平常心を、保つ秘訣 | small-story

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自分なりに精いっぱい書きます! お願い致します。

そこは、廃墟と化していた――

 

木々は生い茂り、門にツルが蔓延っていた。

枯れた花が幾つもあり、ハエが集っていた。

繭子が行きたくなかったのは、紛れもなく……

 

ま(うぅ…! 嫌あーーーっ!! 怖いいー!!

帰りたいい!! シズルくん! 助けて!!!)

 

虫嫌いの繭子を、静流は、哀れな目で見ていた…

 

し(申し訳ない…。俺じゃ…“逃げられそう”なので……。)

 

静流は、心を落ち着かせ、

繭子に、ある事を頼んだ。

 

し「電話、してくれ。俺じゃ…逃げるから。(ツラいなあ~!!)」

 

繭子は腹を括り、“何気ない顔で”電話した。

 

ま「(シズルくんが、頼りにしてくれてるから。平常心。平常心。

……よしっ!!)

…あっ! お久しぶりです~! 遊びに来ましたー!」

 

静流は、“すぐ切り替える繭子”を、羨望の眼差しで見ていた。

 

し(す~~げえ~~なーーっ!! 俺には、出来ないやり方…!)

 

門が開くと、静流は、

持っていた袋を繭子に被せた。

繭子は目を瞑り、静流の手を掴んだまま進んだ。

そして、玄関の前まで来た。

 

し「それじゃあ、お呪いするぞ。」

 

繭子は何も言わず、大きく頷いた。

静流は、ドアノッカーを押しながら、こう言った。

 

し「う・ら・な・い!」

 

ドアが開こうとした時、静流は、

袋を取り、素早く繭子の陰に隠れた。

繭子は、こう訊いた。

 

ま「シズルくん。怖いの??」

 

静流は、小声で言った。

 

し〈俺が前だと、あの女性が倒れる。だから、(繭子が)前!〉

 

繭子は首を捻り、

その後、顔を顰めた。

 

ま(“怖い!!”んじゃないの? シズルくんの、嘘つき!!)

 

ドアが開き、その女性が出てきた。

繭子は、見た瞬間、ある女性のことを思ってしまった…

 

控えめ「いら…しゃい…。よく来たわね…。嬉しいわ…うふっ♪

…と…後ろに、誰か居るの…?」

 

ま(えっ!!? 零さんにソックリ!! 双子!!?

…じゃあないよね?? でも、似てる……!!

シズルくんに、訊いておこう!)

 

静流は、ひょいっと出て来て、苦笑いをした。

その瞬間、“控えめ”は、卒倒してしまった……

 

し「ど…どうも……。(顔、出しづれー!!)」

 

控えめ「ひゃああ~~……!!」

 

バタン! バタッ。

 

繭子は慌てていたが、静流は、冷静だった。

 

ま「ああ~~っ!! 倒れちゃった!! 助けなきゃ!!」

 

し(う~~ん…。おんぶすれば、いいか!)

 

おんぶしようとしたが、思いのほか、上手くは行かなかった。

なので、繭子に、助けを求めたのだが…

 

し「(ヤベー―!! 滑るー! どうする~~!?)

繭子。俺の肩に、(控えめの)手を渡してくれ! 繭子?」

 

繭子は、動こうとはしなかった。

なので、強めに何度も言った。

 

し「繭子! “渡して!!”って言ってるだろ!

“渡せ”よ! 繭子!! ぼ~~っとするなよ!

聞けよ!! 繭子!!!」

 

繭子は、ある点を見ながら、辿々しく喋った。

だが静流は、我関せずだった。

 

ま「あの…ね…。その…」

 

し「だから!! “手を渡せ!!”って、言ってんだろ!

聞けよ!! 滑るんだってばーーっ!! (どうするーっ!!)」

 

繭子は、言おうとしたが、静流に読まれてしまった。

 

ま「あのね…。お…」

 

し「『っぱいが、当たってる!!』 …で何?」

 

冷静に、突き返された繭子は、何も言えなくなった。

 

ま「『何?』 …って……。」

 

静流は、キッパリと言った。

 

し「俺は、“繭子でしか”興奮しませんん!

…って、言ったら分かるだろ!? 『身体も』だよ!

それに、“人助けの時”に、興奮するか!!

命が大事だよ!!! (何、考えてんだよ!!)」

 

繭子は、ほくそ笑むと、静流を手伝った。

それと同時に、“この考え方”は、奥に仕舞った。

 

ま(そっか…。嬉しい……♪)

 

そして二人は、家の中に入った。

 

し「部屋は、どこ??」

 

ま「確か…左!」

 

部屋の前に着いたが、ドアの開け方が判らず、

静流は、首を傾げた。

 

し「何も……無いけど?? (どうやって開けんだ? コレ??)」

 

繭子は、下の掴む所を持つと、ひょい!と上げた。

静流は、目を見開きながら眉をひそめた。

 

し(何だそれ!? ガレージか??)

 

繭子は、こう話した。

 

ま「『くノ一に憧れたから、しちゃった♡』だって。」

 

静流は、嫌そうな顔をした。

 

し(立て付けが、悪いだけじゃねーのか? 何だそれ~!)

 

二人は中へ、入って行った――