黒豹よ 三吉を助けろ！
慌てて逃げる村人たちを見て、何があったんだと聞く和馬。「何かあったらしい。新之助、行くぞ」「はい」村人たちを斬りまくり、平太をさらう地虫忍者。「む。怪しい奴ら。新之助、気を付けろ」「はい」和馬を斬り、新之助をさらう地虫忍者。
ケカビーに聞くアグダー。「全ての物を腐らせるカビの化身、ケカビーよ。マントル一族の奴隷とするため、人間の子供を巨大な力を持つ動物と化する実験はまだか」「はっ。あと一人子供をさらいだしたら、ただちに」「マントルゴッド様も矢の催促。あと三日のうちに実験を完成させるのだ」
幌馬車を襲い、三吉をさらうケカビー。「あ、三吉」動揺する志乃を襲う地虫忍者。そこに現れる豹馬。「あなたは」「礼はあとでたんんともらうぜ」地虫忍者を斬りまくる豹馬。
死んでいる村人たちを見て、ひどいことをと呟く獅子丸。うううと呻く和馬。「誰にやられた」「マントルだ。子供を助けてくれ。新之助」事切れる和馬。
あるだけの金を払うと豹馬に言う志乃。「だから三吉を助けてください」「なかなか難しい相談だぜ。そいつはな」「ダメでしょうか」「ダメというわけではないが」「……」「そう怖い顔で睨むなよ」「だって、三吉は殺されてしまうかもしれないのよ」「わかったよ。なんとか三吉を助け出す工夫をしようじゃないか」
平太に泣くなと言う新之助。「男の癖に泣くなんて見苦しいぞ」「だっておいら、こわいんだもん」「男ならどんな時でも泣くもんじゃない。恥を知れ」新之助に文句を言う三吉。「そんなこと言ったって、こわいものはしょうがないじゃないか」「じゃあ、三吉。お前もこわいのか？」「当たり前だい。マントル一族に捕まって、怖くないヤツなんているもんか」「私は平気だ。ただ父上の仇を取りたいとそればかり考えているんだ」そこに現れ、平太に毒カビの液体を飲ませるケカビー。たちまち獣人となる平太。くそうと呻くケカビー。「失敗した」
豹馬と志乃を襲う地虫忍者。そこに現れる獅子丸。「いいところに出会ったぜ。今度こそ勝負だ」「その前に地虫どもに斬られないように気を付けろ」「ほっとけ」地虫忍者を斬りまくる獅子丸と豹馬。そこに現れ、獅子丸に袋を投げつけるケカビー。その袋を斬る獅子丸。袋から拡散する赤カビ。うううと呻き目を押さえる獅子丸。勝ち誇るケカビー。「貴様が獅子丸だな」「人は私をライオン丸と呼ぶ」「そのライオン丸も盲では赤子も同然。このケカビー、命をもらった」
ケカビーに待てと叫ぶ豹馬。「その前に俺と勝負だ」「死に急ぐなら、それもよし」ブラックジャガーに変身する豹馬。戦うブラックジャガーとケカビー。耳を澄まし、ケカビーを手裏剣で攻撃する獅子丸。くそうと呻き姿を消すケカビー。
獅子丸の目に薬を塗る志乃。「どんな毒にも効く薬だと三吉は言ってたけど」にわか盲かと呟く豹馬。「それともこのまま目が潰れてしまうのか。どっちにしてもこのままじゃ勝負にならない。哀れ。盲のライオンか」「何を言うの。獅子丸さんの目はきっと治るわ。治るに決まってます」「俺もそう願いたい」「……」「おい。そう睨むなよ。ここで獅子丸の眼が治るのを待つのか、それとも三吉を助けに行くのか。どっちなんだよ」「志乃さん、豹馬。出発しよう」「でも、その目では」「三吉が殺されてもいいのか。私の目は治るもんなら治る。治らなければそれまでだ。でも三吉は助けようと思えば助けられるんだ」
さてと呟くケカビー。「今日はどっちにするかな」泣き出す新之助。「いやだよ。やめてくれ」怒鳴る三吉。「化け物。俺から先にやれ」「こいつだ」新之助に毒カビの液体を飲ませるケカビー。たちまち獣人となる新之助。くそうと呻くケカビー。「またしても、失敗か。だか期限まであと一日ある。問題は下半身だけだ。明日こそは成功させてみせる」
神に祈る志乃。（三吉の命と獅子丸さんの目をお守りください）包帯を取り、川の水で目を洗う獅子丸。「おう、見えだしたぞ」「良かった。神様に祈りが通じたんだわ」「志乃さん」「こうなると三吉の発明も見直されなくちゃ」「さあ、その三吉を助け出さなくては」
獅子丸に勝負を挑む豹馬。「なに」「二人ともケカビーごときに負けるとは思えん。俺だって貴様が余計な邪魔をしなければ、あの時、ヤツを倒していた。俺がこうしてついてきたのも、実は貴様と一対一の勝負がしたかったからだ。獅子丸、俺と勝負してくれ。俺の夢を叶えてくれ」斬り合う獅子丸と豹馬。その豹馬の腕に鞭を絡ませる志乃。「志乃。これは男と男の勝負だ。お前の出る幕ではない」「止めやしません。でもやるなら三吉を救い出してからにしてください。豹馬さん、あなたは私に雇われているのよ」「む」
ライオン丸に変身する獅子丸。三吉を救出する豹馬と志乃。ケカビーを斃すライオン丸。三吉の薬で元に戻る新之助と平太。「さて、獅子丸。二人だけの勝負。む」獅子丸は白馬に乗って去っていくのであった。