アリストテレスの倫理学で、提唱された「エートス」ですが、


昨日から、これを、どういうふうに説明したら、いいのか、


考えあぐんでいた。


なかなか、理解してもらえるものではないということは、自


分も、会得してないということなんだけど、・・。


対話の中でおこなわれる行為・おこないですね。


さて、その模範っていうのは、どんなんだろうと、思いめぐ


らしてみると、すぐれた中医師の診断の様子が、これでし


たね。


つまり、相手が返答に困るようなことば、主張を、会話の中


でつかわない例です。


ともかく、カウンセリングの手法として、すごく関心しながら、


何度も、受けてみましたね。


上海中医薬大学日本校の黄教授の弟子です。


この弟子の方に、最初に会ったときに、わたしが、悔しがっ


たのは、黄教授の公開講座のカリキュラムも手にしていた


のに、申し込まなかったことでした。すばらしい内科の講座


案内でしたね。短期で、すごく充実しているというより、これ


はないでしょう。というくらいの中身でした。


そのとおり、この弟子の方が受け継いだものも、賛嘆するよ


うなものでしたね。そこで、体験したのが、このエートスでし


ょう。なかなか、説明がむずかしいですねー。しかし。


中医師の診断というのは、一回に一時間は、たっぷりとかけ


ますね。その間に、舌診や脈診をいれるわけですが、それに


は、大した時間はかかりません。


それ以上に、時間をかけるのは、日常の話をしながら、心をと


ぎほぐしていく過程ですね。


これを、黄教授のそばではたらきながら、身につけられたんで


しょうが、これこそ、師弟の伝授でしょうね。


しかし、なかなか、こういう診断も、体力がいると思います。


また、よほど、リラックスした環境でないと、お互い疲れてしまう


でしょうね。


ふと、そんなことを、思っていると、臭ってくるのが、調剤室に並


べられた漢方薬の匂いです。いいですねえ。


薬効のある植物というのは、アロマ効果もあるんでしょうかね。


古い漢方屋さんというのは、この香りが、こびりついて、ちょっと、


いやな感じもしますが、本来、薬草というのは、それぞれ、香りの


濃いものがほとんどですから、香りにも、なんらかのはたらきは


あるんでしょう。それとも、ハーブの類というのは、「自分を見つけ


ろ」「取って、食べろ」みたいな主張をしてるんでしょうか。香りで。


ともかく、古代の人が見つけたものは、おもしろいです。


特定の病気に効く薬草は、その病巣の形に似ているとかね。


そういえば、そうなんですよ。


こういうことも、薬草と人間のあいだで、交わされるエートスなの


かもしれませんね。


どうも、このエートスというのも、人間同士のことにかぎらないらし


い。お経も、読経というのは、エートスだと思いますよ。


読経は、自分で読みながら、それを聞かないといけませんね。


読んでるだけでは、だめなんです。耳で聞く。


つまり、お経を説いている存在と、対話しているんです。


それも、すんなりと入ってくる理想的なエートスの原理で、聞いて


いるわけです。


ということは、アリストテレスが、お経の読み方ですね。



もっと、考えれば、当然、倫理学といっても、人間だけの範疇じゃ


ない。中心は、人間同士のことですが、その原理は、人間のもの


じゃありませんね。どうも。ここんとこ、深めてみましょう。