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 現在、日本の自動車産業と電機産業は、
対照的な様子を見せています。

 自動車産業が少しずつ回復していく中、
電機産業は依然として苦しい状況に。

 すでにしっかりとしたブランドが確立している自動車に比べ、
テレビやパソコンなどの電機製品は、アジア勢の追い上げが激しく、
日本製品のシェアは少しずつ低下してきました。

 この対策として、日本の企業は、
リストラによる体質改善をメインに行ってきました。

 今後は専門分野への特化、新産業への展開など、
さらなる収益力改善が求められているといえます。


~以下は、日経新聞より~

自動車産業と電機産業は戦後の日本を支える2本の大きな柱だった。2つの産業は日本人の生活水準を向上させ、終身雇用を定着させたうえ、ソニーのウォークマンや小型電卓のような必需品を世界に広めた。

 しかし、とどまるところを知らぬ成功の日々は遠い過去となった。日本のトップ企業は15年続くデフレに苦しみ、さらに円高が海外での製品競争力を低下させた。

 もっとも自動車メーカーは例外だ。日本の自動車各社は金融危機後に復活した世界的需要、特に成長著しいアジア新興国の需要を追い風に活力を取り戻した。コスト削減努力や最近の円安傾向にも助けられた。

 自動車と好対照をなすのは電機業界だ。電機メーカーは数十億ドルの赤字を穴埋めするため、今も事業再編の途上にある。

 ではなぜ電機業界は衰退しつつあるのか?

 最もわかりやすい説明は海外企業との競争激化だ。テレビ事業で高品質モデルを手掛ける日本の老舗メーカーは、マーケティングへの投資に積極的な韓国・サムスン電子やLG電子だけではなく、低価格製品が主力の中国家電大手、TCL集団や海信集団(ハイセンス)との競争にさらされている。

 スマートフォン(スマホ)市場でも状況は大差ない。米アップルが革新的なソフトウエアとデザインで日本勢を出し抜き、一方で台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業のように大規模・低価格で電子機器を受託製造する会社が台頭した。その板挟みの中で日本の電機大手は苦境に立たされている。

 テレビ事業での日本勢のシェアの低下は著しい。米調査会社バーンスタイン・リサーチのアナリスト、マーク・ニューマン氏は「テレビ事業は大手電機メーカーの収益の大きな部分を占めるが、低成長と低収益に見舞われている」と指摘する。「サムスンとLG、それに一部の低価格テレビメーカーだけが利益を上げており、日本勢はシェアを奪われている」と話す。

 世界市場の売上高のうち日本メーカーのシェアは2006年以降ほぼ半減した。韓国メーカーが37%で首位、中国メーカーも28%を占める。一方日本は20%に満たない。

 第2の理由は特定の製品に対する需要が減ったことだ。ゲーム機メーカーはスマホなどの携帯機器でゲームを楽しむ人が増えたことで打撃を受けた。テレビも同様に、どこでも視聴できるスマホやタブレット(多機能携帯端末)の普及で苦しい立場に追い込まれた。

 第3の理由が商品の収益性低下だ。電機各社は製造の効率アップやコスト削減の一方で、下がり続ける価格と長く戦ってきた。

 では、かつて日本をけん引した大企業はどうすべきか?

 まず、最もわかりやすい選択肢は、痛みを伴うとはいうもののリストラだろう。東芝は最近、テレビ事業の規模を半分にすると発表。3000人を削減し、現在残っている3カ所の生産工場のうち2工場を閉鎖することを決めた。3年前は年間約1400万台を製造していたが、13年は1100万台に減少する見通しだ。これに対してアナリストは、2年間赤字続きの事業部門の業績回復への最初のステップだと歓迎した。
 他の日本のテレビメーカーでも同様の動きが見られる。例えばソニーは2年前、液晶テレビの中期販売目標を4000万台から2000万台に半減させた。今年度の販売見込みは1500万台にすぎない。

 パナソニックは最近、事業再編の一環としてヘルスケア事業の経営権を米投資ファンドのKKRに売却することで合意した。糖尿病患者向け血糖値モニタリング装置や電子医療記録管理システムの製造を手掛ける部門だ。さらにスマホの開発も休止する。

 もう一つの選択肢は、新たな成長分野に目を向けることだ。東芝の新社長に就任した田中久雄氏は最も有望な分野としてデータストレージ事業とヘルスケア事業を挙げる。

 技術的優位性を取り戻すことも重要だ。例えば、ソニーはカメラとスマホの専門技術を融合させて最高品質のカメラ付き携帯を作り出すことを目指し、スマホに装着する形のレンズ型カメラを発表した。日本勢はネット接続して使えるなどの機能をもつ「スマートテレビ」にも進出し始めている。

 日本企業は今まで以上に外部からの強い圧力にさらされている。物言う株主として有名な米ヘッジファンド、サード・ポイントのダニエル・ローブ氏はソニーに対して電機部門を立て直す資金を確保するためにエンターテインメント事業の分離上場を求めた。

 「市場は急速に変化し、競争が激しくなる中で、日本企業は価格競争力に勝る中国や韓国のメーカーを相手にしなくてはならない。だが事業を適応させようとする切迫感が足りない」と米調査会社フォレスター・リサーチの柏木成美アナリストは指摘する。間違いなく言えるのは「株主は投資先の企業が収益性の高い事業に資金をつぎ込むことを求めている」(柏木氏)ということだ。