スコットタント 14
「まったく、タキはのんきなんだから」
呆れ顔のメイルにスコットタントは冷静な声で言った。
「いや、タキが正しいのかもしれない」
「え?どう言うことなの?」
「あの大きな木に僕達を攻撃する気持ちが無いからだよ。だからタキは慌てていないんだ」
「そう言えば誰も怪我してないね」
スコットタントは振り向くと木に向って歩きながら語り掛けた。
「僕は太陽の光で動く事ができますが皆はずっと此処にいたら生きて行くことは出来ません。
勿論僕もいつかは止まってしまうでしょう。そうなればあなたはまた一人になってしまいます。
今僕達を留めてもやっぱり一人になってしまいます」
「それでもいい。少しの間でも誰かが居てくれればそれでいいんだ」
「その場凌ぎの方法なんて駄目です。それでは貴方はいつまでも寂しいままです。
どうしてこんな事になったのか話して下さい。お願いします」
思いを込めて話すスコットタントの言葉に大きなガジュマルの木は深呼吸すると辛い
思い出を語り出した。
「かつて此処には大きな森が在った。大地と共に生きていた人間や動物達や森の精霊達が
楽しく暮らしていた。だがやがて人間の文明が発達すると彼等は森を開き畑に変へ大きな
火を使うようになった。だが木を根こそぎ切り倒し、大地を掘り返し鉄を作るようになると
川は干上がり大地が枯れていった。すると人間達は此処を出て行った。勝手の仲間達を
切り、勝手に荒れ野原にして、勝手に出て行った。動物も精霊も森から消え、俺は一人ぼっちに
なった。木の仲間がたくさんいた。俺の身体をリスや子供たちが登った、俺の身体に寄り
添って小鳥や若者が愛をはぐくんだ、俺が作った木陰で老人が昼寝をしていた。俺の作る
木の実を動物たちが食べた。俺はずっと、ずっとみんなと仲間だと思っていた。皆の役に
たっていると思っていた。でも俺はここに残された。俺だけが残された。寂しかった。本当に
寂しかった。暗い夜に一人で星空を眺めている俺の気持ちがお前達に分かるか?」
大きなガジュマルの木から堰を切ったように溢れ出た深い悲しみがスコットタント達の胸を
しめつけた。