作:雁屋哲 画:花咲アキラ「美味しんぼ(290)」 | ロロモ文庫

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新・豆腐勝負(前)

中学生の同級生の尾田に生まれて初めて女に振られたので何とかしてくれと頼まれる山岡。「まあ、話を聞いてやろう」「半年前だ。車が故障して、止まってしまい。そこが豆腐屋の前だった。その豆腐屋の娘さんの名前が島野たか子。一目ぼれした僕は毎日豆腐を買いに行き、昨日プロポーズした」

『尾田さん、テーブルの上に手を出してみて』『え。こうかい』『見て、これが私の手よ。尾田さんの手の指は、すんなりとして肌もスベスベでキレイだわ。それに比べて、私の手は指が太く、しかもヒビとあかぎれだらけ。お豆腐を作るのは女にとってきつい仕事なのよ。しかも、水仕事が多いから、ヒビやあかぎれの絶えることがない。だからこんな手になってしまう』『たか子さん』

『私は自分の手が恥ずかしいと思ってないのよ。豆腐屋の勲章だと思っている。でも尾田さん、これが現実と言うものなのよ。2人は住む世界が違うのよ』『そんな』『私には徳一と言う兄がいたんだけど、母が死んだ後で、豆腐作りがイヤで逃げ出した。私は残された父が可哀想で手伝うことにしたの。そのうちに私は豆腐作りがとても好きになった。私はすべすべして優雅な手の人たちの世界に入るつもりはないし、父を一人にして見捨てることもできない。だから、あなたとは結婚出来ないわ』『たか子さん』

どうすればいいと言う尾田にたか子の兄を探すことだと言う山岡。「その兄貴が帰ってきて、親父の跡を継げば、お前はたか子さんと結婚できる可能性が出てくる」「どうやって、お兄さんを探したら」「お前の家は金持ちだ。興信所でも頼めばすぐ見つかるさ」「なるほど」

徳一は料理人になっていたと山岡と栗田に教える尾田。「海原雄山の美食倶楽部の調理場で働いている」「え」

良三と徳一と会う山岡と栗田と尾田。「そうですか。たか子の奴、そんなこと言ってましたか。妹のことを思えば、家に帰ってやりたいのは山々ですが、それはできない」「お父さんのことで」「それもあります。親父も私も強情。それで衝突して家を出たんです。でも帰れない大きな理由は海原先生です。私は海原先生に拾ってもらった恩があります。ですから自分の方からお暇をくれとは言えないのです。たとえ妹のためでも」

山岡に海原に頭を下げてくれと頼む尾田。「お前と海原雄山のことは承知している。俺のために徳一さんに暇を出すように頼んでくれ」「いくら親友でも出来ないことがある。あんな奴に頭を下げるくらいなら、馬に蹴られて死んだ方がましだ」「むうう」「しかし、親友のお前のためだ。何とかしてやろう」

どうするつもりと聞く栗田に、究極の豆腐を発見したと言う山岡。「え。究極の豆腐ですって」「以前、至高との対決で、双方が出した汲み出し豆腐でもザル豆腐でもない、究極の豆腐だ。それをこの機会に試したいんだ。人助けにもなる豆腐合戦だ。そこで頼みがある。団社長に岡星に来るように電話してくれ」

団にチーズを挟んだ豆腐、豆腐の味噌漬け、ウズラ肉入り豆腐を食べさせる岡星。その旨さに驚く団。「山岡さん、何を企んでいるんだ」「この間、鍋料理の対決で、至高のメニューに負けた仕返しがしたいんだ」「え」「かつて、豆腐を題材で対決した。でもあの時は豆腐の原点の味の争いになり、今日出したような豆腐の材料とした料理の出る幕がなかった。だから今度は豆腐を材料にした料理で戦いたい」

むうと唸る団。「今日の豆腐はどれも信じがたいくらいに美味しい。何か豆腐に秘密があるな」「そうです。俺は究極の豆腐を完成したんです」「なに、究極の豆腐。うう、その秘密、どうしても知りたい」「団さん、海原雄山を挑発してほしいんです。究極対至高の対決を再び豆腐を題材でするように」

美食倶楽部に行く団。「その究極の豆腐。尋常ならざる旨さです。信じがたい味でした」「ふ。まさか。よろしい。豆腐料理で相手をしてやろう」