それから奏は、旋に解らない所を教わりました。
すると面白いように、問題が解けるようになりました。
成績は下位にいましたが、中盤の上の所まで行き、
“上位まであと一歩”の所まで来ました。
喜んでいたのは両親ですが、
本人も“少なからずは”、喜んでいました。
そして季節は、夏になりました――
夏になって脚光を浴びたのは、柚子でした。
Gカップを武器に、男たちを誘惑していきました。
奏と詩は、自分のを見ては俯いていました。
その後、離れていた所で泳いでいた二人でしたが…
詩「二人で遊ぶのも、楽しいね♪」
奏「うん! けど、もうそろそろ帰ろ!
置いて行かれちゃう!!」
詩「うん! …あれっ!!? かなちゃん! 助け……」
奏「うーちゃん!!! うーちゃんが……!!」
奏は、離岸流に飲まれていく詩を、
ただただ“見つめることしか”出来ませんでした。
絶望の淵に立たされた奏を、救う人たちが現れました。
それは、旋と優でした……
バシャバシャバシャ……
旋「こういう時は、横に泳ぐんだ。
僕に捕まって! 優(すぐる)!!」
優「解ってますよー! つ-さん!!
“人使いが荒い!!”って、
いつも言ってるじゃないですかー!
…って、今はそんな場合じゃない!!
うっちの脚を持って……。よし!!」
二人は、
“波と垂直に交わるように”泳いで行きました。
無事に、離岸流を抜けました。
奏が迎えに行くと、詩は泣きじゃくっていました。
詩「怖がったああーーーーっ!!(´;ωT`)ウゥゥ」
奏は優しく抱き、背中を撫でました。
二人にお礼を言って、自宅へと帰って行きました。
その道中、優くんのコトを訊いていました。
早退した日、実は意識を失って倒れたそうなんです。
その時に介抱してくれたのは、優くんだったそうで、
そんなこともあってか、“意識している”そうです。
優くんも、まんざらでもない様子で……。
お互いの両親とも顔を合わせていて、
揶揄われているようです。
奏は、“羨ましくもあり寂しさも”、感じていました……