不定期連載第2回


プロローグという名の問題提議



古風な日本家屋の中で子供達はおばあちゃん(近所の世話係の様な存在)の話を聞いていた。

聞いていただけで理解はしていないが。

少なくともこの時点では。

「もしもね、もしも大事な人が居なくなるとしたら、ゆうちゃんとあいちゃんはどう思う?」

二人は声を合わせて
「いやー!」
と首を左右にぶるぶる振った。

「そうだよね、でもね、もし大事な人が居なくならないと、ゆうちゃんとあいちゃんの家族や友達が居なくなるとしたらどう思う?」

二人は顔を見合わせ
「うーん、わかんなーい」
と首を左右にぶるぶる振った。


「そうだよね、分からないよね、私も分からないわ、今でもね」
「おばあちゃん、いやなことでもされたの?」
「おばあちゃんをいじめるやつは、ぼくがやっつけてあげるよ!」


「そうじゃないの、そうじゃないのよ」
老婆は首を左右に振り言った。


二人は顔を傾け
「じゃあ、なんでそんなにつらそうなの?」
と老婆の顔を見てそう思った。



「私はつらくないの、本当につらいのは…」



夜空を見上げ老婆は呟く。
子供達には聞こえなかったようだ。

老婆は顔を上げたまま言った。



「今幸せ?」



二人は即答した。
「うん!」
と首を縦に大きく振った。



星のきれいな夜空を見上げ


子供達は笑っていた。


女は泣いていた。