近頃なぜかチャールトン | ロロモ文庫

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1981年8月5日、小比木次郎は公園でアベックを襲い婦女暴行未遂で逮捕され、豚箱に入れられる。そこには総理大臣、陸軍大臣、外務大臣、文部大臣、逓信大臣、内閣書記官長を名乗る老人たちがぶち込まれていた。次郎は童貞と聞いて大事にしなさいという総理大臣たち。「今夜あたり捨てようと思ったんですがね」「同じ捨てるならめくるめく感動とともに捨てなさい」

ここは精神病院かと疑う次郎にみな大真面目だと言う外務大臣。「みな独立国の住民です」「そいつがちょっと」「では日本政府の方が頼りになる?」「そいつはちょっと」「だろ。嘘は多いわ、ごまかしは多いわ。対外的にもどうもな」非核三原則が話題になりはじめたころに退屈しのぎに独立国でも作ろうと言う話になったと言う総理大臣。「それで独立ごっこ、組閣ごっこを始めたのがきっかけでしてね」

最年長の私が総理大臣、保険の外交員をやっていた大田が外務大臣、元文房具屋の浅田が文部大臣、元郵便局員の多岐川が逓信大臣、元ヤクザの小平が陸軍大臣、元呉服屋の番頭で最年少の持田が内閣書記官長と決定したと言う総理大臣。「で、国の名前は?」「ヤマタイ国」「領土は?」「我々は流浪の民です」「じゃあ浮浪者じゃない」「でも今はちゃんと領土もある」「どうしてここに」

「今日、みんなで日本の国会議事堂を表敬訪問した。帰りがけに議員食堂で飯を食ったら表敬訪問だからタダだと思ったら金をとると言われた。大蔵大臣は競輪に行っててね。まいっちゃった」「なんだ。ただの無銭飲食ですか」そこに現れる大蔵大臣。「ごめんなさい。パチンコでバカづきで遅れちゃったのよ」「それで食堂代は払ってくれましたか」「勿論払ったから出られるけど、今日はもう遅いから、私もここに泊めてもらうわ」

アベックに示談金を払う次郎の兄の一郎。なぜ暴行未遂なんかしたのと次郎に聞くお手伝いのタミ子。ヤマタイ国の住民はどこに住んでるか教えてくれと大作刑事に頼む次郎。「えらいところに住んでいる。邪馬台荘。不発爆弾の上だ。地主の小比木宗親氏も了承している」「小比木宗親?親父だ。親父はそんな家作持ってたっけ」

宗親は失踪届けが出ていると大作に言う中町刑事。「親父の蒸発は一種の病気だ。去年の12月8日のが5度目かな.またぶらっと帰ってくるさ」それはどうだろうと言う中町。「親父さんが消えたのは12月8日、奴らが住みついたのが12月8日。奴等は気ちがいばかりだから何をするかわからん」36年たっても不発弾は爆発する可能性はあると言う大作。「まだ信管が生きてたら大いにありうる」

邪馬台荘に戻るヤマタイ国の住民。「今日はくしくも8月6日。広島に原爆の落ちた日です。逓信大臣のご家族がかの地で全滅した。一分間の黙とうを捧げましょう」俺はお前みたいなブルジョアが嫌いだと一郎に言う中町。「いつかギャフンと言わせる」「俺の家のどこがブルジョアなの」「わかっただけでもサラ金、スーパー、パチンコ、焼き肉、レンタカー。それだけ会社を持ってる」

8月15日までに賃貸マンションを建てるので立ち退いてくれとヤマタイ国の面々に告げる一郎と一郎の母の政子。「しかも無条件で」「そうです」「それではポツダム宣言と同じです。代替地も与えない。立ち退き金も考えない」「だってあなたたちから一銭も家賃は頂いてないし、あなたたちは勝手にここに住みついたんじゃないの」「私たちは去年の12月8日、小比木宗親氏よりここに無償で永久に住んでいいと承諾を得てるのです」「単なる口約束じゃ法律は通らないよ」「日本の法律はわが国では通らないのです」

市会議員の寺尾と会う大作。「あなた、もうすぐ定年だってね」「はい、8月15日で」「私はいろんな事業をやってるが、定年後にその一つを手伝ってもらいたい」「それはどうも」「その定年前に君にやってほしいことがある。小比木宗親氏を探してもらいたい。私と同郷なもので、あの家族に泣きつかれて」邪馬台荘に表敬訪問に行った次郎はタミ子からの電話で、小比木家の人間であることがバレ、スパイ容疑で監禁されてしまう。僕はもらい子ですと主張する次郎。

次郎に保険を2億かけましょうと政子に言う一郎。「そうね。じゃあお父さんのと合わせて5億ね」「あと関西の飯室さんにも手配しておきました」あわや絞首刑になるところを亡命して帰化して助かったと大作に言う一郎。「おまけに労働大臣に任命されちゃった。それで外務大臣が面白いことを言ってたぜ。保険外交員時代にうちに勧誘に行ったら、もう親父は3億円はいってると断られたらしい」

次郎に2億円の保険を掛けたそうですと大作に言う中町。「あんな危ないところにいるといつ爆発するかわからないって」「どうも臭いな」警察の連中は私が頼みましたと一郎と政子に言う寺尾。「煙幕を張るのも必要なんです。それに定年間近の刑事とその部下の二人だけですから」

8月8日、一郎は立ち退き金を一人百万出すと申し出るが、ヤマタイ国の住民は閣議の結果、拒否することに決定する。「今後の生活で3000万はいる。これでは生活できません」8月10日、邪馬台荘の電話が切られる。夜になり、次郎とともに小比木家に行き、家内を偵察する陸軍大臣。一郎に暴行されそうになるタミ子を救う次郎。逃げる次郎とタミ子と陸軍大臣を車に乗せる大作。「あんたがどうしてここに」「いろいろ調べることがあってな」

12月8日のことを話してくれと陸軍大臣に頼む大作。「あの日、俺たちは寒さに震えて、邪馬台荘に入った。そこには先客がいた。そこに首を吊ろうとしたあいつがいた。俺たちはあいつをおろして、元従軍看護婦だった大蔵大臣の人工呼吸であいつは生き返った。あいつは逃げるのに飽きたから死のうとしたと言った。徴兵検査から逃げ、赤紙から逃げ、憲兵から逃げ、8月15日が来るまで逃げ回った。戦後になってもその逃げ癖がこびりついて、時々逃げ出したくなると言った」「それから」「夜明け前に出て行った。もう少し逃げ回ると言っていた」タミ子は内務大臣に任命されヤマタイ国の住民となる。

8月11日、邪馬台荘のガスが切られる。8月13日、邪馬台荘の電気が切られる。親父さんを見つけたのでは明日殺ると一郎に言う飯村。「親父さんは廃品回収の運転手をやってなさった」「ここに500万ある。残りは明日。で、次郎は?」「それも明日やね」

8月14日、次は水道でしょうと言う総理大臣。「でも皆さんはあの戦争を切りぬけてこられたから、どうってことないでしょう」俺たちもキャンプしてると思えばどうってことないと言う次郎とタミ子。問題は空襲ですと言う総理大臣。「敵は愚連隊を使って侵攻してくるに違いありません。どうせ死ぬなら粋に死にましょう。あの頃私たちはどう死ぬか。そんなことばかり考えてましたからねえ」

総理大臣に近頃もそんな気がしませんかと聞く外務大臣。「あなたもやっぱり。我々チャールストン世代の宿命なんでしょうね」チャールストンが流行ったころに皆生まれて育っていると言う内閣書記官長。今もチャールストンは流行っていると言う次郎に、あの警戒なリズムがいつの間にかミニタリズムにすり替わったことが気がかりだと言う外務大臣。「それはないと思うよ。みんなかなりの戦争アレルギーなんだな」

私は聖者の行進を聞きながら陽気に死にたいと言う総理大臣に、俺もそれで行こうと言う文部大臣。「昔の国のためもわからないし、今の国のためもわからない。国民と言っても数が多すぎて掴み切れないし、国土を突き詰めると富士山ってことになるし、政治を突き詰めるとある政党の黒幕ってことになる」そういうもののためだけには死にたくないと呟く次郎。

愚連隊が邪馬台荘を襲い、ヤマタイ国の住民は力を合わせて追い払うが、文部大臣はハッスルしすぎて倒れてしまう。大作に頼む総理大臣。「文部大臣は変死だから行政解剖と言うことになりましょう」「まあな」「それを今夜一晩だけ待ってほしい。ちゃんとした場所でちゃんとした通夜をあげたいのです」「まあいいでしょう」

14日夜、地震が発生する。びっくりしたと言う政子にもう大丈夫ですと言う寺尾。「しかしあの刑事は今日この家に来てくれと言った。どういうことだろう」親父の死体があがったんじゃないですかと言う一郎。「飯室さんが死体ごと海に落したそうですから」地震とともに邪馬台荘で原因不明の大爆発があったと告げるテレビのニュース。「じゃあ、次郎も」やらずぶったくりですなと笑う飯室であったが、そこにヤマタイ国の住民が現れ、慌てて小比木邸を出る。

君たちは何だと言う一郎に今夜はここで文部大臣のお通夜だと言う次郎。お通夜は仏のために飲んだり騒いだりするのが供養だと言う総理大臣。「誰か仏の前の伽をして、残りの人は大いに騒ぎましょう。ちょうど市会議員もいらっしゃる。何かの御縁です。一緒に飲みましょう。ではまず伽は若い二人に」

500万円を見て、御香典まで用意していただいたとはと喜ぶ外務大臣。酒のありかはわかっていると言う陸軍大臣。「料理は奥さんに用意してもらおう。麻雀ルームはあっち」これは不法侵入だと怒鳴る寺尾。「警察を呼ぶぞ」どうぞと言う内閣書記官長。「でもなぜここに市会議員がいるのか問題になりませんかな」「……」「それより、一緒に麻雀しませんか」

タミ子といちゃいちゃし始める次郎にいい加減にしろと怒る文部大臣。「仏の前だぞ」くすくす笑うタミ子に文部大臣は生きていると知っていたのと聞く次郎。「うん」「知らなかったのは俺だけか」麻雀で大敗を喫する寺尾。私は元従軍看護婦じゃないのと総理大臣に言う大蔵大臣。「存じてますよ」「元従軍慰安婦ってことを」「はい。でも今は大蔵大臣です。人一倍苦労したんだから、人一倍楽しんでほしいと思っております」

夜が明けたらバスに乗ってとんずらだと次郎とタミ子に言う陸軍大臣。「それで温泉旅行だ」混浴がいいと言う文部大臣。レンタカーの駐車場にバスがあると次郎に言うタミ子。「そうか。うちはサラ金、スーパー、パチンコ、焼き肉、レンタカー」「次郎ちゃん、行こう」

バスに向かう次郎とタミ子。それを追う飯室を見た陸軍大臣もバスに向かう。小比木邸に現れる大作と中町。次郎と政子と寺尾の三人を小比木宗親殺人事件の重要参考人として連行すると言う中町。「サラ金、スーパー、パチンコ、焼き肉、レンタカー。それだけだと思ったら手榴弾を作って、せっせと輸出していた。それであなたたちは何億と言う運転資金が必要になった。政子未亡人は女学生のころから寺尾さんと交渉があった。とにかく詳しい事情は署で。殺し屋飯室もわが日本警察が必ず捕まえます」

次郎君はどこですかと言う大作に多分婦女暴行中ですと言う文部大臣。バスの中でタミ子を抱く次郎。バスの外で飯室と死闘を繰り広げる陸軍大臣、我々はそろそろ行くかと言う総理大臣にちょっと待ってくださいと言う中町。「ヤマタイ国の人たちの罪はどうなるんです。住宅不法侵入、500万円の現金強奪、2500万円の麻雀賭博」今日は15日だなと言う大作。「俺は定年退職だ。後はお前に任せる」「え」「わしは蒸発してヤマタイ国に入れてもらう。総理。警察庁長官と言うのはどうでしょう」「あいてますよ」

後部座席で素っ裸で寝る次郎とタミ子。飯室を倒してなんとかバスに乗り込む陸軍大臣。酔っぱらってバスに乗り込む総理大臣たち。「あ、陸軍大臣、寝ちゃってる」「いいから寝かしときなさい」運転手がいないと言う内閣書記官長。そこに乗り込む宗親。驚く大作。「どうして助かったんですか」「刺された時、古新聞やぼろきれを腹に巻いてて。泳ぎは魚より達者ですから」「それじゃ海軍大臣ですなあ」宗親の運転で温泉地に向かうヤマタイ国の住民。眠り続ける陸軍大臣。目を覚ました次郎とタミ子は急いで服を着てキスを交わすのであった。