ダマスカスの素晴らしい国立博物館を後にします。博物館は新市街にあり、これから旧市街の観光スポットへ。少しだけ距離あります。






先述の通り、ガイドのハンナは足が悪いのであまり長く歩けません。このため、少しの距離でもタクシーを使います。




タクシー料金はドライバーとの交渉なので、ハンナは安いタクシーを探します。産油国であるにも関わらず米軍に盗油されてガソリン価格が高騰しているので、信じられないほどタクシー代も高くなったとボヤキます。それをキッカケにハンナの止め処無い(とめどない)愚痴が始まりました。






先ずは、溜まりに溜まっていたのか、驚くことに昨日ツアーを終えた米国人ローレンに対する愚痴を言い始めたのです。散々振り回した挙げ句、ドライバーやハンナに一銭のチップもなかったらしく、自分もそうだがドライバーも驚いていた。と。






ローレンに対する愚痴はその後、米国に対する怨みつらみに変わりました。子飼いのISISに傍若無人に虐殺・破壊しまくらせた米国が、未だシリア東部でオイル盗掘していることなど滔々と文句を言っていました。そして、彼女はそれを知ってるくせに素知らぬフリだったと。






「米国人は何に関しても奪うばかりだ」






そして、「日本は常に与えてくれる」とも。






日本人は戦前からシリアにアチコチで協力的に支援していたらしく、そういえばどこかへ行く先々で「これは日本が寄付してくれた」や「ここは日本が建設してくれた、修復してくれた」などのコメントがありました。






なので、「日本と米国では天と地の違いだ」と語気を荒めます。






でもまぁ、そうだよなー。






あの戦争でシリアの死者50万人、難民1,300万人。破壊された街は数え切れず、あれを元の状態に戻すには気の遠くなるような時間と労力とお金が必要だろう。






ISISに武器と給料を与え侵略させ、国際法無視でシレーッとシリア領内に勝手に基地を作ってオイル盗んで密輸しているのですから。この罪は重いですよ。怒りも無理はない。






以前も書きましたが、私はシリアで一番行きたかったのはメソポタミア文明遺跡のある東部ラッカやマリでした。しかし、ユーフラテス川沿いのこの辺りは米軍の基地がありシリア人でさえ入境できない。きっと古代遺跡も破壊されてしまっているでしょう。ハンナ曰く、「米軍が去らない限り永遠あの地には行けないだろう」そして、「シリア人は心底、米軍に去ってもらいたいと願ってる。」と続きます。






シリアに戦争を仕掛け、未だに占領している米軍をヨソに、今、米国人は知ってか知らずか呑気にシリアを旅行しています。が、表面は普通に接していてもシリア人感情は決して良くないです。







「多分、日本はシリアが内戦ではなく戦争であったことも米軍の事も知らない。」「嘘のニュースが流れて真実を知らないだろう。」と実情をひたすら話し続けます。






あの、、、私、知ってますけど。。笑







私はこの時ハンナに言いました。「私は実は色んな国を旅していて、日本のメディアが流すニュースと現地での真実が違うことはよく知っている」「私は、旅先で起きたことや経験したこと、現地の人と話したことを度々詳しく書いているので、読んでくれている人にシリアの現状を伝えることができる」「今回、あなたと話したことも書いていくからね。」「そして、シリアに早く日本人の観光客が戻ってくるよう、今は安全なことも書くね。」







と言ったそばからイスラエルがアレッポを空爆。さらにダマスカスのイラン大使館を空爆。






何十年も国際法を無視してパレスチナの土地を奪い続けたイスラエルは、更に国際法無視で周辺各国を空爆。ついにイランも堪忍袋の緒が切れ、イスラエルに(手加減して)初攻撃。






それに対し、西側は制裁を課すと脅す。






世も末ですな。






昨日イスラエルがイラン領土内を攻撃したとニュースが走りましたね。未だ真相は不明。それを伝えたのが米国のABCだった時点で眉唾ものだと私は思っていました。「何でそれを米国メディアのABCがすっぱ抜けるわけ?」「攻撃した張本人だから?」いつもそうですが、日本の無能メディアは事実確認せず右から左。全く信用に値しません。






そういえば、シリアのビザを取る時に現地より職業を聞かれました。なんでだ?と一瞬思ったのですが、来てみて判明。ジャーナリストはシリアに入国できないそうです。嘘800並べ立てられたらたまりませんものね。まぁ、一般のツーリストビザで入国できますけどね。先述の通り個人では動き回れません。






そして、ハンナはこの話がしたくて、オフにも関わらず今日、私のガイドを買って出てくれたのかなと、ちょっと思いました。広域アジア内、どこへ行っても日本人は信頼されているのはこちらもあちらも救いです。それもこれも、先人たちがそういった種を蒔いてくれているおかげ。ありがたいです。