JBL ランサー101が久々にやってきた。
今回が3セット目になります。
見た目はまあまあですが下部脚部に多くダメージが有り、湿気で膨れた側板も修復します。
赤線囲みは突板裏をこそぎ取り圧着して平滑にします。
木口全体も風化気味なので補修後ガラスコートを含浸させます。
ランサー101は手をつける所多いので恐らく1ヶ月はかかると思います。
メンテ内容
エンクロージャー
欠けや傷、膨れを修復後突板を研磨しガラスコート仕上げ
天板大理石の傷やヒビを補修しガラスコート
バッフル・裏板間に支柱を2本入れ片方にドライバーを載せ固定(ウーハーとドライバーの穴が非常に近接している為強度が取れない 過去にL-101とS-101のバッフルドライバー下の亀裂を補修している)
格子の欠け・欠損を補修後ガラスコート
ユニット
ウーハーのエッジをセーム革へ、フレームは大き過ぎて研磨出来ないのでアルミ色塗装、コーン紙も塗装
ドライバーのバックキャビ内のスポンジ交換と蜂の巣ホーンの顔を塗装
いつもウオルナットの調色に難儀しますが、乞うご期待!
5月5日
先ずは
大きな欠けを形成、膨れた側板はクランプでほぼ平滑になりました。まだまだ遠い道のり、塗装で見違える様になります。
大理石天板を補修しました。
バッフルをBKガラスコート。
内部に支柱2本とフェルト巻き、左の支柱にはドライバー175DLHを載せバンドで固定します。
過去L-101とS-101にバッフルに亀裂(ウーハーとドライバーの開口が近すぎる)が入っていました。
つまりドライバーのマグネットは後25cmに付いているので、衝撃が加わるとテコの原理でバッフルにダメージを与えます。さらに大型システムでありながら制振は天板大理石・裏板・測板のみでバッフル・裏板にはありません、20cmならいざ知らず36cmウーハーですから箱鳴りは避けられない。
箱鳴りも音の内との意見もありましょうがそれは歪というものですね。内容積が僅か少なくなりますがこの支柱による音質改善(オーディオは歪との戦い)には換えられない。
メンテナンス完了にはまだまだ日数が必要です。
5月18日
格子の補修
欠損なのでもぎ取り移植です。
ちょっと継ぎはぎ気味ですが塗ればまず判らなくなります。
ほかにもチョコチョコ補修、全体を研磨しましたので小さな傷は取れています。
2枚完了、この後塗装します。
5月20日
ドライバー 175DLH
右側赤JBL封印を除去、結構面倒です
ダクト内のホコリと鉄粉を除去
バックカバーの崩れる寸前のスポンジ除去後カーボンフェルト貼り付け
蜂の巣清掃後プライマー・上塗り、綺麗になりました
ウーハー LE-14A
フレームにプライマー・アルミ色塗装
コーン紙ホワイトニング
センターキャップBK塗布
そしてセーム革エッジを先ずは外側をフレームに接着、リングガスケット圧着。
エッジ接着部が非常に狭いので革を貼るのが難しい。(LE-8Tは3mmくらいだが本品は2mmくらい)
ウレタンなど成形品と違いセーム革はフニャフニャのリング状なのでこれが難儀、正確なカッティングが出来ていないと失敗する。
固定出来たら内側をコーン紙下に潜り込ませ接着
↓
コーン紙裏接着、ボンドが乾いてからΩ整形します。
エッジを整形してΩができたのでエージングです。
セーム革エッジに交換したので通常であれば200時間はエージングが必要です。
向かい合わせてSP単子は片方逆接続。
24時間以上リピート、ソースは音楽でも良いのですがホワイトノイズです、モノラルなので低域が恐ろしく減衰します。
あとは布団でも座布団でも、これで高域も減衰します。
組み上げました
簡易ながらRTA測定しました。
思惑どおり以上の素晴らしい低域再現能力、エージングが未だ済んでいないのに。
測定位置3mで1、5khz付近が盛り上がっていますが、ここが心地よい中域。
14khz辺り煩ければアッテネーターをもう少し絞るかな、メンテしたのでガリ無し。
2024年6月9日
200時間のエージング完了でご機嫌な音が出ています。
締りのある低域は中高域まで改善しています。当然といえばそうでしょうLE-14Aはハイカットしていませんから。
RTAにも変化が現れています。
測定位置3m
ユニット組込む前に単品で簡易測定しています。
文字で音質は語れません、性能は簡易RTAで可視化できますので参考までに。
LE-14A 波形をご確認下さい。
よく揃っていると思います。
LE175DHL 波形をご確認下さい。
よく揃っていると思います。
ドライバーのセッティング
支柱の上にきちんと座りました、念の為結束バンドで支柱とドッキングです。
この支柱2本がローエンドまで歪なく再生できる要になったのでしょうかね。