たんと 24 | 尾川永次のブログ

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小説、ポエム、旅日記などなど徒然なるままに行きたいと思っています

             24

スコットタント達は大きなガジュマルの木を元に戻し、たっぷりの水を注いだ。
「水を、身体の中を流れる水を感じるよ。もう二度とこんなふうに水を感じられるなんて
 思ってもいなかったよ。ありがとう」
「良かったですな」
チキがしみじみと呟いた。その間にも少しづつだが溢れ出る水が小さな池を作っている。

「じゃ、今度はメイルの番だね」
スコットタントはメイルに顔を向けた。
「しょうがないな。がんばっちゃおうかな」
「さ、準備を始めよう。チキ、植えるのはどの辺りがいいのかな?」
スコットタントが水の流れを見ていたチキに訊いた。

「そうですな。水の涌き出る量、地形に水はけ、日当たりに土の状態。それらを全て
 合わせてちょちょいがちょいと」
チキは土の上で簡単な地図を書いた。
「池の大きさはこの位で」
チキはざっと三〇メートル四方の大きさを指差した。
「そこから流れ出す小川に沿って苗を植えれば我々がいなくても育ってくれるでしょう」
「さすがチキだね」
チキを褒めるメイルの横でタキが大声で泣き出した。
「うわわわわー」
「どうしたのタキ?」
心配するメイルにチキは呆れ顔で言った。
「気にするだけ損ですよ。どうせ苗に使う種が惜しくて泣いてるだけです」
「そうなのタキ?」
タキは泣き顔を隠していた両手の隙間からチキを見るとあっかんべーをした。
「チキなんて大嫌いだーい!」
と、泣き叫びながら走りだそうとした瞬間、スコットタントがタキの首根っこを掴んで持ち上げた。
「そう言って作業をサボろうとしてるでしょ」
苦笑いをするとタキの首がくっと前に倒れた。
「ばれたか・・」
「さすがタント。タキを良くわかってらっしゃる」
チキは袋から出した種の選別作業をしながら感心しきりと頷いた。

やがて選別を終えたチキは五十粒程の種を地面に蒔くと横に居たタキにに言った。
「タキ、これに土を被せて」
「さらば、いとしのご飯たちよ」

嘆き悲しみながらタキが土を被せるとチキはスコットタントに言った。
「先ずは種に水を与えて発芽の準備ですな」
「了解」
スコットタントは池になり始めた水を皮の袋で出来た水筒に入れ種に蒔くと
肩に座っているメイルに言った。
「これで良しと。メイル、お願いしますね」
「はーい」
種の前に降り立ったメイルは深呼吸して気持ちを集中させると静かに語り出した。