作:雁屋哲 画:花咲アキラ「美味しんぼ(344)」 | ロロモ文庫

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ラーメン戦争(7)

流星一番亭の屋台車の近くに、金銀軒の屋台車で乗り込む山岡たちを見て、ぬうと呻く雉川。「雉川さん。いよいよ勝負させてもらうぜ」「我々の車と同じような車を作りおって。正気の沙汰とは思えんな」「ま、やってみようじゃないの」「何をしようとそちらの勝手だが、獅子はネズミを相手にする時にも全力を出すと言う。私も手加減しない。そのつもりでかかってくるがいい」

金銀軒の屋台車にはほとんど客が来ず、流星一番亭の屋台車に客が殺到する。山岡達に勝ち誇る雉川。「勝負だとかなんとか大口叩いて、いいざまじゃないか。客の目は節穴じゃない。二つ店が並んでいれば見ただけで、どっちの店が旨いか、すぐ見破るのさ」「おたくの縄張りに攻め込んで来て、その日からお客を取れると思っちゃいない。今日は探りを入れただけ。明日から本格的に行くぜ」「ふふ。好きにするがいい」

サクラを使おうと言う山岡に反発する橋田と春代。「それは汚い手ですよ。私は味で堂々と勝負したい」「私もです」「待ってください。味で勝負するも何も、それ以前にお客さんに来てもらわないと話にならないでしょう」「そ、それは」「今の流星一番亭の人気は味だけによるものじゃない。大勢の人間が行列を作る。それが人を惹きつける。それで余計に長い行列が出来て、それがまた人を惹きつける」

「人気がまた人気を呼んで、どんどん膨れ上がってしまうのね」「それが怖いんだ。お客さんは人気のある店だって聞くと、それだけで有難がるところがあるからね」「今のままじゃ、どんなに待っても金銀軒に客は来ない。サクラに来てもらって、ある程度の賑わいを見せれば、他のお客の気持ちを惹きつけることが出来るはずだ」「うむ。食べさえすれば、こっちのラーメンの旨さはわかってもらえるんだ。食べ比べてもらえば、絶対に勝つ」「わかりました、やりましょう」「私たちの実力を認めてもらうためですから」

手帳をチェックする栗田。「ええと。高校と大学の同級生は協力してくれるから、次は、あっ」海原にぶつかってしまう栗田。「手帳を見ながら歩くバカがどこにいる」「どうもすみません」「何をそうセカセカと慌てているのだ」「え、実は」

板山は、このラーメンはなかなか旨いと山岡に言う。「いやあ、我が社の社員をサクラとして派遣しろと言うから、どんなにまずいラーメンか心配したんだが」「全然関係ない人もどんどん惹きつけられている。この作戦を続ければ、サクラなしで本物のお客さんも呼べる。このラーメンの本物の味を一度味わったら、他のラーメンが食べられなくなる。だからここに戻って来るしかない」

そこに現れる海原。喜ぶ栗田。「いらしていただけるなんて」「むう。ちょっとこの近くを通ったら、昼間の話を思い出してな。ただの偶然だ」「偶然でもいいんです。召し上がって頂けますか」「しかし、無茶な娘だ。この私にラーメンを食べさせようとは」「召しあがってみてください。そしてご意見を伺いたいんです」「むう」ラーメンを食べる海原。「ぬう。ダメだな、これは」