「アルキメデスの大戦」を観た。
第二次世界大戦を数学者の視点で描いた、三田紀房の同名コミックを山崎貴監督が映画化した人間ドラマ。
巨大戦艦の建造に異を唱える海軍少将・山本五十六と、彼に協力することとなった天才数学者が軍部に立ち向かっていく。
主人公の数学者を菅田将暉、山本五十六を舘ひろしが演じる。
VFXで甦った戦艦大和の雄姿も見どころ。
出演は他に、柄本佑、浜辺美波、笑福亭鶴瓶、小林克也、小日向文世、國村隼、橋爪功、田中泯など。
脚本も山崎貴。
音楽は佐藤直紀。
日本映画。
配給は東宝。
上映時間130分。
震えた。
クライマックスからラストまで、サブイボ(鳥肌)立ちまくり。
めっちゃめちゃ面白かった。
原作漫画は未読です。
CGによる大和再現のシーンの大迫力のいきなり冒頭で描かれます。
ただ、戦闘シーンは冒頭の5分だけ。
これは戦争どんぱち映画ではなく、巨大戦艦建造を巡る権力闘争が主軸の人間ドラマです。
戦闘シーンや大和の勇姿を期待すると、スカされます。
ただ、この冒頭シーンで観客の心を鷲掴みします。
そして、冒頭でああいう形で大和が沈んでしまうということが、のちに大きく物語を左右し、観ている観客は魂を揺さぶられます。
ラストで、ぶちのめされます。
驚異の頭脳戦のお話です。
今までの戦争映画とは視点が違い、あの戦争とは何だったのかを新しい描き方で見せています。
そこがほんま素晴らしい。
ストーリーにはちゃんと起承転結の大きな起伏があり、戦闘シーンがなくても見せ場たっぷり満載です。
な、感じなんで、めっちゃエンターテイメントしてました。
ドキドキします。
主演の菅田将暉、めっちゃいい。
ラストのセリフも残酷やけど的確で、凄く良かった。
思わず、手を叩きそうになった。
てか、クライマックスとラストは唸りの声が出てしもた。
テンポもいいし、戦争映画のなのに、見せ方が暗くない。
それに、バクッと大きな悲劇ではありますが、市井の人々や軍人さんの悲劇にスポット当ててない。
国全体を大和で表してます。
ジメジメした感じが少ない。
日本の戦争映画好きのマニアな私としては、あのジメジメ感が好きなんですが、これの描き方はこれでめっちゃいいです。
てか、ほんまやられました。
こんな映画を作るなんて。。。
立場をわきまえずに言いますと、若干ジェラシー。
ラストもかなりの衝撃だった。
どうなるか史実があるので、知っているからこそのどんでん返しの見せ方は上手い!
上手過ぎる!
明かされた事実にゾクゾクしまくり。
面白いというか心に響き過ぎて、涙が出た。
その他、山本五十六の舘ひろしの真珠湾を構想する考え方の経緯もいいし、何より、田中泯。
もう最高の最高!
メガネの光り方すら最高!
なんとなんと重く切なく悲しいセリフ。
大和と名付けた本当の理由が日本人なら必ず響きます。
山崎監督は、見せ場の時の音楽と、カメラのゆっくりズームで、こちらが体制を整えてその見せ場を迎える準備を持たせてくれる。
そして、期待以上の見せ場を描いてくれる。
もう凄いの一言。
ちなみの山崎監督はこの8月に「ドラゴンクエスト ユア・ストーリー」の公開も控えてます。
戦争映画は見ない方が、ポスターやチラシや宣伝だけ見てこの作品から遠ざかってしまうのが非常に惜しいです。
ジメジメした戦争もの悲劇悲劇した映画ではありません。
日本人なら、現代の今の人間にも心にグサグサグサッと刺さりまくります。
強いていうなら、冒頭のシーンをもっと悲劇的に描けなかったのかなと。
5分じゃなくて、もう少し長く大和の悲劇を見せて欲しかったようにも思えます。
ただ、史実を知らない人が多数いる前提で描かれているやろうか、そこから描くと長くなると思いますが。
私は東宝映画の「連合艦隊」の時の大和の最後が大好きです。
まあ、「連合艦隊」の描き方は、それ以前のドラマがあってこそなんですが。
もう少し見せ方があったように思えます。
それでラストだったら、もう号泣号泣だったと思います。
それと、この映画は世界配給は難しいかな。
日本人にしか、この思いはわかりづらい。
敵国の戦艦に、日本人ほど愛着がない。
興行成績予想
興行的には、上映館数280館と多め。
山崎監督ということで、ある程度の興行を見込めそう。
先週1位スタートだった「天気の子」や「トイ・ストーリー」には勝てない。
同日公開の拡大ロードショーはイルミネーションの「ペット2」、「劇場版 仮面ライダージオウ Over Quartzer」「騎士竜戦隊リュウソウジャー THE MOVIE タイムスリップ!恐竜パニック!!」。
戦争物ということで、内容がわからないとまず女性は敬遠して、「ペット2」にも負けるか。
いや、勝てるような気もする。
期待を込めて3位スタートでしょうか。
山崎監督で戦争物だと「永遠のゼロ」が87.6億円と特大ヒットを飛ばしているが、今作はCGによる大和再現のシーンが話題ではあるが、少々弱いか。
でも、映画自体はかなり面白いですよ。
山崎監督の32.1億円稼いだ「Destiny 鎌倉ものがり」のように、面白さが広く伝わると粘りの興行を見せる可能性もある。
そうなれば30億円超えるのも夢じゃない。
この出来なら、若者が敬遠しがちとはいえ最終20億円くらいは行きそう。
夏休みだし、25億円くらい行くかな。
いや、難しいかな。
でも、火がついてほしい。
そして50億円を目指してほしい。
切に願う。
今年1位か2位です。
星5つ(5点満点)
★★★★★