たんと 7 | 尾川永次のブログ

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小説、ポエム、旅日記などなど徒然なるままに行きたいと思っています

              スコットタント 7

森の外れで森の仲間達がスコットタントと最後の別れを交わしていた。

「そろそろ出発します」
スコットタントの後ろは何処までも広がる荒野が朝日を浴びている。
「気を付けてな」
「はい」
返事をしながらスコットタントは辺りを見渡した。
その様子を観てブレが尋ねた。
「どうしたのじゃな」
「そう言えばチキとタキと・・メイルもいないですね」
「まっさきに来てそうだけどね。探してこようか?」
狐のキキが言った。
「いえ、いいんです。会うと辛いし・・」
その時、メイルの声が遠くから聞こえて来た。
「タント待って」
その声に振り向くとメイルは茶色く薄汚れた小さな壷を重そうに抱えて
飛んで来た。
「もうだめ、タントこれ持って」
「これは?」
「いいから早く!」
スコットタントが手の上にメイルが持って来た壷を乗せるとメイルは壷に
より掛かってしゃがみ込んだ。
「ふー、重たかった」
「メイルこれは?」
「いいでしょ。私のお家」
「え?お家ってどういうこと?」
「暗闇のおばばに私の家を作ってもらった」
「魔法使いの?」
「そ、これでタントと遠い森に一緒に行くの」
「え、だってメイルは森から出たら・・」
「身体が消えそうになったら壷の中に入れば大丈夫!さ、早くいこいこ」

メイルの身体は森の力が及ばない場所に長時間居ると消えてしまうのです。

「でも本当に遠いし、危険だし、大変なんだよ」
「やだ!やだ!やだ!タントと行く!絶対に行く!置いていったら蛙に羽付けて、
 ミミズに足付けて、ひまわり黒くして、ネコに角付けて、それから、それから・・」
必死にごねるメイルを呆れ顔で観ていたスコットタントにブレが耳打ちした。
「メイルのこと宜しく頼みますよ」
「そうですね。しかたありませんね」
スコットタントはメイルに顔を寄せた。
「旅の準備は?」
「一緒に行っていいの?」
羽の生えた蛙やミミズが走り回った上に、黒いひまわりが咲き乱れる中で角が
 生えたネコが寝てたら大変だからね」
「えへ」
メイルは照れくさそうにはにかんだ。
「旅の準備は出来てるの?」
「壷の中に入ってるよ」
スコットタントは頷くと森の仲間に顔を向けた。
「それでは、皆さんお元気で」
「タントボーイ、元気でね」
「気をつけてね」
みんなの声が掛かる中、壷を入れたバッグを背負った
スコットタントは
メイルを肩に乗せ遥か彼方まで広がる荒野を歩き出した。