ザ・ロングアンドワイディングロード⑦ | 尾川永次のブログ

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小説、ポエム、旅日記などなど徒然なるままに行きたいと思っています

―まさかこの丘に八十八体のお地蔵さんが置かれているのか?-。
男は細い道をお地蔵様を求め上がって行く。
一つ、また一つと番号が書かれたお地蔵様をたどって行く度に
オン・・ソワカを三回くり返し写真に収める。

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若干息が切れ始めた頃には20番代になっていた。
一番から始まってすでに15分が経っている。

「残り60数体てことはこれの3倍掛かると言う事か・・」
ざっと45分掛かる計算だ。
いつ雨が落ちるか分からない空模様と
2時までには帰ると母親に約束したことを思い出した。
しかも歩く前から下はぬかるんだ状態なのだ。
これで雨が本降りになったら歩くこともままならないだろう。
このままでは巡礼もどきにしても未完となってしまうかもしれない。

男は歩きながら思案していた。
俺はいつも中途半端な人生を送ってきたことを後悔してきた。
もうこんな思いはしたくないのだ。

決意と同時に男の足が段々と速くなって行く。
頭の中でヴァンヘルシングのテーマ曲が流れ出すと
男は息を切らしながら狭い道をひたすら走っていた。
(YOU TUBEにありますの是非聞きながら読んでください)

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半分は過ぎた。寒さは感じなくなっている。
「雨よ落ちないでくれ」そう願いながら拝んでは写真を撮りまた走って行く。

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「はあ、はあ・・」
誰もいない静かな道に男の荒い息遣いと走る音だけがが聞こえている。
既にやわな足はへたって来ていたがもう途中で止めることは出来ない。
それだけは分かっていた。

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何とか80番のお地蔵さんに辿り着くと大きく息を吐いた。
「ふー、何とか間に合ったな」
残り8体は歩いても大丈夫だろう。
男は乱れていた呼吸を整えて静かに手を合わせた。
そして残りのお地蔵さんはゆっくりと歩いて巡拝した。

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やがて大師堂の前の88体目のお地蔵さんがにこやかな
笑みを湛えて出迎えてくれると男の心はもう何年も
味わった事の無い達成感で満たされた。

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―ありがとうお地蔵様―。
そう心でつぶやきながら静かに手を合わせると、その男はやり遂げた誇りを胸に
人影まばらな不動尊を後にした。