年末からの断捨離を続けていると、首楞厳経のコピーが見つかりました。
2011年11月に上海で復刻されたものです。同時に、楞伽経、金剛経、中論なども復刊したと解題されています。

コピーの本文にも"支那撰述"と見えるように、仏教経典の中でも中国で成立した経典を、中国撰述経典と言います。日本の仏教でも普通に使用されるものですが、首楞厳経は禅宗と中国道教の根本経典の性格をもっています。両方で使われます。

日本の中国撰述経典の研究では、臨済宗の僧侶で京都大学名誉教授も務められた柳田聖山先生が有名です。達磨の二入四行論や敦煌で発見された達磨の文書などで素晴らしい研究をされました。
敦煌文書では、達磨はそれぞれの節の終わりに、老子の解説を付けています。
禅宗の成立と中国の老荘思想がいかに密接であったかが伺える重要な発見でした。

首楞厳経を一言で説明すると、"如来蔵のすすめ"、行法としての"如来乗のすすめ"です。
まず、如来乗の修法をすすめて、この修法に励む者をどのように諸仏が助ける(加持する)かを順次、説明しています。

日本の禅宗でも曹洞宗では"楞厳呪"という真言次第を使用しますが、これは加持の次第を曹洞宗なりに組み立てたものかもしれません。如来を中心にした加持の次第にまとめられていますが、真言密教の次第とは異なるものになっています。