作:雁屋哲、画:花咲アキラ「美味しんぼ(436)」 | ロロモ文庫

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タイ米の味(1)

日本米はないのでタイ米を買ってきたと山岡に言う栗田。「海外旅行でならともかく、自分の家庭でタイ米を食べるのは初めてだ。これは確かにタイ米の匂い。とにかく食べよう。むううう」「ああああ」

日本の社会を女性の目で見た記事を書くために、来日したタイ日報の記者のサクンタラを紹介する富井。「当分文化部にいていただくことになりましたので、部員一同サクンタラさんにいろいろと協力するように」「わかりました」

国産米が手に入らなくなったと嘆く相川。「あら、社員食堂でもないのですか」「となると安く手に入るタイ米となるのですが」「タイ米?そりゃないよ」「臭いしバサバサしてるしまずい」「タイ米は安全でないんでしょ。お米の中に異物が入っていたニュースを見たわ。そんなの不潔だわ」「タイ米を使うと社員食堂の利用率は下がるね」「山岡さん、栗田さん、タイ米を美味しく食べさせる工夫はありませんか」「ぬう、タイ米を」「美味しくねえ

僕らの世代は戦後の食糧難を経験しているという富井。「タイ米についての記憶は切実だよ。細長くて、色が悪くて、嫌な臭いがして、ばっさばさで。食糧難のころでさえ、タイ米のまずさが耐えがたかった。飽食の時代にあんなものを食べさせるなんて冗談みたいな災難だ。去年の凶作でタイ米を輸入するなんて政府もどうかしてるよ。家畜の餌ならともかく、あんなまずいものを人間に食えなんて無理な注文なんだよ」

激怒するサタンクラ。「タイの人間は家畜と同じと言うのですか。日本は米市場は絶対に開放しないと言ったのに、わずか一年凶作で突然米を輸入すると言い出した。あまりにも身勝手です。一生懸命タイ米を作ったタイの農民の苦労を考えず、タイ米の悪口を言う人は軽蔑します。第一タイ米がまずいというのは日本人だけです。タイ米がまずいなんて言うのは日本人が味音痴で感性が鈍いからです。あんなに粘ってべたべたして香りのない米を食べているのは世界の中でも日本人だけです。日本人はどんな人種かよくわかりました。おかげで日本の社会について、いい記事が書けそうです。もうこれ以上、東西新聞社にいる必要はありませんので失礼します」

タイ米の名誉を回復してサクンタラの機嫌を直すという山岡。「日本人全体がタイ米に対して偏見と無理解のかたまりになってるが、それは間違いだ。俺は自分自身に対する反省を込めてタイ米の名誉を回復してやりたい。そうすることで日本人がタイ米の真価に気づくのだ」