作:雁屋哲 画:花咲アキラ「美味しんぼ(39)」 | ロロモ文庫

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サラダと美容

広告会社の会長の守谷の頼みで、守谷の縁続きである昭子と言う女と見合いする山岡。「これ以上、ウソをついてはいられない。正直に言います」「わかっています。それから先は仰らなくてても。私はデブで不器量な女ですもの。男の方に嫌われるのは当然です。どうぞ、私のことは気になさらないで。では、ごきげんよう」「あ、ちょっと待って」

そうだったんですかと呟く昭子。「守谷さんにお義理で」「本当にすみません。俺の態度が悪かったのはお義理で偽りのお見合いをしている自分に腹が立ったからで、貴方が嫌いだからではありません」「ありがとうございます。なんだかお腹が空いてしまいましたわ」「レストランで何も召し上がらなかったから、何か食べたらどうです」「ではサラダを頂いていいたしら」「サラダ?もっとボリュームのあるものを」「とんでもない。これ以上肥ったら大変ですもの」

サラダを食べる昭子にいつもこんな食事かと聞く山岡。「ええ、朝はサラダ、昼食は抜きで、一日二食です。それなのにこんなに肥っているんです。随分努力してるのに、少しも痩せなくて」「そんなに痩せたいですか」「ええ」

岡星に昭子を連れて行く山岡。「レストランで出てくるサラダはこんな物ですかね」「そうね」「何をかけますか」「フレンチドレッシングを」「なぜ、サラダを食べるんですか」「それは美容のためですわ」

冗談じゃないと言う山岡。「そんなサラダは美容の敵ですよ」「えっ。敵?どうしてですか。生野菜はビタミンCがあるし、ドレッシングのお酢は食べ物をエネルギーに変えるのに役立つし、植物油はコレステロールを流して、体にいいんじゃないんですか」「今の野菜はビニールハウスで促成栽培したものが多く、ビタミンの量は本物の野菜の3分の1以下です」「まあ」

サラダの野菜をお湯でゆがく岡星。「ゆがいてみるとわかる。生野菜はかさばって見えるけど、実質はこれっぽっちだ」「これじゃビタミンが足りない」「ビタミンだけじゃない。庁の中の老廃物を吸収し便通をよくする繊維質だって足りないぜ。便秘は美容の大敵だよ」「そうですね」

「問題はドレッシングだ。まず油だが、本来、サラダには向かない油を混ぜているサラダオイルが大量に出回っているので、注意が必要だ。一番多いのはナタネ油だね。化学的に強固で分解しにくい。だからドレッシングとして、大量に取ると消化が悪くて、胃がもたれたりする。サラダの向く油は、ヒマワリ油、コーン油、オリーブ油なんかがいいね。それにどんな油でも酸化すると人体に有害な物になる。だからドレッシングは食べる分だけずつ直前に作ること」「作り置きはよくないのね。ドレッシングはいい油を探して、自分で作るしかないのね」

「もう一つは塩だよ。昭子さんはこの間、ドレッシングの上から塩をかけていたけど、サラダにドレッシングだけでも、かなり塩分を取ることになるんだ。塩分は体内で水分を引き留めるからね。水肥りの原因になるんだ」「あたし、みんなダメな方ばかり選択していたわ」「それに、いくら良い油であっても、高カロリーであることに変わりはない。ドレッシングを取り過ぎれば、肥るのは当然だ」「じゃ、どうすればいいの」

用意した料理を出す岡星。「小松菜のおひたし。ニンジンやインゲンをさっと湯にくぐらせた物なんかを薄味のダシ汁で食べるのもいいし、ワカメをビネガーで食べるのもいいね。第一、本当の野菜ならドレッシングなんかかけない方が旨いぜ。サラダには何かかけると言う固定観念も考え直す必要があるんじゃないのかな」「本当ですね。ドレッシングは何も考えずに習慣で使ってるんだわ」

「しかも、一日二食だろう。一日に取る総量は同じでも、三回に分けるより、二回に分けて食べる方が肥るんだ。相撲取りも一日二食でドカ食いだよ」「ああ」「痩せたいなら、もっと科学的にやらなきゃ健康に悪いし、効果は上がらないよ」「ええ。よくわかったわ」