此の刃渡り10㎝の肥後守は兵庫県三木市の永尾製作所の手に成る製品で直系肥後守の子孫に成るが、其の形態は、正に肥後守の化物と言う感じの出来上がりと成って居て、初めて見た瞬間頭が其の形態を受け付けず苦慮した。
刃先は典型的青竜刀型ながら、峰に尋常成らぬ背鰭(せびれ)の様な突起部が刃幅を越えて盛り上がり異常な形態をして居て、てっきり怪獣の「G」とのコラボ製品かと早合点したが、説明書を読むに其とは異なる設定に依る製品と解った。
Aranea(アラネア)と題する此の肥後守は蜘蛛(くも)を主題とした形態のナイフだそうで永尾製作所4代目の永尾光雄氏の構成に基づいて製作されたそうだ。
ゴシック
最早肥後守から脱皮したHigonokaniは、肥後守の概念では収まらない別物に化けた存在だ。
先端の下にAraneaの文字とマークが腐蝕印字去れてちて極端な刃の峰に有る飾りの蜘蛛巣状の飾りの元には丁寧に叩き伸ばされた刃お越しの尾が有り、刃と真鍮製つや消し蝶板型鞘にはエッチング状の蜘蛛の巣柄が散らして有り、裏面には蜘蛛柄が有る。
刃と鞘の接合分は饅頭型のビスと放射状に刻みの入った円形座金ワツシャーで接合去れて居る。
因みに、蜘蛛の巣状の堀抜きはプレスの撃ち抜きでは無理ではないだろうか?。
寧ろレザーカットではないだろうか?。
鞘尻には直径2㎜程の取り落とし防止の紐通し穴が開く。
最新作の為古物には出回って居ないので、1度量販店で見る事を勧める。
肥後守の内最大な仕上がりと価格を有する点一見の価値有りと言える。
2019年6月3日
ー続くー
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