ライブハウスから撤退した理由 その24 | バイク馬鹿 ロックベーシスト 西本圭介

バイク馬鹿 ロックベーシスト 西本圭介

テクニカルベーシストとしてベース・マガジンでも紹介 / ディープ・パープルのグレン・ヒューズ達と共にヨーロッパ11カ国を周り、また巨匠ビリー・シーンと共にKoRnのドラマー[レイ・ルジアー]のリズム隊として登場。

今回は撤退理由と次に僕がライブハウスをやる時の盛り返す打開策を書きたいと思います。


 

これまでの流れで分かるように、ライブハウスにおける興行というのは、出演側にとっても、経営側にとってもなかなか厳しい時代だといえます。

 

 

撤退理由の1つめは2018年度問題《 日本の18歳の人口が2018年頃から減り始め、大学進学者が減っていくこと。》という逆境の中で名古屋からの遠隔操作で広島のライブハウスを経営することは困難だと感じたことです。

 

大学や専門学校などへの進学者が減ると大学の音楽サークルやプロ志向の専門学生によるライブハウス需要が確実に減ります。

 

プロを意識してバンド活動出来る期間として大学のサークル時代は大変重要ですが、このパイが減ると、結果的にプロ志向のバンドは減っていきますので、プロ予備軍がよく出るタイプのライブハウスは厳しくなります。

そうなると、ライブハウス供給過多になると想定しました。

 

そこにプラスして昨今はカフェや飲食店、販売店などでのプチライブも広島でも多くなりました。

それもある意味ライバルと言えます。

 

 

僕はライブハウスでの興行が盛り上がっていく為に必要な要素の光が見えています。

 

それは業界が力を入れて良いドラマーをたくさん創造することです。

 

実はここに大きなポイントがあると思っているのです。

 

カフェライブやストリートライブと較べてライブハウスのアドバンテージは音量が出せることです。

 

とくにドラムを良い音で鳴らすと格好良いし、良いドラムを聞いているだけで体が動きますから、ダンスしたり踊ったりとライブハウスでの醍醐味である、音楽に体をゆだねて汗をかくという楽しみが増えます。

 

もともと、アンプが高出力になっていった要素も、ロックというジャンルが生まれ、当時はPAも発達していなかったで、ドラムをフルショットして鳴らすロックというジャンルが発達しました。

 

当時のロックドラマーは生音で大音量だすために、スティックを太くしたり、キックペダルの踏み方を改良したり、様々なテクニックの進化によってロックドラムが確立しました。

 

皆さんもよく分かるように、ちゃんと叩いたドラムの生音は意外に大きいです。

その音量に対抗するには高出力のアンプやビッグバンドのような複数の管楽器などで音量を稼ぐ必要もあります。

 

もともとの音楽の起源はストリートライブであり、店舗の軒先やBARでお客様と接近した状態での小編成アコースティックライブでした。

それが、多くのお客様に同時に楽しんでもらうためにPAシステムも発達してライブハウスという営業の形も出来てきました。

 

昔は歌声喫茶とか、フォーク喫茶というようなカフェライブが主流ですからね。

 

昨今のライブハウスが元気ない(ような気がする)原因はドラマー不足と、ドラマーがちゃんと鳴らせない事情があると想定しています。

 

僕は世界トップクラスのドラマー達と演奏をした経験もありますし、留学時代やツアーで多くのトッププロの生音を体感してきました。

 

そういう観点で良いドラマーだと、ライブハウスというシチュエーションでとても良いサウンドを得ることが出来ます。

 

ちゃんとドラマーがドラムを鳴らせれば、オクトパスの規模だとぶっちゃけPAはいらないです。

 

先日もロサンゼルスのベイクドポテトという老舗ライブハウスでトッププロのジャズセッションを聞きましたが、本当に生音にちょっとだけPAで足し算した程度の音響でさいこうのライブサウンドでした。

本当にああいう音を体験したら、ライブハウスっていいよな〜!!って思ってもらえるはずです。

 

良いドラムがあれば、ベースもそこそこの音量で鳴らしても音楽として締りが出ます。

ギタリストがマーシャルを程よく鳴らしても痛くならないのです。

 

これまで見たバンドでアンサンブル的には、出音もサウンドいいな!!と思うのはドラマーが絶対に上手いバンドです。

 

 

ただ、日本の環境としてドラマーがちゃんと叩ける場所がそもそも少ない。

 

アメリカはガレージバンドという言葉があるように、ガレージでドラム叩いて練習したり、室内で叩いても隣の家まで距離があるなど環境として大きな差があります。

 

日本ではどうしてもドラマーは練習環境に不利な面が多く、逸材が排出されにくいような気がしています。

 

また昨今のデジタルドラムの進化で自宅練習が容易になった反面、生ドラムを鳴らせる子達が減った印象もあります。

 

僕はドラマーの育成のためにもライブハウスは大変重要なポジションだと思っていますし、練習スタジオも日本の音楽の発展には大変必要な施設だと思います。

 

プロ志向のバンドにおいて、実はドラマーの脱退というをよくみる気がします。

実際にプロでもドラマーが正式にいないバンドも多いですよね。

これはドラマーが過小評価されているということも考えられます。

 

またドラマーは機材の搬送も含めて経費が掛かる楽器ともいえます。このあたりをバンドの中で経費サポートするという考え方も必要かもしれません。

 

僕はドラマーオタクなので、次に生まれ変わったらドラマーになりたいくらいに、ドラムというのが音楽の要だと思っています。

 

現在、僕が部長を務める音楽専門学校ではドラマーが楽器の中でもっとも生徒数が多いコースです。

 

それは大変良い傾向であると思っています。

良いドラマーが育てば、良いライブバンドが創出される。

 

小さな箱でほぼPA無しのようなシチュエーションでカッコエエサウンドが出せる若手バンドが増えたら、ライブハウスがもっともっと盛り上がると思うのです。

 

今はライブハウスは撤退しましたが、専門学校においてもちろん総ての学生さんに等しく教育していますが、特に良いドラマーを多く排出することで、業界にメリットが生じると考えています。

 

 

 

 

続く