UGGユネスコの無形文化遺産に決まった和食とともに、注目を集める日本酒。その多様な楽しみ方は日本の伝統ある食文化の一つだ。国内では日本酒離れが言われて久しいが、年末年始は「国酒」の魅力を再発見する絶好の機会といえる。(榊聡美)
◆料理を引き立てる
今月、都内にある三重県のアンテナショップ「三重テラス」(東京都中央区)で、三重の食と日本酒のペアリング講座が行われた。
講師は、日本酒造組合中央会認証の日本酒スタイリストで食文化研究家、手島麻記子さん。
参加者は、ちりめんじゃこ、金山寺みそといった三重の食材に、チーズやパンなど洋の食材を合わせたおつまみ、地元産の純米大吟醸、純米酒、古酒の組み合わせをそれぞれ試し、香りと味わいの相性を探った。
アクセサリー欧州を中心に日本の食文化の魅力を伝える活動を続ける手島さんは「日本酒はどんな料理にも合い、あらゆる料理の味を引き立てると、世界中のシェフから注目されています」と説明した。
食中酒として日本酒がブームになったスペインを例に挙げ、「チーズのおいしさを十分に味わうには、赤ワインより日本酒の方が優れた相手役」というトップソムリエのコメントを紹介すると、参加者からは感嘆の声がもれた。
日本酒の国内消費量は右肩下がりで、ピーク時の約3分の1にまで減少。一方、輸出量はこの10年ほどで2倍近く伸びている。
「海外では食通たちが自分の国のどんな料理に日本酒が合うか、積極的に試している。日本人の私たちが、その楽しみを知らないなんてもったいない」
◆地域性と多様性
年末年始に日本酒をどう楽しむか-。手島さんは2つの方法を勧める。
まずは、故郷へ帰省したり、国内旅行へ出掛けたりする場合、その地域の地酒を味わってみる。
「日本酒の『クリュ』を楽しむ、という感じですね」と手島さん。クリュは、ワイン用語で特定のブドウ畑・園を表す。都道府県でなく市町村単位で、蔵元がない所は近隣で探す。
イザベルマラン「例えば、海産物が豊富な所はお酒の味もやわらかい。元来、日本酒はその地域で消費されていたものですから地域の食にぴったり合う。豊かな風土色が感じられるはずです」
それから、お節やパーティー料理など、バラエティーに富んだ料理を食べるとき、食卓にタイプの異なる2種の日本酒を用意する。
「この時期ならではの、にごり酒と純米酒、高級な純米大吟醸とフルーティーな低アルコールの純米酒など。それぞれにどんな料理と合うか、飲み比べてみると発見がありますよ」
近頃人気のフレンチやイタリアンのお節にも、シャンパン感覚のスパークリングの純米酒など相性抜群の日本酒がある。
「醸造技術の革新と嗜好(しこう)の変化に合わせた酒造りで、味のバリエーションは格段に広がっています」
◆和食と進む国際化
「ますます日本酒はおもしろくなると思う」と話すのは、「作(ざく)」「鈴鹿川」などの蔵元、清水清三郎商店(三重県鈴鹿市)の清水慎一郎社長(56)。
「海外では、普段ワインを飲んでいる人も日本食レストランでは『SAKE』を飲む。しかも、地方の地酒が、ちゃんとリストにあります。無形文化遺産の登録をきっかけに、和食が一層世界に受け入れられれば、そこで選ばれるのは日本酒でしょう」
国内でも日本酒に興味を持つ若者が増え始めているという。国内外で日本酒に「目覚める」人が増えれば、酒造りも出来上がるお酒も自然に変化が生まれると期待する。
国内外で起こりそうな和食ブームに備え、自分なりの日本酒の楽しみ方を見つけておくのも悪くない。
