木村さんの自宅の最寄り駅に着きました。

長身の木村さんは早足でどんどん先に行ってしまいます。

駅前の駐輪場まで来て、やっと立ち止まってくれました。


やっと追いついた!


そう思った瞬間、木村さんの大きな大きな手が飛んできたのです。

私はとっさに避けました。

駐輪場のフェンスを思い切り殴り始めました。


「あいつの言いなりにになってるのかよ!」

「あいつと付き合ってるのかよ!!」

「あんな奴と一緒にいるなよ!!!」


そんなようなことを言いながらフェンスを殴り続けました。


私は怖くなって、涙が出てきました。


「ホテル行くぞ」


そう言われましたが、私は怖くて

首を振りました。


「あいつに言われたら、ついて行くんだろ!!!!」


「もう帰る!!!」


木村さんは自転車で帰っていきました。

取り残された私の携帯には、熊谷さんからの着信記録がいくつもいくつも

残っていました。


あれから熊谷さんとじっくり話し合い、木村さんとは

もう2度と会わないと誓いました。

しっかり別れを告げることを約束しました。


仕事が終わった後、熊谷さんに見送られ、木村さんと

職場から1駅離れた駅のホームで待ち合わせ。

木村さんに、熊谷さんに全て気付かれたと話しました。

だから別れたい・・・と。


木村さんの形はたちまち変わり、ぷいっと方向を変えて、さっさと

電車に乗ってしまいました。

私はどうしていいか分からず、とりあえず追いかけて、同じ車両に

乗り込みました。


「木村さん・・・」


「・・・」


かなり怒っている様子。


木村さんと熊谷さんは以前からとても仲が悪く、

お互いを嫌っているのです。


だから、私と木村さんの仲を突き止めた熊谷さんは

私の首を絞めたし。


木村さんは終始無言のままでした。

私は決意をしました。

全ての男性との関係を絶てばいいのでしょうけど、それは私の身体も心も拒んでいました。


精神的にも、誰か男性を頼り、身体的にも、誰か男性に触れられることを、求め続けていました。


私は木村さんと別れる決意をしました。
熊谷さんとの思い出が大きすぎて、熊谷さんと離れることは辛過ぎました。