2022年GWに訪ねたイラクの旅を綴っています。以前、現地で書いた記事に写真と文書を大幅に追加しています。

 

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引き続きアッシリアです。

 

 

 

 

 

さあ、時代を少しだけ遡り、サルゴン二世の治世より前の現イラク北部ニムルド、古代都市名:カルフにある重要な考古遺跡へ移ります。カルフは紀元前717年にサルゴン王がドゥル・シャル キンに首都を移すまでの150年以 上にわたってアッシリア帝国の首都でした。

 

 

カルフは紀元前13世紀、アッシリア王シャルマネセル1世により第二王宮が築かれました(第一王宮はアッシュール)。その後は廃墟になりますが、紀元前9世紀ごろアッシュール・ナツィルパル2世が再びカルフを見出し、宮殿や神殿を増築します。その息子シャルマネセル3世(在位:紀元前858年 - 紀元前824年)はそこへ更に大ジッグラト、大神殿、シャルマネセル砦と呼ばれる要塞を建設し、1,000年ほどの永きにわたって都市として存続します。

 

Wikiより、シャルマネセル三世時代のカルフ想像図


 

 

 

 

 

彼がシャルマネセル三世。

 

 

目が大きく、ハッキリとした顔立ちですね。線は細いながら力強さを感じます。肩にかかる長髪。ひげのカールまで表現されています。現代でもそうですが、この辺りの人々は顎髭に何か権威がありますね?どこだったかなあ?今でも髭を剃ったら違法とする国があったような。。アフガンだったかな?女性には生えないですので、やはり私も顎鬚あるメンズは素敵と思っちゃいます。

 

 

両手を胸の前に組んでいるのは、崇拝のポーズだそう。

 


 

シャルマネセル三世は、ウラルトゥ、パレスティナなど多方面への遠征を繰り返し、


 

彼の彫像に戦績を示す楔形文字の碑文を遺します。



この像はシャルマネセル三世の遠征のうち初期の戦争について書かれ、アダッド神への祈りと嘆願で終わります。

 


 

アダッドは雷と雨の神です。

 

 

こちらはカリフ砦の城壁で発見された白い石灰岩のシャルマネセル三世の像です。上の像と顔の雰囲気が変わりますが同一人物。



 

彫像の碑文には、シャルマネセル三世の21、22回目の遠征記録が刻まれています。
 



そうやって、遠征から帰る度に自分の像を造らせ、戦術や成果を記録したのですね。




自己顕示欲が強いね。こういう男、私、苦手。(え?)

 

こちらはシャルマネセル三世像のすぐ横に展示されている黒色オベリスク。黒石灰岩製の彫刻です。こちらもニムルド(カルフ王宮)から発見されています。イラク国立美術館のこれはイミテーションで、オリジナルはロンドンの大英にあります。

 

 

高さは2.2mあり、上部はジッグラトの形をしています。このオベリスクは考古学史上、最高レベルに重要なのだそうです。それが故に、イラク国立博物館では素材までオリジナルそっくりに再現したそうですよ。(そんなメンドクサイことしないでも、とっとと返してもらえば?ボソッ)

 

 

このオベリスクは四角錐で4面あり、それぞれの面に5層、20コマのレリーフが刻まれています。多くは征服した国々からの戦利品を持ちこむ様子や、各国からの貢物が運ばれる様子を示していますが、このオベリスクが考古学上、最も重要だとされるのは、とある人物のレリーフがあるからなのです。

 
 
上から二段目、シャルマネセル三世に跪いている人。この人はイスラエル王イエフ(在位:紀元前842 ⁻ 815)だそうです。旧約聖書に登場する人物の肖像が現存するのは世界でただ一つ、このオベリスクだけなのですって。
 

 
これ相当凄いことなのだそうですよ。また、上下段に楔文字で書かれた文にはペルシア人への言及もあり、これも最古級なのだそう。
 

 

ところで、このオベリスクにはイエフを含む5人の国王がシャルマネセルにひれ伏す場面が彫られています。このように未来永劫遺る石に、跪く他国王をわざわざ描くなんて、何だかエゲツナイヨネ、シャルマネセル。笑 こういう男、私ムリ。(え?そういう視点?笑)

 

 
このオベリスクは真に重要なもので、レプリカはここだけにあらず。米国のハーバード大学はじめ、NZのカンタベリー博物館やデンマークの古代美術博物館、オランダの聖書考古学資料館など至る所にレプリカが設置されているそう。それほど大事なものを強奪し、自分ちの陳列棚に涼し気に飾ってる英国の太々しさってどうなの?
 
 
 
 
 
 
 
そういえば、先日の英国王室の戴冠式でご両人の被った冠のダイヤモンドも、インドや南アを植民地にしてたときに略奪した盗品なんですってね。かなり価値が高いため、以前から正式に返還要求しているものの、一切応じないのだとか。
 
 
 
 
 
 
 

っと、話が違う方向へ永遠逸れていきそうなので(爆)今日はこの辺りで!メソポタミアの歴史、調べれば調べるほど深くて面白くて土壺にハマっています。ヤバイ!仕事より楽しい!爆