ラタキアの朝。






結局昨夜は9pm以降、電気こそ点いたものの熱いお湯は出ず。ベッドもシングルだったうえ、とにかく質が悪く寝た気がしない。そもそも私、ラタキアに来る予定にしてたっけ?







初日からオカシイなとは思っていたのです。確か私は初日に南部ボスラの遺跡へ行く予定だったはず。それが、車に乗ったらパルミラへ向かったのですよね。笑







パルミラも行く予定にはしていたので深く考えず、その後、クラックとタルトゥースは予定通りだったので、私の思い違いかと思っていた。







しかしラタキアの朝、ガイドが「今日はトルコ国境の〇〇という城へ行ってから、、、」と話し始めたので、全くその名前にピンとこない私は「今日、アパメアのあとアレッポへ向かう予定ではなかったでしたか?」と聞いたところ、「私のツアーではアレッポへは行かない」と言うではないですか!







「へ?あなたのツアーではなく、誰のツアーならアレッポへ行くんです?」







確認してもらったところ、手違いで私は別のツアーに乗せられていたことが分かりました。今、乗ってるこのツアーはもう一人、米国人の若い女性がいて彼女(ローレン)は予定通り。彼女に聞くとラタキア2泊というのです。







え?このホテルに2泊?この何も無いところに2泊?







ローレンに「このホテルどうよ?」とヒソヒソ聞くと「最悪。。」「私のツアーは全てのホテルが四ツ星か五ツ星のはずなんだけど。。」との返事。






雰囲気的に、ホテルの選定はガイドに一任されているようです。







私はその場でツアー会社の元締め男性に連絡し、

「どうも私は違うツアーに乗ったようだ」

「ラタキアは入ってなかったはず」

「アパメア経由でアレッポへ行くツアーに乗せ換え頼む」

そして追加で

「ホテルが酷すぎる」

旨を伝えました。








すると、ツアー会社大元がガイドに連絡し、ローレン了承の下、アパメア経由でアレッポへ行くことに!彼女もラタキアは「???」だったようで、予定外にアレッポへ行けることになり満足なよう。また、ドライバーの自宅はアレッポで、想定外に帰れることになって嬉しそう。ガイドだけが浮かぬ顔ですが、まぁ頼みますわ。私、アレッポもパルミラ同様に楽しみに来ましたから。







ところで、シリアは今現在、外国人個人での都市間移動は難しそうです。私は日本で予め現地ツアーを探し、申し込んで向かいました。







何が難しいかと言うと、先ずはビザ。周辺国レバノンやヨルダンなどで取ることはできそうですが、例によってサラリーマンの私は、取得にどれくらいかかるかわからないビザを第三国でダラダラ待つ時間の余裕はありませぬ。

(因みに日本での取得は困難。在日シリア大使館の電話に出た男の態度マジ最悪。敬語って知ってる?一般社会に出たことないの?)。







このため、私はツアーを申し込んで行きました。ここ一週間でイスラエルがシリアに空爆を仕掛けていますね。このようにいつ爆撃されるかわからないので、空路はやめ、レバノンのベイルートから陸路でシリア入りしました。この方が確実なので。







ボーダーでは両国間のツアードライバーが連絡し合いながら橋渡ししてくれ、スムーズに入出国しています。首都のダマスカスに着いてからは、常にドライバーとガイドがセットです。








次に難しいのが入国後の都市間移動。イラクもそうなのですが、都市をまたぐ度にセキュリティ・チェック・ポイントをパスする必要があります。イラクの場合は軍にパスポートを見せればOKです。しかしシリアは、それに加えて私がどこの都市を巡るか書いたA4の公的機関発行の証明書をガイドが数十枚コピーして持ち(多分30〜40枚あった)、チェックポイント通過の度にそれをシリア軍に渡してアラビア語で説明していました。時にはトランクも開けましたし、スーツケースのチェックも入りました。シリア軍に英語を話す人はほぼいないと考えたほうが良さそうです。






全ての旅程を終え、ダマスカスへ戻ってきたときには、コピーが残り2枚になっていました。訪ねた都市は8都市ですので、その間にそれだけのチェックポイントがあったということです。







道中、個人で来たらしい?ドイツ人旅行者2人がチェックポイントで立ち往生していました。私のガイドは英語を話すので、彼らに何があったのか聞いてあげていましたが、通行許可がない。そのうえ、元の街も出てしまっているため、進むも戻るもできない状況のよう。







私のガイドも結局どうすることもできず、見捨てて私達は先に進みましたが、どうしただろな?まぁ、どうにかしたでしょうけど。これは配備されているシリア軍の裁量なので、印象良くうまく抜けられる場合もあれば、そうでない場合もあるでしょう。







チェックポイントは、例えば横浜から東京へ車で行くことを想定すると、横浜から川崎に入る時に身分証明(チェック)、川崎から大田区に入る前にチェック、品川区でまたチェック、港区で再度チェック、中央区でチェック、大きな区は街が変わる度にチェック、観光サイトに入る時にまたチェック。とかそんな感じです。全てシリア軍によるセキュリティ。イラク同様、エライ武装しています。







なので、ダマスカスにのみ滞在するのであれば個人でビザ取っていけば問題ないですが、地方都市へ行くにはアラビア語を話すことができ、かつ正当な理由を説明しないと厳しそうというのが私の率直な印象です。これは2024/3時点。







ラタキアの後にアパメアを目指しました。ここは、私の訪ねる2週間前にアラートが上がりました。CIA子飼いのISIS残党がシリア軍と衝突し、十名近い死者が出たとのこと。







ここ一週間でも、北部アレッポとダマスカスでイスラエルによる空爆がありました。ダマスカスはイラン大使館を狙ったようですよね。国境を越えた攻撃は国際法違反です。それでもお咎めなし。世界一のクズ国家、イスラエルと米国のおかげで、ちょいちょいこんなのがあるため、セキュリティチェックも厳しくなるのです。






因みに上述の爆撃でイランが報復を示唆したところ、米国がイランに対し「報復しないように」と声明を出しましたね?どの口が言ってんだ?笑






両者モロトモクタバレ。






イランには強烈な報復を期待します。イスラエルのみならず、中東辺りで食い散らかしてる米軍基地も忘れずに。再起不能になるまでヨロシク。






下の動画はトルコ軍に攻撃されゴーストタウン化した街。15kmに渡って廃墟が続きます。シャッターや窓が壊され、中に何も無いのはトルコ軍やISISによって全て盗まれたからだそう。




こんな街がアチコチに点在します。トルコ軍も半端ないのですね。特にアルメニア人の多く住む街が狙われたとか。この期に及んで未だアルメニア人に対する怨嗟ですか。ジェノサイド然り、一昨年のナゴルノ・カラバフ然り、何かよっぽどアルメニア人に対するコンプレックスでもあるのでしょうか。笑






ここに来て、トルコに対する印象がガラリと変わりました。あまりにも酷すぎる。ここまでするか?下の写真はまだビルの形を保っていますが、もっと酷いビルは十万とあります。




ダマスカス周辺や北側地域の街は完全にゴーストタウン化し、人の動きはありません。よくぞダマスカスが陥落せずに済んだと不思議なくらい酷いです。イラクと違い、ロシアとイランが後ろ盾していてくれたおかげ。 イラクは単独で戦いバグダッド陥落しちゃいましたものね。






こちらはパルミラ遺跡のあるタドムルという街。美味しいレストランが立ち並び、パルミラ遺跡へ来る観光客の泊まるホテルがあちこち点在し、パルミラ美術館には隣で発掘された多くの遺物が展示されていたそう。




今となってはCIA子飼いのISISに破壊され廃墟が殆ど。レストランなし、ホテル一軒もなし、美術館の価値ある古代の遺物はISISに盗まれたあと爆破され閉館。それでも事前にダマスカスの美術館に移送したものもあり、そちらは無事です。






こんなゴーストタウンでも、少しずつファミリー単位で帰還してきています。






難民となったシリア人が帰国できないのは「アサド大統領による迫害を恐れて」と欧米メディアは載せていますが、あれは全くの嘘。プロパガンダです。




これはレバノンに戻った際に何人かのレバノン人に聞きましたが、レバノンの方が給料が良い、待遇が良い、自分の街へ戻ってももはや何もない。復興の目処なく生活できないほどゴースト化しているなど、より現実的な要因です。EUなら更に待遇良く、シリアに戻るメリットないでしょう。







若しくは、米国の占領地域で戻るに戻れない






私はこの旅で、メソポタミアの遺跡ある東のラッカやマリへ行きたかったのですが、それは叶わぬ夢でした。その地域は現在、米軍が違法に基地を置き5,000人近くの軍人を配置しています。シリア人さえ入境できません。







何をしているかというと、言わずもがなオイルを盗掘し密輸しています。 米軍が去らない限り、東地域は行けません。イラクとのボーダーも、このために閉鎖されています。








一般のシリア人たちもかなり憤慨し、米軍の早期の撤退を強く願っています。







以前にも書きましたが、シリアの戦争は日本では「内戦」「打倒独裁の反政府組織によるもの」とされていますが、リビアやイラクと同様に米国CIA、戦争屋によるオイル狙いの侵略戦争です。サウジとトルコ、もちろん英国も絡んでいます。これは、シリアに限らずこの周辺各国では共通認識です。







これは現在のガザも同じ状況でしょう。偽ユダヤの罪悪は世界の認めるところであり(少なくとも一般的な良心のある人ならば)、その感情は今後も増幅するばかり。こういった負の感情の矛先となる対象は必ず報いを受けることになります。尚、現在のイスラエルは古代イスラエルや人種的な意味でのユダヤ人とは全く関係ないことを明記しておきます。