とかいう以前にまずいんだ。要するに農薬は当の作物の健康自体にとってもよくない。この子はその健康の味がわかる。子供の純粋さの勝ちだ」「娘に不健康なものを食べさせたくないし、よその子にも売るわけにいきません。山岡さん、どうすれば安全で本物の商品を仕入れられるのか教えてください」「コンビニでできるのか」「頑張ります」「じゃあ教えてやろう」