未経験の方に説明するとき、いつも困るのがタオルの「輪」です。
一言で言えば、タオルを折り返した、その折り目のこと。
下の画像で見えているのが、「輪」です。タオルの端がビラビラと見えるよりも、見栄えがいいのです。
客室清掃は、少しでも見栄えの良い部分をお客様にお見せしたいと考えます。反対に、見苦しいところは隠したい。
ですから、「輪」の側をお見せするのですね。
未経験の方にとって難しいのは、まずこの「輪」そのものを理解するのが一つ。
そしてもう一つ、ホテルによっては、部屋タイプによって、タオルの向きが変わるということです。
間取りが違ったり、タオルバー(タオルかけ)やタオル入れの配置が違えば、お客様からの見え方も変わりますから、タオルの向きも変わる、というわけです。
そのときにも、基本的には「お客様が立った場所からどう見えるか?」と考えることになります。(マニュアルで決まっているホテルもあれば、そこまではこだわってない、というホテルもあるかもしれませんね)
例えば、2枚のフェイスタオルをかけるとします。
ベーシン(洗面台)に対して左右にタオル掛けがあって、1枚ずつタオルを掛けるなら、その向きは……
(シンキングタイムです!)
…………
輪が真ん中に向くように、内側に向くはずです。
しかし、ベーシンの中央にタオル掛けがあって、一箇所に2つとも掛けるなら、その向きは……
…………
輪が見えないように、外側に向くはずです。
と、こういうことが最初は意外と覚えにくいのです。
でも、「少しでも見栄えがよいように」と考えれば、”基本的には”分かることなのです(それでも、迷うような間取りも稀にあるのですけど……)。
もちろん、たかがタオルの向きと言われればそれまでで、お客様にとってはどうでもよいことでしょう。
ですが、客室の隅々にまで「少しでも美しく見せたい」という思いやりが行き届くことが、(私がいつも言う)「心ある客室清掃」の理想だと思います。タオルもその例の一つに過ぎません。
客室の全てのものが、こういう考え方に基づいて、「あるべき位置」が決まっています。
もちろん、実際の仕事では、いつも百点満点とは行きませんが、それでも、つねに心がけるようにしたいものです。
(画像は、著作権上問題ないものをお借りしました)