「波紋」の映画レビューと興行収入予想

「彼らが本気で編むときは、」「川っぺりムコリッタ」などの荻上直子が「よこがお」などの筒井真理子を主演に迎え、自身の脚本を映画化。

夫がいなくなって十数年、“緑命会”という新興宗教を信仰し、日々庭の手入れを欠かさず、祈りと勉強会に勤しみながらひとり穏やかに暮らす須藤依子（筒井真理子）。

そんなある日、自分の父の介護を押し付けたまま失踪した夫・修（光石研）が、突然帰ってくる。

がん治療に必要な高額の費用を助けて欲しいというのだ。

さらに、息子・拓哉（磯村勇斗）が、障害のある彼女を結婚相手として連れて帰省。

依子のパート先では癇癪持ちの客に大声で怒鳴られる。。。

自分ではどうにも出来ない辛苦が降りかかる依子は、湧き起こる黒い感情を宗教にすがり、必死に理性で押さえつけようとするのだが。。。

出演は他に、「川っぺりムコリッタ」などのムロツヨシ、「レンタネコ」以来の荻上組参加となる「異動辞令は音楽隊！」などの光石研、「PLAN75」などの磯村勇斗、「深夜食堂」シリーズなどの安藤玉恵、「“それ”がいる森」などの江口のりこ、「最後まで行く」などの柄本明、「ヴィレッジ」などの木野花、「ある役者達の風景」などのキムラ緑子など。

音楽は、「恋は五・七・五！　全国高校生俳句甲子園大会」などの井出博子。

2022年作品

日本映画

配給はショウゲート

製作会社は映画「波紋」フィルムパートナーズ（テレビマンユニオン＝U-NEXT＝博報堂DYミュージック＆ピクチャーズ＝讀賣テレビ放送＝イオンエンターテイメント＝ジャストプロ）（製作幹事：テレビマンユニオン／制作プロダクション:テレビマンユニオン／制作協力：キリシマ1945）

上映時間120分

普通になかなか面白かった。

テーマが重いくて、なかなかしんどい。

テンポも暗くじっとりしている。

でも、ちょっとコミカルなところもあってクスッと笑えるところもある。

色々な社会問題が詰め込まれているのに笑えるんですよね。

荻上直子監督ならではのたっぷりのブラックユーモアが随所に感じられる。

この絶望感にちょっと笑えたりするんですよね。

キャッチコピーの「絶望を笑え」がまさにその通りでした。

絶望エンタメって感じでしょうか。

そして最後は爽快感があって、結構スッキリする。

荻上直子監督の、これまでのスローライフ系な作品のイメージとは一線を画す内容の作品です。

新たな引き出しですかね。

それぞれの役者さんの演技はもちろんですが、それを引き出す演出、表現力も素晴らしいです。

流石の手腕です。

前半は特に腹が立つシーンがいっぱい。

めっちゃイライラする。

でも後半の展開が違うんですよね。

「よっしゃ！やってまえ！！」みたいな展開に。

この気持ちの振り幅が大きいのがいい感じ。

個人的には信教宗教にハマり系の映画、ちょっと苦手なんですよね。

なんか、実際は匂いはないけど、なにか匂ってくるんです。

なんか他人の家、知らない人が寝ている布団のような匂いが。。。

でも、今作はそんな変な先入観はあまりなく観れた。

とはいえ、今作は宗教描写がメインではなく、主人公の日常描写がメインに描かれているのが良かった。

主人公を救ったのは○○でなかったというのも良かった。

主演の筒井真理子がいいですね。

いつもは脇役が多いですが、2019年に主演された「よこがお」も良かった。

他の脇役の役者さんも豪華ですね。

■興行収入予想

興行的には、現段階では上映館数76館と少ない。

5月26日（金）からの公開。

同日の公開作品は今作の他、「岸辺露伴　ルーヴルへ行く」、「クリード　過去の逆襲」、「65／シックスティ・ファイブ」、「aftersun／アフターサン」、「THE WITCH／魔女　－増殖－」、「はざまに生きる、春」、「なぎさ」、「アムリタの饗宴／アラーニェの虫籠〈リファイン版〉」、「雄獅少年／ライオン少年」など。

荻上直子監督作としては、2006年の「かもめ食堂」は5億8,000万円、2007年の「めがね」は5億2,000万円、2017年の「彼らが本気で編むときは、」は3億円、2022年の「川っぺりムコリッタ」は1億1,600万円の興行収入。

筒井真理子が主演の2019年の「よこがお」は、4,700万円の興行収入。

さて今作はどうか。

初登場圏外スタートと予想。

最終興行収入は6,000万円と予想。

星3つ半（5点満点）

★★★☆