「せめて一日置きにしてくれないか?」
毎日のように風呂で格闘を続けて半年近く。体育会系の屈強な男ならいざ知らず、
へなちょこ系の貧弱おじさんではさすがに辛い。俺は母親と親父に提案した。
納得はしてない。むしろ不満げだ。
だが自分が迷惑を掛けている事も理解はしているのだ。
本人にとっても痛し痒しなのだろう。明確な返事の無いまま
風呂は一日置きになり、少しだが気は楽になった。
それから数ヶ月。自力で風呂から出られなくなる中、もう一つ心配事があった。
それは糖尿からくる血管の狭窄による足の冷えだ。
父は寒いからと温風ヒーターの前に座り足を暖める毎日。
厚手の靴下を履いてるとはいえ低温火傷が心配だった。
何度も離れるように言っていたのですが聞く耳は持ってくれませんでした。
そして三月のある朝。再び母から叫びに似た声で呼ばれたのです。
下に降りてみると父が布団の中で震えていました。
「親父!」
「なんでもない・・」
今度は意識はあるようだが明らかに普通ではない。もしかすると肺炎かも。
状態からして急を要する様に観えた。
「病院に行こう。病院に」
「いい。行かない」と拒まれたが肺炎なら命に関わる。
一時間後父は救急車で病院に運ばれた。
敗血症だった。