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きままに小説書いてるブログ

She gave rock n roll to you という小説を書いています。
どん底な少年がロックとヒロインで救われていく話です。

大河と舞は走ってブリーフィングルームを目指した。
舞が案内する。
「こっち!付いてきて!」
なんと舞が案内したのは多目的トイレ。
「おい、ふざけてるのか?」
「ふざけてなんかないよーう」
大河はトイレにぶちこまれた。
そこには便座はなく、巨大な穴が広がっていた。
「ここにとびこんで」
一人はらくらく通れる穴だ。底の方は穴が深いのか、暗すぎて見えない。不気味だ。
じり、
当然ながら大河は躊躇した。
「ま、舞。ちょっとまっ……」
しかし舞はイライラと叱咤激励する。
「男の子でしょっ」
ガンッ!
「うわっ」
突き落とされてしまった。
ビューーー!!
そのまま彼は引力に引かれるままに、滑り台を滑り降りる。
「ギャーー!!」
右に左にカーブを繰り返し、彼を揺さぶる。
大河は今にも吐きそうだ。
ズダンっ
彼は尻から地面に落ちた。
「っててて……」
大河が尻を擦りながら立ち上がると、背中に訪れたとてつもない衝撃に再び倒れてしまう。
舞がぶつかったのだ。
「ご、ごめんなさい」
舞は大河の背中に乗っかったまま言った。
そのまま倒れこんでしまう。
「は、はやくどいてくれ。」
「うるさいっ。せっかく抱きしめるチャンスなのん。はぁー……大河の匂いだぁー」
「くんくんしてる場合かっ!敵が来てるんだぞ!」
大河はガチでどなる。彼はガチだが、彼女は違った。
「もう冗談だってば」
しぶしぶ舞が退くと、大河はやっと立ち上がることが出来た。
「ゴホン」
二人が咳払いのした方向を見ると、熊谷艦長が立っている。
ここがブリーフィングルームらしい。
「仲良き事は美しきかな、とはよく言うが、時と場合を考えてくれ」
「す、すいませんでしたっ」
二人は気を付けをして、謝る。
「分かればよろしい。さっそくだが、本題に入ろう。敵も出現していることだしな」
艦長はモニターの要所要所を指差して説明しながら命令下達をする。
「街にムガールの『バケツ頭』が多数出現。その数不明。敵は大まかに二つの部隊に別れている模様。君たちは到着したのち、散開、これらを各個撃破。一番機は西方一帯のこの地域、三番機は東方一帯のこの地域の敵を殲滅しろ。出撃は五分後。……無理はするなよ。なお、敵は新型ロボットを完成させた模様だ。もし出てきた場合、注意せよ。その際、我々も予備として控えている部隊を君たちの援護のために出撃させる。質問。」
「ありません」
「よろしい、解散。」
ザッ!
敬礼。
「今夜はご馳走だから、夕飯までに片付けて来いっ」
使命と覚悟を胸に、二人は戦場に向かう。






ビビドライガーのコクピットには既に渚がいた。
彼女は機嫌が悪かった。
「なんだか舞ちゃんと仲良さげ!」
「まあ幼なじみだしな」
嫉妬だ。しかし、鈍感な彼は気がつかない。
「……もういいっ」
「なんなんだよ」
大河は首をかしげながらも、計器を操作し、鋼鉄の戦士に命を吹き込んでいく。
一回動かしただけで、ここまでビビドライガーと一体になれるのは、常人の数倍、彼の波長がビビドリウムの波長と共感しやすいからだ。
ブン……
ビビドライガーの瞳に光がともった。
「いつでも出れるぜ!」
深紅のビビドライガーは来るべき時をまち、臨戦体勢をとった。
「目標上空に到着。発進どうぞ」
オペレーターが発進を促す。それに渚が了解し、大河に発進を指示したら出撃となる。
「分かりました。いくわよ、大河くん。一番機発進します。」
「ビビドライガー、発進!」
ガガガ!
目の前の扉が開く。
眼下に街が広がる。
「いくぜっ!」
深紅の巨人は街を救うため、戦場へむけ一気に飛び降りた。
続けて三番機も発進準備に入る。風切舞の搭乗する烈風の三番機は、夜よりも暗い真っ黒なボディだった。漆黒の機体には、両手にカギズメがついている。格闘メインの機体のようだ。

「三番機、でまっす!」
漆黒の戦士も、戦場に黒い風を吹かせるべく、颯爽と出撃した。

ズズンン……ズズンン

ぐぐぐ……

がしゃーん

着地した2体の戦士は、周りを見渡し、敵を探す。
「どこだあ?」
「大河くん、四時の方向に6体、九時の方向に3体よ!」
渚が大河をサポートする。
「了解!東の6体はまかせろっ」
命令通りに大河が東に進もうとすると、
「おさきっ!」
「あ、てめー舞!」
舞が横からすり抜けて、一目散に東の敵に接近していく。その俊足、正に疾風。
「私は命令なんかにとらわれないよ!いつだって私は、Going 舞 way!大河は少ない方をチンタラ倒してなー!」
「てめー!ずるいぞ!うまいこと言って逃げんじゃねー!」
「いや、別にうまくないし……」
渚の突っ込み。
そのとき、すでに三番機は6体のバケットのうちの一体に肉薄する。
「見てて!!」
そう言うと、一直線に突進し、敵を切り裂く。
すれ違い様に、十もの連撃を食らったバケットは、ひとたまりもなく、反撃も出来ずに爆発した。
爆風を背に舞が決める。
「必殺!烈風切斬舞!」
「レップウ、キリキリマイ?だっけ?やべーかっこいー!」
「でっしょう?」
興奮する大河。得意気な舞。
それが面白くない渚は、スペースリンクスと大河に指示を出す。
「こちら一番!あれを至急!大河くん、上空のスペースリンクスに気をつけて!」
「へ?」

ガキィン!
一番機の顔すれすれに、巨大な棒が突き刺さる。
「な、なんだあ?」
「一番機の個人武装、ビビドブレードよ。さあ、早く抜くのよ。」
よくよく見ると、それは鞘に入った巨大な刀であった。
「よっしゃ!」
大河は、刀を腰にさし、西の三体に向かって駆け出した。
初めの一体に刀を構えながら突撃。そのまま相手の肩口から袈裟切りに切りつける。

ザシュッ くるっ ザシュッ

降り下ろした刃を一瞬で反転、左手を上向きに添えると、そのまま相手の顎を割るように上に切りつける。
古来から伝わる剣技、つばめ返しである。

ギギギ……
ドッカーン!

爆発。
その爆風に紛れて接近する敵に対し、振り向き様に切り捨てる。
「す、すごい」
大河は、完全に渚の想定外の力を発揮していた。その力は、頼もしくもあり、また、危うくもあるように、彼女は感じた。
「次はどいつだあ!」
大河の咆哮がこだました。






舞は、5体の敵の繰り出す、蹴りや突きを、まさに踊るようによけていた。
「あはははは!当たらない!当たらないよ!?あーっはっは!」
楽しげに挑発する。
しかし、囲まれてしまっては、避けているのが精一杯だ。
口調とは裏腹に彼女は焦っていた。この場を打開できるきっかけを彼女は探していた。
「そこだあっ」
シュッ!
右手首から、ワイヤーアンカーが飛び出し、一体の動きを封じる。
「くらえっ!必殺!烈風狂い咲き!
そのままワイヤーを縦横無尽に振り回し、敵同士ぶつける。
一気に敵の包囲網が崩れた。
「チャンス!」
彼女は腰から、小刀を抜くと、煙幕を焚き、煙に紛れた。
さすがはクノイチ、完璧に気配を無くしている。バケットたちはキョロキョロと辺りを見回し、舞をさがす。
漆黒の巨人は煙に紛れながら、ロボットの急所を突き刺していく。
仲間がどんどん倒れていき、慌てるバケットたち。
しかし、舞は容赦しない。確実に冷静に倒していく。
肩の隙間、背中、脇腹。つぎつぎに滑らかな動作で突き刺していく。
ついに最後の一体も完全に沈黙した。
「必殺、烈風朧月……」
煙が晴れると、颯爽と漆黒の暗殺者が姿をあらわす。
舞は大河を気遣った。
「さて、大河はどうかな」
大河も最後の一体を倒したようだった。
「片付けたし、帰ろうか!」
大河の言葉に舞がうなずこうとした、その時
「大河!」
後ろから、いきなり見たこともない敵が現れ、一番機を攻撃した。
その機体は、サイコロの側面、上面から、手がつき出したような異形な姿形だった。
「こちら、一番機!アンノウン襲来!新型と思われる!援護を要請する!」
「了解。付近の基地から出撃させる。」
渚が本部と連絡をとる。
「なんだこいつっ!」
大河の刀をヒラヒラかわしながら、敵は嘲笑うかのようにギシギシと軋んだ。
「舞っ!手伝えっ!」
大河が振り向くと、舞のまわりには、バケツ頭が壁のように何体も立ちはだかっていた。時間稼ぎの為に現れたようだ。
「こいつは、ながくなりそうだぜ」
大河はそういいながらも、楽しげだった。
「燃えてくるぜぇ……!どんなピンチも"尾も白く"!」
刀を構えると、サイコロの化け物へと突っ込んで行った。