最初は手を貸せばふらふらした状態でも風呂から出られたので
母親だけで何とかなったのですが、やがて風呂から出られなくなりました。
そうなる前に早く出なさいと説得するのですが「もう少し。もう少し」とだだをこね
湯船から出ようとしません。挙句立てなくなる始末。
こうなると母親だけではどうにもならずその度に私が呼ばれます。
お湯を半分抜き低血糖用のゼリーや冷たい水を飲ませ引き上げて風呂から出す。
そんな毎日でした。
それでも親父は相変わらで、飯は殆ど食べず、運動もせず
酒を飲み続ける日々を送っていました。
そして何ヶ月かしたある日の朝。叫ぶような声で母親に呼ばれると、父親の様子が・・。
「おとうさん!おとうさん!」
布団で寝ている父の耳元で母が声を掛けると親父は頭を少し動かして
いるように見えた。
「何。どうしたんだよ?」
「おとうさんが変なのよ」
確かに頭を動かしているようだが母親の呼びかけに反応している様には見えなかった。
「どうしよう・・」
「親父!」俺も耳元で叫んだ。
聞こえているようだがやはり反応が変だ。
「救急車呼んだ方がいいな」
「でも、反応してるし。救急車を呼ぶなんてみっともない」
「そんな事を言ってる状態じゃないって!」
直ぐに一一九番に連絡を入れた。
我が家で呼んだ初めての救急車。