作:雁屋哲 画:花咲アキラ「美味しんぼ(193)」 | ロロモ文庫

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豆腐勝負(前)

山岡と栗田が東西グラフの仕事ばかりし過ぎると谷村に直訴する富井。こうしようと言う谷村。「山岡は究極のメニュー作りに精を出している証拠を見せない限り、世界味めぐりに対する協力を打ち切る。その証拠と言うのは、今度の至高のメニューとの対決に勝つことだ」「うむ」

豆腐好きのブラックが東西新聞に現れ、親子豆腐を見せたいと言う。「なにそれ」「見たい方は社員食堂にどうぞ」納豆を包丁で細かくし、それを豆腐の中に入れて、醤油をかけてかき回すブラック。「へい。親子豆腐の出来上がり」「これが?」「豆腐は大豆から作りますから大豆の子です。納豆は大豆そのものですから、豆腐の親です」「その二つを掻きませたから、親子豆腐かい」「あら、見かけと違って、なかなかだわ」「よし、決めた。今度は究極の豆腐料理で勝負だ。副部長、帝都新聞側に伝えてください」

ほうと呟く海原。「豆腐料理で勝負したいとな」「はい。かなり自信があるようです」「ふ。豆腐とは優しそうに見えて、一番難しい材料。バカめが、豆腐を選ぶとは。承知したとお伝えください。今度も叩きのめしてやろう」

チヨと会う二木。「今度の勝負で負けると私は山岡さんと仕事が出来なくなるんです」「で、私にどうしろと」「おチヨさんの御主人の中川さんは海原先生のすぐ下で働いていると聞いたわ」「私のスパイをやれって言うのかい」「お願い。私、山岡さんと一緒に仕事をしたいの」「まり子さん、あんた、士郎さんを」「ええ」「わかった。あんたと士郎さんのためなら、私は海原先生を裏切ろう」

岡星で豆腐料理を披露するブラック。「アボカドの実の中身をすりつぶし、豆腐を裏ごしにして、これに塩コショウして、玉ねぎのみじん切りを少々加える。はい、豆腐とアボカドのディップです。クラッカーですくい取って、召し上がってください」「アボカドだけだと脂肪がきつすぎる感じだけど、豆腐が入ると、サッパリして味に膨らみが出るわ」「ふむ。前菜としては悪くないな」

「では、次の豆腐料理です。豆腐に重しをして、水を出します。固くなった豆腐を薄切りにして、落花生油で揚げます。これをダシの入った丼物を作る鍋に入れ、ちょいと煮立てて、とき卵を流し、それを飯をよそおった丼の上に乗せます。その上に三つ葉と細切りの海苔をばらまくと、揚げ豆腐丼の出来上がりです」

「見た目よりずっと美味しいわ。味は濃厚だし、揚げたての豆腐が香ばしいし」「揚げた豆腐にダシがたっぷり染み込んでいる」「ブラックさん、やるもんですねえ。アメリカ人にこんなもの作られちゃ、日本人も形無しだね」「いかがですか、山岡さん。私の豆腐料理は参考になりましたか」「いや、至高のメニューに対抗できるものとは言い難い」「ど、どうしてですか」

「だって、ディップにしろ、揚げ豆腐丼にしろ、これは豆腐を使わなくたってできるだろう。ディップの場合、豆腐の代わりにコッテージチーズでもよかったんじゃないか。揚げ豆腐丼は親子丼の代用品みたいだ」「あ」「豆腐の味を極限まで追求したものではない」「う」「雄山は豆腐の味を極限まで追求した料理を用意してくるだろう。それには、この料理では対抗できなのよ」「仰る通りです」「いやあ、思ったより豆腐料理は難しいもんだよ。豆腐でやろうなんて言ってしまったけど、どうやったら雄山に勝てるんだろう」

わかったと二木に言うチヨ。「海原先生がどんな豆腐料理を出すか」「それがどんな料理なの」「それは汲み出し豆腐」「え。汲み出し豆腐?」