2019年11月に訪ねたサウジアラビアの旅を綴っています。
この旅の最終都市、ジェダに到着。教授よさらば!結婚話、とても興味深かったよ。
夕方、予め取っていたホテルに着き外を眺めると、ちょうど紅海に日の沈むところ。
噴水が高く噴き上げ始めた。これ、世界一高い噴水なのですって。湾を隔てた向こう側の半島には、信じられないくらい広大な敷地の王族宮殿があります。
朝、近くのカフェで朝食。ここでもバリスタはフィリピン人。貨物船にコンテナが半端なく積まれてる。
紅海はダイビングのメッカとしても有名です。
ジェダは、イスラム教の聖地メッカの玄関口となるサウジでも重要な都市です。巡礼ビザで訪れる他国ムスリムの空の玄関口ですので、実に多様な人種が訪れますよ。私の訪ねたとき、特に目立ったのはアフリカ人ですかね。
アフリカは、植民地時代に西欧人によって多くがキリスト教に改宗され、キリスト教徒が多いと思われがちですが、ムスリム人口の方が圧倒的に多いです。
その昔、メッカ巡礼者の宿場町として栄えた旧市街へ行ってみます。例にもれず、歩いていたら何か見つけられるかもと、結構距離があるのですが徒歩で向かいます。因みに歩いている人などほとんどいません。
しばらく歩くと漁協。
さらに旧市街へ向かって歩きます。
ジェダは、昨日までのハイルと違って暑く、しかしメッカのお膝元で半袖になるわけにもいかず、若干脱水症状気味。
黒のパーカーはマズイ。
旧市街の入り口付近まで来たところで、かなりフラフラし始め、立ってることも厳しくなりビルの入り口に座り込みました。
すると、たまたまそこから出てきた男性が、
「どうしたの?」と声をかけてくれました。
「この辺りに、ミネラルウオーターを買えるスーパーか何かありませんか?」
と尋ねたところ、
「ちょっと待ってて」
その男性がビルの中に入ったかと思うと、冷えたミネラルウォーターとオレンジジュースのペットボトルを手に戻ってきました。
「これどうぞ」
私はミネラルウォーター一気飲み。
まるで砂漠に倒れた砂漠知らずの余所者。
「おいくらですか」
と聞くと要らないというので、ありがたくいただきます。
こういう施しは、中東ムスリムならではのように思います。
どこの国へ行っても人々は皆、親切ではありますが、例えばこれがキリスト教や仏教の国(日本も含む)だったら、丁寧にスーパーの場所を教えてくれただろう。
もしそこから遠かったら、一緒に行ってくれたかも知れない。
でも私は今、スーパーに行きたいのではなく水が欲しい。
私の質問の仕方もアレですけど、そこを汲んで察知してくれるのが中東(トルコ含む)のムスリムのように思うのですよね。
水を飲んだら元気になって歩き始めました。
旧市街は、ほんと昔からこのままだったのだろうなという佇まいです。
ここがジェダの中心だったころは、他国の巡礼者もみなここに泊まり、メッカへ向かったのだろう。
建物はとても古いのですが、行き先案内がとにかく多くて、昔からホントに多くの人がメッカ巡礼に訪れたことを物語っています。
旧市街の外回りだけは開発され、高いビルなど建っていますが、一歩中へ入れば前世紀。
タイムスリップしたような錯覚にとらわれる。
写真には写していませんが、このモスクの周りには何をするでもなくお年寄りの男性がズラーっと座っていましたよ。
お祈りの時間になると、ほとんど人気(ひとけ)のなかった旧市街にわさわさと人が出てきます。
子供もこうやって小さい時からの習慣にしていくのでしょうね。お祈り姿がかわいい。
旧市街は夜来ると、また趣変わって楽しいのかも!
旧市街を出て、ホテル隔て反対方向、昨夜噴水が上がっていた辺りまでタクります。
海を眺めていたら、一人のニカブの女性に話しかけられました。珍しいと思いましたが、彼女は東アジアの目をしていました。
彼女は中国人。私を同胞と思ったようです。中国人のムスリムは珍しいと思い、近くのベンチに座りしばらく話しました。
彼女は明日、生まれて初めてメッカを訪れるとのことで、かなり興奮した様子でした。一人で来たのですが、メッカまでの行き方が分からないので私に聞きたかったようです。
ところで私の渡航する直前、一瞬ですがジェダのニュースが出ました。
ジェダは、メッカ、メディナまで高速鉄道が開業し運航されていますが、私の訪ねる数日前に、ジェダ駅で爆発があり物凄い噴煙の上がったと写真が掲載されました。
この一報がAl JazeeraやAl Arabiaで流れたとき、その時点では事故かテロか分からず、しばらく運行停止と伝えていました。
しかし、数日たったらこのニュース、消えてしまったのですよね。ついぞ原因は分からず。
それを彼女に告げると、バスで行くようなことを言ってたかな。
余談ですがこの鉄道、当時のスケジュールから大きく大きく開業が遅れたうえ、いざ運行開始となったときに、どれだけ練習しても、サウジ人はこの列車を運転できなかったのですよね。
駅に着いたとき、停車位置に列車をピッタリ停められない。
停車位置がズレると乗客の乗降ができない仕様のため、これでまた更に運行開始時期が遅れました。
仕方なくインドから運転手を連れてきて、なんとか開業したようです。
曰く、「我々サウジ人は、これらの運転を得意とする人種ではない」と、この鉄道会社は伝えていました。
なので、私はこの爆発のニュースを見たとき、
「サウジ人が運転したのか?」
と思ったのですよね。笑 真相は闇の中ですが。。
そしてまた話は飛びますが、あの頃から中共によるウィグル(イスラム教)弾圧や強制改宗は深刻な状況と告げられていましたが、とうとう先日、中国語で見ることのできるイスラム教のコーラン翻訳アプリがiphoneから排除されたとニュースになっていました。
中共のイスラム教排除が鮮明になってきたなと思いました。
この記事を見て「彼女、どうしてるかな。」と思い出しました。
思想の自由が許容されず弾圧、排除される社会の生き難さを思うと、香港などもそうですが、一般の中国人はそれを完全に受容(許容)しているのかな。これが私にはよく解せない。
さて、この公園の先へ行くとリッツ・カールトン。
ここは王室御用達な感じ。
そして、世紀の大金持ちなサウジでも、中国資本はガッツリ入り込んでいるんだなと思ったのが、大型ショッピングモールや、高層ビルの建設現場に溢れる中国語の看板。
世界は常に動いてますよね。
ジェダでは一人だけ、運転する女性をみました。少しずつ、少しずつサウジも変わってきているのかなという印象は受けましたかね。
今回のサウジでは、まだ観光する環境が整っておらず、行けないところばかりでしたが、ビザが一年マルチなので、この時はまた年が明けて少ししたら再訪しようと思っていましたよ。
年明けて3月に入ったころかな。コロナ禍となりサウジ政府から「あなたのVISAはしばらく無効です」とメールが来て、ついぞそれは解除されずに有効期限を迎えました。
これにて、私のサウジアラビアの旅は終わりです。
私はここに来るまで171ヶ国を既に訪ねていました。その中にはやはり珍しい慣習、ちょっと考えられないような文化、法律の国もありましたが、サウジほどの衝撃ではなかったです。
世界はまだまだ興味で溢れていますね!
行けて良かった。あの時に行っておいて良かった。と今では思っています。
いつもながら、長い文章をお読みいただいてありがとうございました!
良い週末を!